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五百五十七話 軽く体を動かそう
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「生徒たちはなんで投げられたのか解らないって顔をしてたんじゃないか」
「そうだな。俺としては技の精度はまだまだだと思うが、投げられた後にポカーンとしてる者が多かった」
人間の反射神経と体移動を利用して投げるので、合気とは異なる投げになる。
ソウスケからすれば合気の様なまるで魔法に近い投げや制圧とは違うと考えているが、どちらにせよ生徒にとって摩訶不思議な攻撃に変わりない。
「ソウスケさんはあのような攻撃を元々知っていたのですか?」
「知っていたというか……そうだな知ってはいたけど、実際に出来た訳じゃないよ」
テレビは動画などで偶に小柄な達人が大柄の人を投げ飛ばす、動かなくするという映像を見た。
しかしそれを見ても、実際にそんな芸当が出来るのか……そう考えると、絶対に無理だと思っていた。
(この世界では人によって身体能力が元の世界より大きく異なる。力の流れ? みたいなのもなんとなく解らなくもないからくるっと投げられることが出来るけど)
絶対に実行できないと思っていた芸当が、今の自分には出来る。
さすがファンタジーの世界だと思った瞬間であった。
「それで、投げを生徒たちに教えたのか?」
「いや、教えてないぞ。あれはソウスケさんから教えてもらった技だ。少し考えれば気付く基礎の様な動きではない。軽々しく教えても良い技ではないだろ……もしかして、聞かれたらどんどん教えても良い技だったか?」
「……そうだな。投げは秘密にしておこうか」
特別な技という訳ではないが、実戦で行おうとすれば非常に危険な技になる。
一歩間違えば手痛いカウンターを食らう。
そんな技をおいそれと教えることは出来ない。
「それで、ソウスケさん。午後からはどうしますか?」
「そうだな……明日の朝までに戻ってくれば良いんだし、軽く中級者向けのダンジョンに潜ろうかな」
一階層だけ軽く探索して終了……なんて軽い内容ではない。
ソウスケは中級者向けのダンジョンのニ十階層に転移し、そのまま全速力で三十階層のボスに挑もうと考えていた。
「エルダートレントとはこの前戦ったから、今度はミレアナかザハークが戦うか?」
「それでは、私にいかせてもらっても良いですか、ザハーク」
「ほぅ~~、珍しくやる気じゃないかミレアナ。構わないぞ、エルダートレントは俺が戦いたいタイプのモンスターではないからな」
「よし、決まりだな。早速ダンジョンに行くぞ」
三人は昼飯を食べ終え、腹が満たされた状態で早く最下層に降りようと速足で学園から出て、ダンジョンに向かった。
「……正気、なのか?」
厨房で三人の会話を聞いていた料理人は、思わずそんな言葉を漏らしてしまった。
元冒険者という訳ではないが、教師とも会話する中なのでダンジョン内の事情などはそれなりに知っている。
何処に転移しようと、最下層に降りるまで最短でも十階層を降りなければならない。
それを翌日の朝までに達成するなど、普通ならあり得ない。
だが、料理人は三人がどういった人物なのか知らない。
「それじゃ、行くぞ!!!」
ダンジョンの入り口に入り、二十一階層に転移して直ぐにダッシュ。
一応地図を見ながら降りているので、階段を探すのに時間が掛かることはない。
三人のスタミナと魔力量は他の同業者と比べて多く、身体強化を使った状態で走り続けても問題無い。
挑んできたモンスターは当然の様にぶっ飛ばして亜空間の中に放り込むが、大半のモンスターはソウスケたちを襲おうとしても、その脚の速さに付いて来れず攻撃を当てられない。
それなりに広い階層でも最短距離を高速で進み続ける三人とすれ違う同僚は、何が起こったのか解らず目が点になってしまうパーティーが多数いた。
そんな他の同業者を気にすることなく、三人はどんどん階層を下って行き、あっという間に最下層のボス部屋がある場所まで辿り着いた。
「そうだな。俺としては技の精度はまだまだだと思うが、投げられた後にポカーンとしてる者が多かった」
人間の反射神経と体移動を利用して投げるので、合気とは異なる投げになる。
ソウスケからすれば合気の様なまるで魔法に近い投げや制圧とは違うと考えているが、どちらにせよ生徒にとって摩訶不思議な攻撃に変わりない。
「ソウスケさんはあのような攻撃を元々知っていたのですか?」
「知っていたというか……そうだな知ってはいたけど、実際に出来た訳じゃないよ」
テレビは動画などで偶に小柄な達人が大柄の人を投げ飛ばす、動かなくするという映像を見た。
しかしそれを見ても、実際にそんな芸当が出来るのか……そう考えると、絶対に無理だと思っていた。
(この世界では人によって身体能力が元の世界より大きく異なる。力の流れ? みたいなのもなんとなく解らなくもないからくるっと投げられることが出来るけど)
絶対に実行できないと思っていた芸当が、今の自分には出来る。
さすがファンタジーの世界だと思った瞬間であった。
「それで、投げを生徒たちに教えたのか?」
「いや、教えてないぞ。あれはソウスケさんから教えてもらった技だ。少し考えれば気付く基礎の様な動きではない。軽々しく教えても良い技ではないだろ……もしかして、聞かれたらどんどん教えても良い技だったか?」
「……そうだな。投げは秘密にしておこうか」
特別な技という訳ではないが、実戦で行おうとすれば非常に危険な技になる。
一歩間違えば手痛いカウンターを食らう。
そんな技をおいそれと教えることは出来ない。
「それで、ソウスケさん。午後からはどうしますか?」
「そうだな……明日の朝までに戻ってくれば良いんだし、軽く中級者向けのダンジョンに潜ろうかな」
一階層だけ軽く探索して終了……なんて軽い内容ではない。
ソウスケは中級者向けのダンジョンのニ十階層に転移し、そのまま全速力で三十階層のボスに挑もうと考えていた。
「エルダートレントとはこの前戦ったから、今度はミレアナかザハークが戦うか?」
「それでは、私にいかせてもらっても良いですか、ザハーク」
「ほぅ~~、珍しくやる気じゃないかミレアナ。構わないぞ、エルダートレントは俺が戦いたいタイプのモンスターではないからな」
「よし、決まりだな。早速ダンジョンに行くぞ」
三人は昼飯を食べ終え、腹が満たされた状態で早く最下層に降りようと速足で学園から出て、ダンジョンに向かった。
「……正気、なのか?」
厨房で三人の会話を聞いていた料理人は、思わずそんな言葉を漏らしてしまった。
元冒険者という訳ではないが、教師とも会話する中なのでダンジョン内の事情などはそれなりに知っている。
何処に転移しようと、最下層に降りるまで最短でも十階層を降りなければならない。
それを翌日の朝までに達成するなど、普通ならあり得ない。
だが、料理人は三人がどういった人物なのか知らない。
「それじゃ、行くぞ!!!」
ダンジョンの入り口に入り、二十一階層に転移して直ぐにダッシュ。
一応地図を見ながら降りているので、階段を探すのに時間が掛かることはない。
三人のスタミナと魔力量は他の同業者と比べて多く、身体強化を使った状態で走り続けても問題無い。
挑んできたモンスターは当然の様にぶっ飛ばして亜空間の中に放り込むが、大半のモンスターはソウスケたちを襲おうとしても、その脚の速さに付いて来れず攻撃を当てられない。
それなりに広い階層でも最短距離を高速で進み続ける三人とすれ違う同僚は、何が起こったのか解らず目が点になってしまうパーティーが多数いた。
そんな他の同業者を気にすることなく、三人はどんどん階層を下って行き、あっという間に最下層のボス部屋がある場所まで辿り着いた。
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