転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
423 / 1,259

四百二十二話 今回はどちらでも良い

しおりを挟む
「まぁ、やっぱり投擲で事足りたな」

「それはそうでしょう。ソウスケさんの相手になるモンスターは最低でもCランク……コボルトならばジェネラル以上でなければ話にならないかと」

「ミレアナの言う通りだな。ただ、既にソウスケさんはコボルトキングを倒してしまっている。だから、コボルトでソウスケさんに敵う種はいないだろう」

過去に一人でコボルトキングを倒したソウスケ。
コボルトキングのランクはBであり、殆どの冒険者や騎士、傭兵たちが単独では倒せない高ランクのモンスターだ。

しかしソウスケにそんな事は関係無く、身体能力と技を駆使してノーダメージで倒してしまう。

「いえ、コボルトキングがコボルトという種の頂点ではありません」

「そうなのか? 一番上といえばキングだと思うんだけど」

「キングより更に上の……ロードが存在します。まぁ、基本的には現れないモンスターですが」

あらゆる種の頂点に立つロード。
ただそれは立場だけが一番高いというだけで、戦闘力に関してはキングの方が高い場合も当然ある。

「力では下のキングに劣る場合は有りますが、その分身に付けているスキルが多い・・・・・・という話を聞いたことがあるだけなので、事実かどうかは分かりませんが」

「……いや、そういった存在が実在する可能性は十分にあるだろう。モンスターの寿命がいくつまでなのかはしらないけど、戦って生き抜き続ければそういった領域に到達する可能性はゼロでは無い、と俺は思う」

「なるほど……それなら、俺もオーガロードになれる可能性があるという訳か」

「そういう事だな! でも、希少種であるザハークがロードまで成長したらランクはどうなるんだ??」

「おそらくですが、ランクSに到達するかと思われます」

ランクの中でも強さはピンキリではあるが、それでもSランクに認定されるモンスターは人類からすれば全て埒外な化け物に変わり無い。

「はっはっは、そうなったら殆ど敵無しになるか」

「……いや、そんなことは無いと俺は思う。いつも、ソウスケさんが言っていただろう。ダンジョンでは何が起こるか分からないと。なら、ダンジョンに入れば俺より強い敵が現れてもおかしく無い」

「確かにそんな事言ってたかもな。それを考えれば確かにそういった相手がいてもおかしく無い、か……ミレアナ、そういったダンジョンって実際に存在するのか?」

「どうでしょうか? あまり確証のある話は聞いたことがありません。ただ、やはりダンジョンは年月が経つ事に階層を増します。もちろん限界はあるでしょうけど、Sランクのモンスターがダンジョンに存在すると期待して大丈夫だと思いますよ」

ミレアナも偶に情報収集をしているが、それでも全ての情報を得ている訳では無い。
そしてSランクのモンスターが存在するダンジョンは結果だけで言えば実在する。そしてそのダンジョンが大都市のギルドが管理している。

なのでソウスケ達がそのダンジョンに挑むのも不可能な話ではない。

「それでソウスケさん、今回受けたゴブリンの群れの偵察……まさか本当に偵察だけで終わらせるつもりなのか?」

「だって、そういう依頼な訳だしな。でも、万が一の場合は俺らで討伐して良いから俺達を偵察パーティーに入れたんだろ」

「万が一が起きてしまった場合、私達なら何とか出来ますからね」

例えゴブリンジェネラルやゴブリンキングがいようとも、ソウスケ達には関係無い。
本当に最悪な状態を考えればもう少し戦力が欲しいところだが、ソウスケには契約している二体の悪魔がいるので、そうなった場合でも全く問題無い。

「そうか・・・・・・なら、俺はその万が一が起きる事を祈ろう」

「おいおい、まったく。ギルドとしてはその万が一は起きて欲しく無いんだぞ」

「それなら、ソウスケさんとしてはどうなんですか?」

「俺としては……今回に限れば、別に万が一は起きなくても良いかな」

特に旨味のある素材が無いゴブリンではいくら強くなって進化しようとも、魔石以外はそこまで価値が無い。
なのでソウスケとしては今回の一件で万が一が起きても起きなくてもどちらでも良かった。
しおりを挟む
感想 253

あなたにおすすめの小説

虹色のプレゼントボックス

紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。 安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。 わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。 余計わけのわからない人物に進化します。 作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。 本当に尋常じゃないほど早いです。 残念ながらハーレムは無いです。 全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。 未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。 行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。 なかなかに最悪な気分になりました。 お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。 というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。 お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

処理中です...