転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千七十一話 正確な情報を

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「よし、やるか」

レイウルから出て約数時間後、ソウスケは風の結界を展開し……この数時間で討伐したリザード、リザードマン、ワイバーンの死体を取り出し、解体を始めた。

(はぁ~~~~。こういう時、改めてミレアナの凄さを実感するな~~~~)

ミレアナはモンスターの解体を行う際、緻密な魔力操作技術によって、モンスターの体から流れ出る血液を操作し、保存用の瓶に入れていく。

ただの技術ではなく高等技術であるため、ソウスケは同じことが出来ず、他の冒険者たちと同じくじっくりと血抜きから行う。

「……壮観と言えば壮観ね~~」

「そうとも言えなくもない光景ですね」

ロゼアは現役の冒険者であり、シャスティは元冒険者。
二人とも血の匂いには慣れており、モンスターの内臓などを見て今更気持ち悪さを感じることもない。

だが、現在二人の前には十数体もの死体が逆さ吊りされ、巨大な瓶に血を垂れ流している。

「っし、これはもう良さそうだな」

一体目のリザードマンの血抜きを追えると、ソウスケは専用のナイフで解体を開始。

普段からミレアナとモンスターの解体を行っていることもあり、その速さにも二人は感心を思えた。

それから一時間と数十分後……ソウスケは二人と待たせてはならないと思い、爆速で十体以上あった死体の解体を終わらせた。

「お待たせしました。それじゃあ、少し移動して昼食にしましょうか」

「分かったわ」

(……結界の中に溜まっていた血の匂いを一気に上空に移動させ、放出させた……直ぐに移動すれば、匂いに反応して集まるモンスターと遭遇せずに済む……身体能力とロングソードの扱いだけではなく、魔力操作の技術も並ではないと)

ロゼアはささっとソウスケの後に付いて行き、シャスティはソウスケの魔力操作技術を冷静に把握し、脳内に残す。

現在は冒険者ギルドの受付嬢として働いしているシャスティは、ソウスケの行動の監視……以外にも上から指示を受けていた。
それは、ソウスケの実力の把握。

ソウスケはエイリスト王国でこそ大きな活躍を残しているが、グレンゼブル帝国では……既に複数のBランクドラゴンを討伐しているが、実際にそれを見た者はいない。
ドラゴニックバレー外に生息していた毒竜や雷竜に関しても、討伐したのはミレアナであり、ソウスケはそれを自分の手柄にすることはなく、ハッキリとミレアナが一人で討伐したと伝えていた。

それはそれで素直でよろしいことなのだが、そうすると冒険者ギルドはミレアナの評価ばかりを上げてしまう。

その為、これを機にグレンゼブル帝国の冒険者ギルドは、ソウスケという謎の多い冒険者の実力を正確に把握しておこうと決めた。

(………………もう一つの指示も、一応実行しなければなりませんね)

行動の監視、実力の把握。それが主にギルドから指示された内容。

そして、シャスティはもう一つ指示を出されていた。
だが、それはギルドも絶対に行えと命令するような内容ではない。

その内容とは……可能であれば、ソウスケをなるべくレイウルに留めるようというもの。

レイウルの冒険者ギルドとしては、あまりドラゴニックバレーに生息しているドラゴンを狩り尽くされても困るが、いざという時に高い戦闘力を持つ冒険者が居て損はない。

過去にドラゴニックバレーに生息しているドラゴンがドラゴニックバレーから離れ、レイウルを直接襲って来たことがある。
それは一度や二度ではないため、ソウスケが噂通りの冒険者であれば、是非ともレイウルに腰を下ろしてほしい。

であれば、どういった方法で腰を下ろさせるか…………単純なものでいえば、家族や離れられない女ができる。

(それなりに自信はありますし、時折向けられる視線を考えれば、不可能ではないと思いますが…………とはいえ、いきなり迫れば怪しまれないでしょうか)

シャスティは生娘という訳ではないが、それでも男漁りといった趣味はなく、夜の誘いを自分からするタイプではない。
それでも真面目ゆえ、ギルドから出された三つ目の指示に関しても、真剣に考え込んでいた。
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