転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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九百九十九話 嫌なものは嫌

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「えっ、俺たちが指揮を執るんですか?」

「はい。できればソウスケさんたちにお願いしたいのですが」

ホワイトアントの巣を討伐、壊滅するのに必要な面子が集まってきた。

そんな中、ソウスケはギルド職員から討伐に参加する冒険者たちのリーダーになってほしいと頼まる。

(ん~~~~~……超嫌だな)

それがソウスケの答えだった。
自分が他の冒険者たちと比べて頭四つか五つ、もしくはそれ以上の強さを持っているのは自覚している。

しかし、それと指揮能力は別。
名選手、名指導者に非ずというのと同じく、ソウスケは自分が大勢の戦闘者たちを求めて敵を殲滅する……そういうプレイが得意だとは思っていない。

寧ろ、適当に指示を出されてその通りに動く方が楽と思っている。

「…………無理です。俺、そういうタイプの冒険者じゃないんで」

「だ、駄目ですか」

「無理っすね。俺本当にそういうの得意じゃないんで」

そこまでハッキリと言われてしまっては、それ以上頼み込むのは難しく……ギルド職員は助けを求めるようにソウスケのパーティーメンバーであるミレアナに助けの眼を向けた。

しかし、その助けはあっさりと消滅。

「申し訳ありませんが、私も指揮を行うのが得意な訳ではありません。ただ、周辺の状況を的確に把握して援護を行うのが得意なだけなので」

「そ、そうでしたか……」

当たり前の様に、従魔であるザハークには出来ないのかとは尋ねない。

そもそも人の言葉を喋るとはいえ、従魔に指揮を執られるのは他の冒険者的にどうなのか……加えて、情報としてガンガン前に出て戦うのが得意だと解っている。

「俺やザハークは強い相手と戦うのが目的なんで、巣での戦闘が始まったら、真っ先に前に行くと思います。勿論、ギルドがすれ違うホワイトアントを倒して欲しいならそうしますけど……」

「……そう、ですね。できれば、他のホワイトアントたちは無視して女王の方に向かってもらってもよろしいでしょうか」

「分かりました」

ソウスケたちが解っている様に、冒険者ギルド側も解っている。

ソウスケたちだけで全てを終わらせようとした場合、折角集まってくれた他の冒険者たちが何を思うか。

「では、ミレアナさんには他の冒険者たちのサポートを行ってもらってもよろしいでしょうか」

「了解です」

主な役割と伝えられたところで、二人はギルド職員と別れてザハークと合流。

「ふむ、指揮官の話は受けなかったのだな」

「あぁ、そうだよ。俺が指揮官って……なんの冗談だって話だろ」

「そうか? 俺としては、それはそれで似合うと思うが」

「似合うか似合わないかの問題じゃねぇっての。俺にそういう経験は殆どないし……今回の討伐には二十人以上の冒険者が参加するんだろ? 絶対にあれこれあれこれ指示して捌き切れないっての」

確かにソウスケはこれまでにリーダーの真似事をした経験は殆どない。

それはミレアナとザハークも解っているが……ソウスケなら、なんだかんだでやってしまいそうな何かを期待してしまう。

「というか、自分で動けばやれる事を、わざわざ人に指示を出してやるってのはな……なんか、まどろっこしくて面倒だ」

「ふむ……それもそうだな」

「それにあれだ。今回みたいな討伐戦でリーダーを任せられれば、ギルドからの評価も上がるんだろ? それなら、そういうのは他の同業者たちに譲るべきだろ」

優しい、純粋な善意などではないが……言っていることは間違ってはいなかった。

「しかし、その事でソウスケさんがリーダーではない事に不満を持つ者が現れるかもしれませんよ」

「俺みたいな子供に指揮を執られる方が不満を感じると思うけど…………まぁ、それならそれで、その場で指揮しながら戦うなんて面倒だって発言すれば、納得してくれるだろ」

仮に多くの同業者たちがそれを求めたとしても、ソウスケはリーダーとして戦場に向かうつもりは一切なかった。
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