転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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九百五話 通報されない?

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「……任せてください。何度でも、倒してみせます」

「分かりました。まぁ、まだ開けてない宝箱もあるので、そこまで何度も潜る必要はないと思いますけど」

「いえ、私や彼女たちにとっても折角の機会です。是非、何度も挑ませてもらいます」

アマンダの眼は……既に覚悟が決まっていた。

「そうですか……では、当日のメンバーについて話し合いましょうか」

ランクが高いモンスターの素材を……高品質な何かが眠っている宝を手に入れる為には、四十一階層以降を潜らなければならない。

ただ、それと同時に主であるアネットの要望に応えなければならないとなると、ソウスケとミレアナ、ザハークの三人が固まって行動する訳にはいかない。

「個人的には、ザハークとミレアナがアネット様の方に付いて、俺がアマンダさんたちの方に付て行動するのがベストだと思うんだけど、どうかな」

「……私としては、アネット様の方はザハークが一人だけの方がよろしいかと。四十一階層以降を潜るのであれば、ソウスケさんが強大な敵を相手に対応している時に、アクシデントがアマンダさんたちに降りかかるかもしれません」

アマンダも含め、第三騎士団のメンバーたちは今回の探索で確実にレベルアップしている。

しかし、ミレアナの言葉通りソウスケが大きな問題を相手にしている最中、更なる問題がアマンダたちを襲う可能性は十分にある。
そしてその更なる問題に対し……アマンダは耐え切れたとしても、他の女性騎士たちの内……誰かが犠牲になってもおかしくない。

「彼女たちも、ザハークさんには随分と気を許しています。今では頼もしさの方が勝っているでしょう」

「ん~~~……料理は、まぁザハークも切って焼くぐらいは出来るか」

ザハークはソウスケの様に超最高レベルのアイテムボックスのスキルを有してはいないが、ソウスケからダンジョン産の高品質な収納袋を貰っている。

その収納袋であれば、数日以上は中の物の品質を保つことが可能。

「でも、一応隠してるとはいえ……絵面的にどうなんだ?」

パッと見普通というイメージが強いソウスケに加えて、圧倒的な華のイメージを持つミレアナが一緒に行動してたことで……そこにザハークが居ても、強烈な違和感はなかった。

しかし、そこからソウスケとミレアナが離れてしまうと……誰かが衛兵に通報してしまうかもしれない。

「そこはアネット様たちが問題無いと伝えれば、面倒事に発展しないのではないでしょうか」

「まぁ、それもそうか…………それじゃ、とりあえずそういう感じで行きましょうか」

「えぇ、よろしくお願いします」

翌日、女性騎士たちに今後の予定が伝えられ、その日は溜まった疲れを癒す為の休日だったが、彼女たちは就寝時間まで探索などに関してあれこれ考え続けた。


「ザハーク、そっちは頼んだぞ」

「あぁ、任せてくれ。何があっても守ってみせる」

ダンジョンの恐ろしさを解り始めたからこそ、ザハークの言葉に大きな頼もしさを感じるアネットや女性騎士たち。
しかし、アネットと共に活動する女性騎士たちはその強さに頼ってばかりはいられず、自分たちで出来るところは必ず己の力で対応する……と、ダンジョンに入る前からやる気に満ち溢れていた。

「では、行きましょう」

アネットとザハークたちは二十一階層に転移し、アマンダとソウスケたちは四十一階層へと転移。

「っし……それでは、四十五階層まではなるべく速足で行きます」

モンスターを倒せば倒すだけ素材の買い取り額で儲ける事は出来るが……やはり、五十階層のボス戦で手に入るエルダーリッチの衣、使用していた杖。
クリムゾンリビングナイトの全身鎧や、使用していたロングソード……そしてボス戦をクリアした報酬の宝箱などは、解り易い程の価値がある。

そのため、アマンダたちがガチャガチャガチャガチャと音を立てながら暑い暑い階層を走り続けた。
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