転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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四百六十七話 いらない誘い

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「どうだった?」

「意外と楽しかったぞ。まぁ……元がゴブリンだからそこまで攻撃力は高く無かった。ただ、闘志は一人前だったからそこは評価うべき点だな」

(……闘志に関してはザハークから絶対に逃げられないって解ってるからこそ、湧き出てきたんだろうけどな)

レッドゴブリンジェネラルはソウスケ達から逃げられるのなら逃げたかった。
それはそうだろう。いくら自分より弱いとはいえ、群れの仲間達が瞬殺されていく様子を見せられては戦意が萎える。

だが、自身が対峙している相手が絶対に自分を逃がそうとしてくれる様子は無く、ほぼやけくそに近い
状態でレッドゴブリンジェネラルはザハークに挑んで倒された。

「魔石だけは無事だぞ」

「ありがとさん。手斧は……ちょっとボロボロ過ぎるから持って帰っても意味は無いな」

「むっ、手斧も回収した方が良かったか?」

ザハークの頭の中でゴブリンは魔石さえ無事ならば問題無いという認識だった。
だが、ソウスケがモンスターが持っていた武器も欲していると知ると、やってしまったという表情になる。

「いや、そこまで気にしなくて良いよ。明らかに欲しいと思う武器だったら最初から言ってるし」

レッドゴブリンジェネラルが持っていた二つの手斧は確かに平均レベルより少し高い武器だったが、ソウスケが心の底から欲する武器では無かった。

(さすがにそこまで条件を付けて戦わせるのは窮屈だろう。というか、そういう相手は俺が戦えば問題無しだ)

ソウスケもそこそこバトルは好きだが、ザハーク程ではない。
それに搦手に関してはソウスケの方が多く持っているので、武器を奪うなどの行為はそこまで難しくない。

「にしても……そう簡単に現れないな」

「火山付近に生息しているとはいっても、かなり広いですからね。それに珍しいモンスターです。簡単には発見出来ないでしょう」

「そういうもんか……まっ、まだまだ時間はあるから大丈夫だけどさ」

ソウスケ達が街の領主から受けた依頼に関しては既に素材をフレイルスのギルドを通して送っているので、指名依頼は達成したも当然。

「一旦街に戻って再度情報収集を行いますか?」

「いや、大体どんなモンスターなのか予想は出来ている。街に戻って再度情報収集を行うのは時間の無駄だ。現地で探していた方が早く見つかる筈だ」

確かに捜索範囲は広いが、ソウスケ達が予想しているモンスター像はほぼ合っている。
それについては確かめようが無いが、事実として街に戻って再度情報収集を行うのは無駄と言える。

ただ、その日も太陽が沈むまで探索を続けたが、お目当ての珍しいモンスターは見つからなかった。
その夜、一つのパーティーがソウスケ達の元にやって来た。

「やぁ、少しいいかな」

「……あんたら、誰だ?」

ソウスケ達に声を掛けてきた冒険者は男二人と女の二人のパーティー。
服装を見るからにアタッカーが一人とタンクが一人。そしてメイジとヒーラーが一人と、バランスの取れたパーティー。

「僕達はCランクパーティーの蒼の流星。それで、僕はリーダーのハリス」

「……ソウスケだ。一応このパーティーのリーダーをやっている」

ソウスケといては素直に事実を伝えたつもりだったが、四人はエルフのミレアナがパーティーリーダーだと思っていたので面食らった表情になる。

だが、そこは直ぐに表情を立て直してソウスケに接する。

「そうか、なら丁度良かった。聞きたいことがあるんだが、君達もギルドで噂が出ているモンスターを探しているのかい?」

「あぁ、一応な。あんたらも同じモンスターを探してるって事か」

まだ自身のランクを名乗っていないソウスケだが、ぱっと見でソウスケがハリス達よりもランクが低いという事は解かる。
実力主義が根付いている冒険者としては、そのランクが自身の強さを表す重要なファクター。

なので、自分よりランクが下であろうソウスケにタメ口を使われて腹が立たない訳が無い。
だが……ハリスはそういう気持ちを消し、大人の対応で接している。

「そうなんだよ。それでもし良かったらなんだけど、僕達と一緒にそのモンスターを探さないかい? 探す人数が増えれば見つかるチャンスも増えると思うしさ」

ハリスが言っている事は間違っていない。
間違ってはいないが……ソウスケにとってはただの余計なお世話だった。

「いいや、断る。噂のモンスターは俺達だけで見つける」
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