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四百七十六話 それほどの価値がある
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当然、戦いが始まってからザハークは本気で戦っていた。
だが……それでも今回ソウスケが三人の学生から受けた依頼内容は覚えていた。
三人から依頼を受けなければルージュバードを倒すだけで街から離れていたかもしれない。
だから三人にはアシュラコングに出会わせてくれた事に感謝している。
そして、その為に得意では接近戦をアシュラコングに仕掛けた。
しかし得意で無い攻撃でアシュラコングはやはり不可能だった。
そこでザハークはもう問題無いと思い、今まで敵に対して戦意しか向けていなかったが……そこに殺意が加わった。
絶対に俺が勝ち、生き残るという思いが込められている
その気迫にアシュラコングは少々後退るが、直ぐにいつもの状態に戻ってザハークとの殴り合いに応じる。
「単純に疑問なんだけどさ」
「何でしょうか」
「あそこまで戦いの衝撃音が響いている戦いを観て、最後に美味しいところを奪おうと思っう馬鹿は現れるとも思うか」
「……基本的にはいないと思いますが、戦い終わった両者の状況によるのではないでしょうか」
Aランクのアシュラコングと互角かそれ以上の戦いを見せているザハークを見れば、その実力がAランクかもしくはその枠を超えるかもしれない実力を持っているかもしれない。
という事は、素人でも観ていれば解る。
だが、弱っていれば自分達の実力でも倒せると思ってしまっている馬鹿か……それ相応の実力を持っている強者ならば漁夫の利を得ようと考える可能性はある。
(Bランク……Cランクの冒険者でもザハークとアシュラコングの状態によっては仕掛けてくるかもな)
可能性がゼロとは言えない考えだ。ゼルートもその考えが悪いとは思わない。
「ですが、そういった事を狙っている連中は私達の存在に気付いているでしょう」
ソウスケ達は少々離れた場所で二体の戦いを見守っているが、仮に違う場所から二体の戦いを観ている冒険者がいたとしても、ソウスケ達の存在には気が付く。
「それこそ、ソウスケさんの言う馬鹿ではない限りそんな事を考えて実行しようとは思えませんが」
「そうか……かもしれないな」
「あの……そもそもザハークさんはソウスケさんの従魔、ですよね? それなら基本的に戦いが終わった後に獲物を奪おうとするのはルール違反だと思うんですけど」
カレアの言う通りルール違反だ。
それでも屑共は上手く証拠隠滅する。
ただ……今回の場合は少々状況が違う。
「ルール違反、だろうな。ギルドが用意した従魔の証も身に着けている。だけど……今回は獲物が獲物だ。Aランクモンスターの素材や魔石を全て売れば、かなりの大金になる。それこそ、物によっては十年近くは働かずに暮らせる程にな」
あくまでつつましく暮らせば話だが、ソウスケの言う通りAランクモンスターの素材や魔石にはそれだけの価値がある。
なので危険を犯してでもソウスケ達からアシュラコングの死体を奪おうと考える馬鹿が現れてもおかしく無い。
「ん~~~……相変わらずクリティカルヒットは無いから中々決着が着かないな」
「ですが、接近戦の技術はザハークの上です。表には見えていないだけで中にはダメージが通っているかと」
「それもそうか。それを考えると……案外そろそろ勝負が終わるか?」
アシュラコングは生まれた時から強者だった故に、技術に関しては皆無に等しかった。
ザハークとの戦いからそれを驚異的な速度で学んではいるが、それでも現時点ではザハークには遠く及ばない。
(技術は俺の方が上。だが、そう簡単に崩れないタフネス……そしてこの六本の腕。非常に厄介だ)
戦況は深く視ればザハークの方が優勢ではあるが、それでも一瞬たりとも気が抜けない状態。
そんな中でザハークはある技を閃いた。
(……無いなら作れば良い。鍛冶と似た様なものか?)
そう考えながらザハークは全力でアシュラコングの胸に両腕で掌を叩き込み、怯んだ一瞬のうちに大きく距離を取る。
そして今考え付いた技を実行する。
だが……それでも今回ソウスケが三人の学生から受けた依頼内容は覚えていた。
三人から依頼を受けなければルージュバードを倒すだけで街から離れていたかもしれない。
だから三人にはアシュラコングに出会わせてくれた事に感謝している。
そして、その為に得意では接近戦をアシュラコングに仕掛けた。
しかし得意で無い攻撃でアシュラコングはやはり不可能だった。
そこでザハークはもう問題無いと思い、今まで敵に対して戦意しか向けていなかったが……そこに殺意が加わった。
絶対に俺が勝ち、生き残るという思いが込められている
その気迫にアシュラコングは少々後退るが、直ぐにいつもの状態に戻ってザハークとの殴り合いに応じる。
「単純に疑問なんだけどさ」
「何でしょうか」
「あそこまで戦いの衝撃音が響いている戦いを観て、最後に美味しいところを奪おうと思っう馬鹿は現れるとも思うか」
「……基本的にはいないと思いますが、戦い終わった両者の状況によるのではないでしょうか」
Aランクのアシュラコングと互角かそれ以上の戦いを見せているザハークを見れば、その実力がAランクかもしくはその枠を超えるかもしれない実力を持っているかもしれない。
という事は、素人でも観ていれば解る。
だが、弱っていれば自分達の実力でも倒せると思ってしまっている馬鹿か……それ相応の実力を持っている強者ならば漁夫の利を得ようと考える可能性はある。
(Bランク……Cランクの冒険者でもザハークとアシュラコングの状態によっては仕掛けてくるかもな)
可能性がゼロとは言えない考えだ。ゼルートもその考えが悪いとは思わない。
「ですが、そういった事を狙っている連中は私達の存在に気付いているでしょう」
ソウスケ達は少々離れた場所で二体の戦いを見守っているが、仮に違う場所から二体の戦いを観ている冒険者がいたとしても、ソウスケ達の存在には気が付く。
「それこそ、ソウスケさんの言う馬鹿ではない限りそんな事を考えて実行しようとは思えませんが」
「そうか……かもしれないな」
「あの……そもそもザハークさんはソウスケさんの従魔、ですよね? それなら基本的に戦いが終わった後に獲物を奪おうとするのはルール違反だと思うんですけど」
カレアの言う通りルール違反だ。
それでも屑共は上手く証拠隠滅する。
ただ……今回の場合は少々状況が違う。
「ルール違反、だろうな。ギルドが用意した従魔の証も身に着けている。だけど……今回は獲物が獲物だ。Aランクモンスターの素材や魔石を全て売れば、かなりの大金になる。それこそ、物によっては十年近くは働かずに暮らせる程にな」
あくまでつつましく暮らせば話だが、ソウスケの言う通りAランクモンスターの素材や魔石にはそれだけの価値がある。
なので危険を犯してでもソウスケ達からアシュラコングの死体を奪おうと考える馬鹿が現れてもおかしく無い。
「ん~~~……相変わらずクリティカルヒットは無いから中々決着が着かないな」
「ですが、接近戦の技術はザハークの上です。表には見えていないだけで中にはダメージが通っているかと」
「それもそうか。それを考えると……案外そろそろ勝負が終わるか?」
アシュラコングは生まれた時から強者だった故に、技術に関しては皆無に等しかった。
ザハークとの戦いからそれを驚異的な速度で学んではいるが、それでも現時点ではザハークには遠く及ばない。
(技術は俺の方が上。だが、そう簡単に崩れないタフネス……そしてこの六本の腕。非常に厄介だ)
戦況は深く視ればザハークの方が優勢ではあるが、それでも一瞬たりとも気が抜けない状態。
そんな中でザハークはある技を閃いた。
(……無いなら作れば良い。鍛冶と似た様なものか?)
そう考えながらザハークは全力でアシュラコングの胸に両腕で掌を叩き込み、怯んだ一瞬のうちに大きく距離を取る。
そして今考え付いた技を実行する。
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