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五百七十八話 そっちの話はまだあまり広まっていない
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「さて、今日も潜りましょう」
先日、エルダートレントを倒したミレアナは美味しい夕食を食べ、一晩ぐっすりと休んだ翌日……なんと再び中級者向けダンジョンに入り、二十一階層に転移。
そこから猛スピードで階層を駆け下りていく。
先日トレントやエルダートレントの素材を手に入れたが、個人的にはもう少しエルダートレントの素材が欲しいと思っていた。
というわけで、今回もせっせと階層を降りていく。
四回目の探索となればそれはもう速い速い。
たまたますれ違う冒険者たちがモンスターなのか同業者なのか、判断できない速度で降りている。
今回は圧倒的な速度で駆け下り、たった二日で最下層まで辿り着いてしまった。
そして今回もミレアナは一人で受けるつもりなのだが、ボス部屋の前に辿り着くと数組の冒険者が順番を待っていた。
その冒険者たちはミレアナが一人でここまで降りてきた実力に驚くが、ソロでボスに挑むのは危ない……加えて、自分たちのパーティーに一時的に入ってもらえば複数のトレントとエルダートレントを倒せる可能性が上がると思い、ミレアナに自分たちと一緒にボスと戦わないかと誘う。
(…………前回も誘いを断ってソロでボスに挑んだのですが、同業者の方々は学習しないのでしょうか)
このように考えてしまうのは仕方ない。
だが、学術都市には多くの冒険者が滞在している。
ソウスケ、ミレアナ、ザハークという凸凹なパーティーがやって来たという話は徐々に広まっているが、ミレアナは他の冒険者の誘いを断って一人で三十層のボスに挑むという話はまだあまり広まっていない。
という訳で、ミレアナという美人で強い冒険者がソロでダンジョンを潜っていると分かれば、初見で誘わない者はいない。
今回も凍てつく様な空気を発し、同業者たちに自分の方があなたたちより上だと解らせた。
そして前回と同じく一人でボス部屋の中に入り、特に戦いを楽しむことはなくささっとボスを倒して地上へと戻った。
(これでエルダートレントの素材が二体分。杖を造る素材としては申し分ないでしょう。いや、どうせなら弓を作るのもありでしょうか……しかし弦となる糸がありませんね。ひとまず弓を作るのは後回しにしましょう)
ダンジョンから返ってきたミレアナはホクホク顔のまま泊っている宿に戻り、早速杖づくりを始めた。
杖の素材となるのは木……だけがメインだけではなく、鉱石なども素材として使える。
加えて、錬金術のスキルがあれば習得者の熟練度にもよるが、モンスターの素材を木に組み込むことが出来る。
ミレアナのレベルではまだそれがようやく出来るようになったばかりなので、組み込むにはそれなりに時間がかかるが、諦めずに根気よく素材となる木を強化していく。
そして杖の源となる部分の玉には鉱石、モンスターの魔石、かわった素材で言えばモンスターの眼玉を使う場合がある。
しかし今回は自身が倒したモンスターの魔石を使用し、杖を造り上げいく。
初めて杖作りを始めてから一時間半後、ようやく杖を造り終えた。
「ふぅーーーーー、随分と時間を使ってしまいましたね」
ポーションを造るのであれば、一本分造るのに大した時間は掛からない。
だが、ポーション一本分を造るのと比べて杖一本を造るほうが大きな達成感があった。
「……ランクは三。攻撃魔法の威力上昇、詠唱速度の上昇。そして魔力量の増加。それとウィンドカッター、ブレードが使用できる……ランク三なので、あまり大した効果は期待できなさそうですね」
造り終えた武器に不満を抱くミレアナ。
しかし一定の魔術師には需要がある武器だった。
装備するだけでウィンドカッターとブレードが使える。
それだけでも魔法をメインで使う者にとっては需要がある。
だが、ミレアナはボスモンスターであるエルダートレントを倒した時に手に入れた宝箱に入っていた杖と見比べると、自分が作った杖はやはり劣っていると感じる。
ミレアナはソウスケの解錠光景を見ながら、自身の氷魔法を使って独自の解錠方法身に着けていた。
「こちらの杖はランク五……おそらく造るのに使われたであろう素材を考えれば、大きな差が生まれるのは当然ですが……やはり回数を重ねて頑張るしかありませんね」
ダンジョンから戻ってきた時間は昼過ぎであり、夕食の時間になるまでミレアナは延々と杖を造り続けた。
先日、エルダートレントを倒したミレアナは美味しい夕食を食べ、一晩ぐっすりと休んだ翌日……なんと再び中級者向けダンジョンに入り、二十一階層に転移。
そこから猛スピードで階層を駆け下りていく。
先日トレントやエルダートレントの素材を手に入れたが、個人的にはもう少しエルダートレントの素材が欲しいと思っていた。
というわけで、今回もせっせと階層を降りていく。
四回目の探索となればそれはもう速い速い。
たまたますれ違う冒険者たちがモンスターなのか同業者なのか、判断できない速度で降りている。
今回は圧倒的な速度で駆け下り、たった二日で最下層まで辿り着いてしまった。
そして今回もミレアナは一人で受けるつもりなのだが、ボス部屋の前に辿り着くと数組の冒険者が順番を待っていた。
その冒険者たちはミレアナが一人でここまで降りてきた実力に驚くが、ソロでボスに挑むのは危ない……加えて、自分たちのパーティーに一時的に入ってもらえば複数のトレントとエルダートレントを倒せる可能性が上がると思い、ミレアナに自分たちと一緒にボスと戦わないかと誘う。
(…………前回も誘いを断ってソロでボスに挑んだのですが、同業者の方々は学習しないのでしょうか)
このように考えてしまうのは仕方ない。
だが、学術都市には多くの冒険者が滞在している。
ソウスケ、ミレアナ、ザハークという凸凹なパーティーがやって来たという話は徐々に広まっているが、ミレアナは他の冒険者の誘いを断って一人で三十層のボスに挑むという話はまだあまり広まっていない。
という訳で、ミレアナという美人で強い冒険者がソロでダンジョンを潜っていると分かれば、初見で誘わない者はいない。
今回も凍てつく様な空気を発し、同業者たちに自分の方があなたたちより上だと解らせた。
そして前回と同じく一人でボス部屋の中に入り、特に戦いを楽しむことはなくささっとボスを倒して地上へと戻った。
(これでエルダートレントの素材が二体分。杖を造る素材としては申し分ないでしょう。いや、どうせなら弓を作るのもありでしょうか……しかし弦となる糸がありませんね。ひとまず弓を作るのは後回しにしましょう)
ダンジョンから返ってきたミレアナはホクホク顔のまま泊っている宿に戻り、早速杖づくりを始めた。
杖の素材となるのは木……だけがメインだけではなく、鉱石なども素材として使える。
加えて、錬金術のスキルがあれば習得者の熟練度にもよるが、モンスターの素材を木に組み込むことが出来る。
ミレアナのレベルではまだそれがようやく出来るようになったばかりなので、組み込むにはそれなりに時間がかかるが、諦めずに根気よく素材となる木を強化していく。
そして杖の源となる部分の玉には鉱石、モンスターの魔石、かわった素材で言えばモンスターの眼玉を使う場合がある。
しかし今回は自身が倒したモンスターの魔石を使用し、杖を造り上げいく。
初めて杖作りを始めてから一時間半後、ようやく杖を造り終えた。
「ふぅーーーーー、随分と時間を使ってしまいましたね」
ポーションを造るのであれば、一本分造るのに大した時間は掛からない。
だが、ポーション一本分を造るのと比べて杖一本を造るほうが大きな達成感があった。
「……ランクは三。攻撃魔法の威力上昇、詠唱速度の上昇。そして魔力量の増加。それとウィンドカッター、ブレードが使用できる……ランク三なので、あまり大した効果は期待できなさそうですね」
造り終えた武器に不満を抱くミレアナ。
しかし一定の魔術師には需要がある武器だった。
装備するだけでウィンドカッターとブレードが使える。
それだけでも魔法をメインで使う者にとっては需要がある。
だが、ミレアナはボスモンスターであるエルダートレントを倒した時に手に入れた宝箱に入っていた杖と見比べると、自分が作った杖はやはり劣っていると感じる。
ミレアナはソウスケの解錠光景を見ながら、自身の氷魔法を使って独自の解錠方法身に着けていた。
「こちらの杖はランク五……おそらく造るのに使われたであろう素材を考えれば、大きな差が生まれるのは当然ですが……やはり回数を重ねて頑張るしかありませんね」
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