転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
590 / 1,259

五百六十九話 感知力が高いから問題ない

しおりを挟む
「……雨が降っていない。鍛冶を始める日としては気分が晴れるから嬉しいな」

高級店で料理を食べた翌日、天気は快晴。
朝から気分が下がることなく起きることができた。

そしてミレアナと一緒に食堂に降り、まずは腹を満たす。

「ミレアナ、今日から早速ダンジョンに潜るのか」

「……そうですね。ソウスケさんとザハークが鍛冶に集中している間、錬金術の腕を磨くのもありかと思っていますが、今日のところはダンジョンに潜ろうと思います」

「そうか。まぁ……あれだ、無茶しないようにな。それと、転移トラップには気を付けてな」

「えぇ、勿論気を付けます。あれはあれでそれなりに厄介でした」

ミレアナの実力があればBランクやAランクのモンスターがゴロゴロいる部屋に転移されなければ、基本的には殲滅できる。

だが、それでも仲間として心配に思ってしまう。

「それと、ミレアナに限ってないとは思うけど、悪い奴に騙されないようにな」

「心得ています。ですが……万が一そういった輩に襲われた場合は、始末してもよろしいでしょうか」

ダンジョンの中で同業者から襲われた場合、殺されたら死体はダンジョンに吸収されてしまう。
故に、死体という殺された証拠が残らない。

「あぁ、もしそうなったら容赦せず殺して良いぞ。ミレアナを襲う馬鹿なんていないと思うけどな」

「性欲とお金のことしか考えていない馬鹿は相手の力量など考えなしに行動するでしょう。それを考えれば、私が襲われる可能性も少なからずあるかと」

「……絶対に無いとは言えないな。襲ったところで殺されてダンジョンの栄養分になるだけなんだけどな」

この都市に来て全ての冒険者と会った訳ではなく、裏の人間にどのような者がいるのか把握もしていない。
だが、ソウスケが感じた限り、今のところミレアナより強い人物がこの都市に居るとは思えない。

(薄汚い、卑怯な点だけならミレアナより上手な奴がいるかもしれないけど、ミレアナの感知力は並じゃないからな。怪しい奴が近づいてきたら、その時点で気付いてなにかしら対処はするだろ)

ミレアナの実力を信用しているので、これ以上は口を出さなかった。

「お二人は一週間ほど鍛冶場で作業するのですよね」

「そうだな。偶には外に出ると思うけど……当分の間は武器や防具を造るのに集中してると思う」

「分かりました。それではダンジョンの中で泊まることがあるかもしれないので、六時ぐらいに戻らなかったら先にご飯を食べておいてください」

本日からのやり取りを決め終え、朝食を食べ終えた二人はそこから別行動を始めた。

「久しぶりの鍛冶……腕が鳴るな」

「そうだな。これといった武器を造ろうってのは考えてないけど、目標はとりあえず質が高い武器を造りたいって感じだな」

「うむ。俺もこれといった目標がないゆえ、基本的にそれが目標になるな」

同じ素材を使ったても、素材を扱う職人によって武器の性能や切れ味、付与される能力が変わる。
平凡の鉄のロングソードであっても、その差は如実に現れる。

「しかし、ソウスケさんは俺や他の人間と比べて発想力が高いだろ。なら、少し頭を捻って珍しい武器を造るのもありじゃないか」

「……ありといえばありだけど、そう簡単に思い付きはしないんだよ。珍しい武器っつっても……あっ」

そう簡単にアイデアが浮かぶ筈がない。
なんて思っていたが、こんな武器はありじゃないか? と思えるイメージが頭の中に浮かんだ。

「おっ、やはり良いアイデアが浮かんだか?」

「良いアイデアというか……既にあるか可能性が高いけど、こういう武器があれば良いよなってイメージが浮かんだんだ」

脳内に浮かんだのは十手やソードブレイカーに似た性能を持つ槍だった。

(実際に造れるとは思うけど、実戦で使えるかどうかはまた別だよな……いや、でも造ってみる価値はある筈だ!!!)

鍛冶場に入る前に更に気合が入り、メラメラとやる気が溢れた状態で鍛冶ギルドの中へと入って行った。



先日からブックウォーカーで「小説投稿サイトで稼ぐ方法」という電子書籍の発売を始めました。
本人は私が次々幾ら稼いでいるのか。
そしてどういった手順、考え方で大まかな設定やストーリーを考えているのかを記載しています。

もし小説を書くという副業をしてみたいと思う方がいれば、是非ご購入してみてください。
お値段は後九日間は百五十円です!
しおりを挟む
感想 253

あなたにおすすめの小説

虹色のプレゼントボックス

紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。 安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。 わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。 余計わけのわからない人物に進化します。 作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。 本当に尋常じゃないほど早いです。 残念ながらハーレムは無いです。 全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。 未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。 行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。 なかなかに最悪な気分になりました。 お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。 というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。 お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ

一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。 百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。 平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。 そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。 『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました

KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」 勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、 ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。 追放すらできない規約のせいで、 “事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。 だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。 《超記録》―― 敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。 生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。 努力で《成長》スキルを獲得し、 記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。 やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。 対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、 記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。 一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。 さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。 街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。 優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。 捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。 爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

処理中です...