転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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四百五十三話 横取りだけではなく

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「……ジャッカル、か?」

初めて見たモンスターに少々驚くソウスケ。
しかし特に強そうなモンスターには思えない。

「バイドジャッカル、人が得た獲物を横取りするのが得意なモンスターです」

「なるほどねぇ~~~、だから血の匂いに釣られてやって来たのか。まっ、せっかく来たところ悪いが、ルージュバードは既にしまってあるんだよな」

確かに鼻が血の匂いを捉えた。
だが、その血を流す獲物を消えていた。
その代わりに無傷の者達が直ぐ傍に立っている。

バイドジャッカルはアイテムボックスなどのスキルや、その能力が付与されているマジックアイテムなどの存在は知らない。
なのでソウスケ達を殺せば獲物を奪えると考えている。

「「「「グルルルル……」」」」

「随分と好戦的な眼だな……こいつら、ランクはDか」

「はい。群れでは少々面倒な相手ですが、この数では大したことは無いでしょう」

「そうか、にしても漁夫の利を得たいタイプのモンスターか……似た様なタイプのモンスターがいた気がするな。というか、Dランクのモンスターならザハークにビビれば良いのに」

「確かに怯えて逃げる可能性もありますが……頭のネジが外れているのでしょう」

「……かもしれないな」

四体のバイドジャッカルには所々目立つ傷があった。
それは四体が漁夫の利を得るだけでなく、今回のように無傷の相手に勝負を挑んで生き延びた証とも言える。

「ガルルルルァアアアアア!!!!!」

一体のバイドジャッカルが吼え、それに続いて残りの三体も吼える。
そして一斉に襲い掛かる。

(・・・・・・ぶっちゃけ連帯もクソも無い。ただ、それでも迷いの無い一撃って感じだな)

攻撃そのものは悪くないと感じるも、ソウスケとミレアナは即座に対処する。

「よっと」

「……」

咬みつきをサラッと躱し、横から魔力の刃で首を一刀両断。
たったそれだけで戦いは終わった。

迷いが無く、バイドジャッカル達にとっては最良の一撃だったかもしれない。
ただ……それだけで身体能力や反応速度の差が生まれ訳では無い。

「……その気迫は良いが、俺に咬みつくには実力が追い付いていないな」

ジャブを二発。
それだけで戦闘終了。

ほぼ同時に襲い掛かった二頭のバイドジャッカルだが、空中に跳んでいたこもあって避けることは出来ず……そもそもな話、ザハークのジャブに反応出来なかった。

ジャブが当たった頭部は弾け飛ぶことは無く、頭蓋骨を粉砕して脳を壊すだけに留まった。

(もっと体格が大きく、身体能力が高ければ良い戦いが出来たかもしれなかったな)

戦って感じた感想は変わらずザハークらしい内容だった。

「こいつの討伐依頼とか受けてないけど……肉って食べられるの」

「そう、ですね……あまり美味しく無かったような」

「非常食用ってところか……じゃあ、肉はいらないか」

第二のバイドジャッカル達が現れない内にソウスケ達は解体を始める。
そして四体分の解体が終わり、肉も何かに使えるかもしれないということでアイテムボックスの中にしまった。

「さて……とりあえず依頼は達成、だな」

「そうですね。思っていたよりも早く終わりましたね」

「そうだよ、それな。二日探しても見つからなかったから、もしかしたら数日は必要かと思っていたんだが……随分あっさりと見つかったからな」

「確かに、あっさりと見つかったな」

ザハークもソウスケと同様に、そう簡単には見つけることは出来ないと思っていた。
なのでソウスケが女学生達の護衛依頼を数日後にしたのは賛成だった。

ミレアナもその可能性は十分にあると思っていたが……三人の予想はあっさりと良い意味で裏切られた。
そう簡単に見つからないと思って女学生達の依頼を受ける時を延ばしていた。
ただ、羽をゲットするまでの期間に得られないよりは良い。

(そうだよな、早く手に入れられたのは悪い事じゃない、寧ろ良い事だ)

一先ずルージュバードの羽を手に入れることが出来、領主からの指名依頼は完了した。
しかし女学生達に標的が直ぐに見つかり、今から依頼を受けられると予定を変更するのはよろしく無いと思い、ソウスケ達はそのまま狩りを続行する。

「……まだ日が沈むまで時間がある。もう少し狩るだろ」

「勿論だ。まだまだ暴れ足りない」

「暴れるのは良いですけど、あまり地面をボコボコにするのは止めてくださいね」

そんな軽口を叩きながら三人は再び歩き始める。
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