転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千七十五話 癒される?

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(……なんでこんな事になってるんだろうな)

仮説風呂を取り出し、お湯を準備してゆっくりくつろぎ始めたソウスケ。

外壁も土の魔力を使用して用意しているので、ロゼアたちがうっかりソウスケの裸を見てしまう心配もない……筈だった。

「はぁ~~~、最高ね~~~」

「……そうですね。少し不安な気持ちがありますが、それでも街の外でお風呂に入れるのは気分が良いですね」

湯船の中には、何故かソウスケだけではなく、ロゼアとシャスティの姿もあった。





「そ、ソウスケさん……それは、いったい何なのでしょうか」

夕食後、栄養満点、食欲も完全に満たされる食事を食べえたソウスケは、亜空間から仮説風呂を取り出した。

それを見たロゼアとシャスティは、思わず固まってしまった。

「風呂ですよ」

「…………もしや、こここで……入るのですか?」

「えぇ、そうですよ。さすがにドラゴニックバレーに入ってからは、入れないでしょうから、今は入っておこうと思って」

言わんとしている事は解る。

ロゼアとシャスティも、ソウスケが言っている事は一応解るものの……正気かと、疑いたくなってしまう。

「ソウスケさん、本気ですか?」

「? はい。だって、そもそも森とドラゴニックバレーの中間地点の場所であれば、モンスターが行き来することも少ないらしいじゃないですか」

「それはそうですが……」

ソウスケの言う通り、現在三人が野営をしている場所は、基本的にドラゴンたちが行き来することはない。

ドラゴニックバレーに生息しているドラゴンたちは基本的にドラゴニックバレーから出ることはなく、森に生息しているリザードマン、リザード、ワイバーンたちも余程の強個体か狂個体でなければ、ドラゴニックバレーに向かうことはない。

「ねぇ、もしかしてソウスケ君たちって……いつも野営の時は、こうしてるの?」

「そうですね。基本的に俺とミレアナが入ってる時にザハークが守ってくれて、ドラゴニックバレーで活動してる時は一人が風呂に入っている間に二人が見張りをしてって感じで」

風呂にお湯をいれながらさも当然といった表情で語るソウスケ。

二人からすれば、普段の野営でも風呂に入っていることに驚きだが、ドラゴニックバレーでも同じような事をしているのに驚きを隠せない。

「後で二人も入りますよね?」

「「え」」

「その時にはちゃんと湯船変えとくんで」

ある程度風呂に湯を溜めたソウスケは外壁を展開し、跳んで中に入り、衣服を脱いで亜空間に放り込む。

(ふぅ~~~~~~……風の結界で覆ってるから、ちょっと夜空の景色は微妙だな)

自分が強いことを自覚しているソウスケ。
しかし、全く構えていない状況で諸々を対処出来るかと言われれば……そこまで自信がない。

(というか、一応今はジブラと勝負してるわけだし、あまりそんな事を考えるのは、あいつに失礼か)

真っ当な手段で挑んでくるのか、それとも汚い手を使ってくるのか、現時点では解らない。

それでも、ソウスケの個人的な意見としては、あまり汚い手を使ってくるタイプだとは思えない。

(とはいえ……ジブラ本人の意思は関係無く、そういった事を企む連中はいるだろうから……やっぱり、Aランクのドラゴンを一体ぐらいは討伐しておいた方が良さそうだな。それか、この前ザハークが討伐したヴァレードタイガーみたいなモンスターでもありか)

どんなモンスターを、ドラゴンを討伐しようか考えていると、壁の外から二人の人間が飛び入って来た。

「…………え」

その人間は、ソウスケの結界を破って襲撃しに来た裏の人間……などではなく、ソウスケの監視人として冒険者ギルドから派遣されたロゼアとシャスティだった。

「どうせなら、一緒に入らせてもらおうって思ってね」

「……勝手ながら、失礼させていただきます」

二人が服を脱ぐ間、ソウスケは固まったままどうすることも出来なかった。
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