転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
876 / 1,293

八百四十六話 神秘的な美しさ

しおりを挟む
ミレアナは当初、パーティーが始まると自分は貴族の令息、今回の戦場で関わってなかった男性騎士に囲まれると思い、どう丁寧にあしらおうかと考えていた。

しかし……予想外なことに、ミレアナの周辺にはザハークと同じ貴族令嬢たち……もしくは、ソウスケの周辺にいる当主たちの妻たちが囲っていた。

「そ、それでミレアナさんたちはどうしたのですか!!」

「やはり真っ先に反応したのはソウスケさんでした:

ミレアナのエルフ(ハイ・エルフ)としての容姿にプラス、翡翠色のソウスケが金を惜しむことなく購入したドレスを身に付けていることもあって、美しさは限界突破していると言っても過言ではない。

加えて、ミレアナの場合は単純な美しさだけではなく、そこに男装騎士の様なカッコ良さまで加わっている。

そのため、周囲の令嬢や婦人たちは色々とドキドキしながらミレアナの語りを聞いていた。

「あ、あの。差し出がましいかもしれませんが、ミレアナさんとソウスケさんの出会いを教えてもらっても、よろしいでしょうか」

現在ミレアナが語る内容はザハークと同じ戦争中の内容であるため、急にガラッと変わってしまう。

しかし、二人に出会いを知りたいと申した令嬢に対して「今余計な発言をしないでよ!!!」といった鋭い視線を向ける者はいなかった。
寧ろ令嬢や婦人たちからすれば、二人がどうやって出会ったのか……そういったエピソードは大好物だった。

「えぇ、構いませんよ。そうですね……ソウスケさんは、私にとって救世主でした」

もう始まりからドキドキワクワクが加速する。

ミレアナが奴隷という立場だったことに驚くも、神秘的という言葉に近い美しさを持っていることもあり、そんな要素どうでも良いと思ってしまう。

「そこでソウスケさんは私は奴隷という立場から解放してくれたのです。一人の仲間として接したいと」

「「「「「「ッ!!!!!」」」」」」

これは決してラブストーリーではない。
ラブストーリーではないのだが……そんなこと関係無しに、ソウスケの行動に女性たちは大盛り上がり。

お茶会という女性だけの集まりではないため、声を抑えるのに必死である。

「も、もう、こう……紳士という言葉を越えていると言いますか」

「え、えぇそうですよ」

奴隷から解放する。
つまり、解放した時点で購入した主としては、逃げられても文句は言えない。

そんな事を戦争で大活躍したソウスケが理解してないとは思えない。

「紳士、と言うよりもソウスケさんはただ純粋だったのだと思います。信用出来る仲間が欲しい……だからこそ、真っすぐ……曇りのない誠意を見せてくれたのです」

紳士という言葉を超えた純粋さ。
その言葉にときめかない者はいなかった。

「それでは、ミレアナさんとしては、ソウスケさん以上の実戦での強さを持つ方以外は、人生の伴侶にするつもりはない、と」

婦人の問いにミレアナは少したりとも悩むことなく答えた。

「そうなりますね」

ノータイムでの返答に、主に令嬢たちが必死で悲鳴に近い歓声を抑える。

「それに、皆さんも既に存じ上げていると思いますが……ソウスケさんは、物凄く稼ぎます」

何名かの婦人たちが目をキラリと輝かせた。

「どれぐらい稼ぐのかと申しますと、個人情報になりますので正確にはお伝え出来ませんが、ソウスケさんはとにかくお金の消費具合を気にすることがありません」

「それは、本当に素晴らしいですわ!」

お金を持っている貴族とはいえ、家の金を湯水の如く使える訳ではない。

街、納めている村の発展や大飢饉が起こった時への対策など、まともな思考を持っていれば、金はどれだけあっても困るものではない物。

(……どうやら、それなりに良い牽制になったようですね)

少し嫌な自慢をしたのには、自分に声をかけようと機会を窺っている面倒な野郎たちへ牽制する為だった。
しおりを挟む
感想 254

あなたにおすすめの小説

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!

楠ノ木雫
恋愛
 朝目が覚めたら、自分の隣に知らない男が寝ていた。  テレシアは、男爵令嬢でありつつも騎士団員の道を選び日々精進していた。 「お前との婚約は破棄だ」  ある日王城で開かれたガーデンパーティーの警備中婚約者に婚約破棄を言い出された。テレシアは承諾したが、それを目撃していた先輩方が見かねて城下町に連れていきお酒を奢った。そのせいでテレシアはべろんべろんに酔っ払い、次の日ベッドに一糸まとわぬ姿の自分と知らない男性が横たわっていた。朝の鍛錬の時間が迫っていたため眠っていた男性を放置して鍛錬場に向かったのだが、ちらりと見えた男性の服の一枚。それ、もしかして超エリート騎士団である近衛騎士団の制服では……!? ※3連休中は一日5話投稿。その後は毎日20時に一話投稿となります。 ※他の投稿サイトにも掲載しています。 ※この作品は短編を新たに作り直しました。設定などが変わっている部分があります。(旧題:無慈悲な悪魔の騎士団長に迫られて困ってます!〜下っ端騎士団員(男爵令嬢)クビの危機!〜)

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

大陸を散策する聖女と滅ぶ王国~婚約破棄が引き金~

鷲原ほの
ファンタジー
傲慢な王子と侯爵令嬢が、厳しく制約された聖女を解き放ってしまう婚約破棄騒動。 犠牲を強いてきた王国は傾き、されど転生者は異世界の不思議に目を輝かせるだけ。

公爵閣下、社交界の常識を学び直しては?

碧井 汐桜香
ファンタジー
若い娘好きの公爵は、気弱な令嬢メリシアルゼに声をかけた。 助けを求めるメリシアルゼに、救いの手は差し出されない。 母ですら、上手くやりなさいと言わんばかりに視線をおくってくる。 そこに現れた貴婦人が声をかける。 メリシアルゼの救いの声なのか、非難の声なのか。

トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

ファンタジー
そこは、ダンジョンと呼ばれる地下迷宮を舞台にモンスターと人間が暮らす世界。 冒険者と呼ばれる、ダンジョン攻略とモンスター討伐を生業として者達がいる。 その中で、常にトップの成績を残している冒険者達がいた。 その内の一人である、付与師という少し特殊な職業を持つ、ライドという青年がいる。 ある日、ライドはその冒険者パーティーから、攻略が上手くいかない事を理由に、「もう不要」と言われ解雇された。 新しいパーティーを見つけるか、入るなりするため、冒険者ギルドに相談。 いつもお世話になっている受付嬢の助言によって、トップ2の冒険者パーティーに参加することになった。 これまでとの扱いの違いに戸惑うライド。 そして、この出来事を通して、本当の現実を知っていく。 そんな物語です。 多分それほど長くなる内容ではないと思うので、短編に設定しました。 内容としては、ざまぁ系になると思います。 気軽に読める内容だと思うので、ぜひ読んでやってください。

処理中です...