転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千十三話 合ってる、よな?

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「……ありがとう、ミレアナ。もう良い、もう大丈夫だ」

時間にして約十分……たかが十分と思うかもしれないが、自分を褒める内容を十分も聞けば……本当にお腹一杯になる。
現在、ソウスケはお腹一杯、胸焼け状態だった。

「そうですか?」

「うん、もう……本当にお腹一杯。ありがとな」

「分かりました。それで、そういった人が出来たならどうするのですか」

逃げられなかった。
ソウスケとしては本当に何も考えておらず、答えられる答えがない。

だが、ミレアナから恋バナを振られるの珍しく、どう答えようか……必死に頭を捻って捻って捻る。

「…………結婚、結婚…………多分、さ。俺がそう思えるのは、俺がこの世界を冒険することに満足出来た後だと思うんだよ」

「なるほど」

「だからさ、なんと言うか……好きな人が、付き合いたいと思う人が出来たとしても、プロポーズは出来ないと思うんだよ」

「……一緒に旅を、冒険が出来る女性であれば、全て解決ではないでしょうか」

「そういう人を好きになるとは限らないだろ」

確かにそういった人がタイプなのかもしれない。

しかし、まだそこまで人生経験がないソウスケ。
自分が本当に好きな人は、結婚したいと思えるタイプはどんな女性なのか……まだ分からない。

「結婚とかってなると、親への挨拶もあるだろ。今まで冒険とか、旅とかしてこなかった人であれば、両親も許さないんじゃないかな」

「危険があるか、ですか。しかし、傍にはソウスケさんが……私やザハークもいます。万が一にも……と宣言するのは少々傲慢かもしれませんが、それでも非常に安全性が高いとは思います」

ミレアナが言っていることは決して間違っていない。

絶対に何も起こらない、危険は及ばないと断言は出来ないが……それでもなんだかんだで安全性が高いのは間違いない。
だが、そういう問題ではない。

「多分だけど、娘を持つ親からすればそういう事じゃないと思うんだよな…………いや、この世界の親は割と自分たちの娘だからって、本気で愛してるのか疑わしい部分はあるけど……親は娘に危険な目にあってほしくないんだよ」

分からない……解らない部分はあるが、それでもソウスケはそういうものだと思っている。

と、自分はこう思うんだと宣言しておきながら、この世界の常識を思い出し……自信が物凄い勢いで揺らぐ。

「親というものは……そうなのでしょうか」

「ま、まぁ俺は当然経験がないし、ミレアナも経験がないだろ。だから、そういう部分も重要? になってくるんだよ」

「……一応、納得は出来ますね」

先程までソウスケの素晴らしさを力説していたミレアナとしては、それでも大丈夫!!! と宣言したいところだが、確かにソウスケの言う通り……自分は子を持った経験が、親になった経験がない。

単純な事実を突き付けられ、それはそうかもと一応納得した。

(つ~か、本当にまだ結婚とか……いつぐらいに結婚したいかとかも考えてないんだよな。普通にこれまで通りその気が起きたら娼館に行って遊んでっていうのも楽しいし……いや、そういう相手が出来て付き合い始めたらスパッと止めるつもりだけど)

とにもかくにも、ソウスケにその気はなく……同業者からそういう気持ちを向けらたとしても、まず戸惑う。
そしてちょっと考えさせて伝えるも、結局答えは断る一択となる。

「というか、前も訊いたかもしれないけど、ミレアナはそんな相手と出会ったらどうするんだ?」

「結婚したいと思う相手、ですか………………ふふ、私は当分の間、そういう人とは出会わないでしょう」

「おいおい、なんでそう言い切れるんだ? 世の中本当に広いんだ。そういう人と出会ってもおかしくないだろ?」

「確かにそうかもしれません。しかし……先程色々と、おそらくそう思えないであろう内容を説明しましたので」

「?????」

本当に色々と解っていないソウスケは、首を傾げる事しか出来なかった。
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