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千六十四話 自信作ではあるが……
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「グロードさん、お待たせしました」
翌朝、朝食を食べ終えた三人は当然、冒険者ギルドへ向かうことはなく、グロードの店へ向かった。
「……おぅよ」
「? グロードさん、昨日お酒呑みましたか?」
「久しぶりに飲み過ぎって思うぐらい呑んだな。というか、それは小僧とエルフ娘も同じじゃろう」
「はは、そうですね」
二日酔い……とまではいかなかったものの、二人ともあれ以上呑んでたら……と思うぐらいには、そこそこ度数がある物を呑み過ぎたと自覚していた。
「こっちのロングソードが俺の作った物で、こっちの大剣がザハーク作。そして、こっちの杖がミレアナ作です」
「そうか。それじゃあ、視させてもらうぞ」
そういう言うと、グロードは一気に職人の眼をし、三人が造った武器を眺め……手に取り、重さや感触を確かめていく。
(…………わ、解ってはいたけど、緊張するな)
(……少し大袈裟かもしれませんが、Bランクドラゴンと戦う時以上の緊張感がしますね)
自身が造った武器を一流の職人が品定めを行う光景を見て、日頃行っているモンスターとの戦闘以上の緊張感を感じる二人。
これまで、ソウスケたちは露店で武器やポーションなどを売ってきたが、客として訪れる冒険者たちは質の高さと値段を比べ……基本的にじっくり眺めて品質を確かめるという行為を行わなかった。
それよりも、今すぐ購入しなければ他の冒険者に買われてしまうと思い、購入を優先していたため、二人はあまり自身が造った物をじっくり眺められることに慣れていなかった。
因みに、ザハークは店の外で待っているので、一切緊張などせずただただ結果だけを待っていた。
「……視させてもらった」
「「…………」」
「合格点をやろう」
「「……はぁ~~~~~~」」
グロードから確かに「合格点をやろう」という言葉を貰え、二人は心の底から安堵のため息を吐いた。
「なんじゃ、そんなに緊張しておったのか?」
「いやいや、そりゃ緊張しますよ」
「ソウスケさんの言う通りです。正直、ドラゴニックバレーで戦ったドラゴンとの戦闘以上に緊張しました」
「……喜んで良いのか解らん表現だな。しかし、二人とも自信があったのではないのか?」
長年の経験から、グロードは本当の意味でソウスケとミレアナ……ザハークにとって、自信を持てる武器を提出したのだと思っていた。
「それはそうなんですけど、やっぱりじっくり自分が造った武器を視られるのは緊張しますよ」
「戦闘とはまた別物、か…………とはいえ、あれじゃ。正直なところを言うと、質に関しては十分上出来じゃった」
「そう、なんですか?」
グロードの中で、ソウスケたちが提出した武器は、数秒視ただけで質は完全に合格ラインに達していた。
「あぁ。ただ、少し違う立場になって視始めて、つい長く視てしもうた。全く……小僧たちは本当に面白い冒険者だな」
面白い冒険者。
相手がグロードだったこともあり、純粋に褒められたと感じ、ソウスケとミレアナは自然と笑みが零れた。
「それじゃあ、こいつらが出来上がるまで造った武器も渡してくれ」
「えっ」
「なんじゃあ。一発でこいつらを造った訳じゃないんだろ」
「いや、それはそうなんですけど…………わ、分かりました」
ソウスケとしては、心の底からこれは自信作だと思える武器が造れたからこそ、そのロングソードをグロードにみせた。
だが、それまでに造った武器は……どれも目を背けたくなる粗悪品……という訳ではないが、それでも一流の職人には見せたくないと思ってしまう。
それはミレアナも同じ気持ちだが、リーダーがこれまた造った武器を渡すのだから、自分だけ嫌ですと断るわけにはいかなかった。
「それなりに造ったのぅ……それじゃあ、こいつらは全部適正価格……の、少し安い値段で良いんだったな」
「はい、それでお願いします」
「うむ、分かった。また出来上がったら、儂のところにもってこい」
こうして、ソウスケたちは一先ずグロードから合格点を貰い、販売先を確保できた。
翌朝、朝食を食べ終えた三人は当然、冒険者ギルドへ向かうことはなく、グロードの店へ向かった。
「……おぅよ」
「? グロードさん、昨日お酒呑みましたか?」
「久しぶりに飲み過ぎって思うぐらい呑んだな。というか、それは小僧とエルフ娘も同じじゃろう」
「はは、そうですね」
二日酔い……とまではいかなかったものの、二人ともあれ以上呑んでたら……と思うぐらいには、そこそこ度数がある物を呑み過ぎたと自覚していた。
「こっちのロングソードが俺の作った物で、こっちの大剣がザハーク作。そして、こっちの杖がミレアナ作です」
「そうか。それじゃあ、視させてもらうぞ」
そういう言うと、グロードは一気に職人の眼をし、三人が造った武器を眺め……手に取り、重さや感触を確かめていく。
(…………わ、解ってはいたけど、緊張するな)
(……少し大袈裟かもしれませんが、Bランクドラゴンと戦う時以上の緊張感がしますね)
自身が造った武器を一流の職人が品定めを行う光景を見て、日頃行っているモンスターとの戦闘以上の緊張感を感じる二人。
これまで、ソウスケたちは露店で武器やポーションなどを売ってきたが、客として訪れる冒険者たちは質の高さと値段を比べ……基本的にじっくり眺めて品質を確かめるという行為を行わなかった。
それよりも、今すぐ購入しなければ他の冒険者に買われてしまうと思い、購入を優先していたため、二人はあまり自身が造った物をじっくり眺められることに慣れていなかった。
因みに、ザハークは店の外で待っているので、一切緊張などせずただただ結果だけを待っていた。
「……視させてもらった」
「「…………」」
「合格点をやろう」
「「……はぁ~~~~~~」」
グロードから確かに「合格点をやろう」という言葉を貰え、二人は心の底から安堵のため息を吐いた。
「なんじゃ、そんなに緊張しておったのか?」
「いやいや、そりゃ緊張しますよ」
「ソウスケさんの言う通りです。正直、ドラゴニックバレーで戦ったドラゴンとの戦闘以上に緊張しました」
「……喜んで良いのか解らん表現だな。しかし、二人とも自信があったのではないのか?」
長年の経験から、グロードは本当の意味でソウスケとミレアナ……ザハークにとって、自信を持てる武器を提出したのだと思っていた。
「それはそうなんですけど、やっぱりじっくり自分が造った武器を視られるのは緊張しますよ」
「戦闘とはまた別物、か…………とはいえ、あれじゃ。正直なところを言うと、質に関しては十分上出来じゃった」
「そう、なんですか?」
グロードの中で、ソウスケたちが提出した武器は、数秒視ただけで質は完全に合格ラインに達していた。
「あぁ。ただ、少し違う立場になって視始めて、つい長く視てしもうた。全く……小僧たちは本当に面白い冒険者だな」
面白い冒険者。
相手がグロードだったこともあり、純粋に褒められたと感じ、ソウスケとミレアナは自然と笑みが零れた。
「それじゃあ、こいつらが出来上がるまで造った武器も渡してくれ」
「えっ」
「なんじゃあ。一発でこいつらを造った訳じゃないんだろ」
「いや、それはそうなんですけど…………わ、分かりました」
ソウスケとしては、心の底からこれは自信作だと思える武器が造れたからこそ、そのロングソードをグロードにみせた。
だが、それまでに造った武器は……どれも目を背けたくなる粗悪品……という訳ではないが、それでも一流の職人には見せたくないと思ってしまう。
それはミレアナも同じ気持ちだが、リーダーがこれまた造った武器を渡すのだから、自分だけ嫌ですと断るわけにはいかなかった。
「それなりに造ったのぅ……それじゃあ、こいつらは全部適正価格……の、少し安い値段で良いんだったな」
「はい、それでお願いします」
「うむ、分かった。また出来上がったら、儂のところにもってこい」
こうして、ソウスケたちは一先ずグロードから合格点を貰い、販売先を確保できた。
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