転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千八十三話 追加

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「ギィイイアアアアアッ!!!!!」

「フッ!!!!!!!!!」

ソウスケを見つけるなり、全速力で走り迫り、炎爪波を放つ灼熱竜。

対して、ソウスケは小さく笑みを零しながら既に抜剣状態のグラディウスに水流を纏い、思いっきり斬撃波を放った。

結果は……ほんの少し炎爪波が残ったものの、威力は落ちて余裕で回避に成功。
しかし、その事実に灼熱竜はいちいち驚くことはなく、ソウスケが逃げた先にブレスを放つ。

「っと、この野郎っ!!!!」

言葉は荒いが、ソウスケは笑みを浮かべながら足裏に風を溜めて宙を蹴り、なんとか回避。
そのまま刺突を放ち、灼熱竜を貫こうとするが、ギリギリ回避されてしまった。

(四足歩行……が好きなドラゴン、っていう認識で良いのかな? なにはともあれ、最終日前に見つかってなによりだ、なッ!!!!!)

再びグラディウスに水を纏わせ、全身には風を纏わせて灼熱竜との激闘に身を投じた。




「ねぇ、シャスティ。あれは……灼熱竜、よね」

「そうですね。翼を持ちながら四足歩行を好む細身の火竜……好戦的な性格も含め、間違いなく火竜かと」

「そうよね~~~。よりにもよって灼熱竜とはねぇ~~~」

ロゼアだけではなく、シャスティも現役時代に一度だけ灼熱竜と対面し、仲間たちと共に戦った事がある。

メインの主力という訳ではなかったが、灼熱竜の戦意や殺意に晒される中でもしっかりと中を助け、サポートしながら戦い続けたこともあり、灼熱竜がどれほど恐ろしいドラゴンなのか……身を持って知っていた。

「あの超好戦的なところ、本当に嫌よね」

「覚悟を決めてるからなのか知りませんが、攻撃を食らいながら攻める狂気を有していますからね…………とはいえ、なんとなく予想出来ていましたが、本当に一人でも戦えてますね」

「ねぇ~~~。さっき、亜空間から何かしらの指を取り出して装備したけど、だからといってアイテム一つで倒せるほど温い相手じゃない……変らず、あの子の実力ってことよね~」

ソウスケが亜空間から取り出したマジックアイテムの指輪には、脚力を大幅に強化する効果が付与されている。

ただ移動速度を上げるだけではなく、蹴りの威力も大幅強化。
Bランクの土竜であれば……ソウスケの蹴りで堅い堅い鱗を粉々に砕き、内臓を粉砕することも出来なくはない。

「にしても、速いわね。多分だけど身体強化と脚力強化だけじゃなくて、疾風のスキルも使ってるわね」

「ですね…………ソウスケさん程の魔力量があるからこそ、気にせず重複して使えてるのでしょうね」

Bランク冒険者になれば、複数のスキルを同時に発動するというのは、決して珍しい技術ではない。
ただ、その域まで上がってこれる冒険者であっても、有している魔力量によっては、ある程度気を付けなければならない。

回復する余裕があれば良いものの、その余裕がなければ、戦場で魔力切れを起こしてしまうのは致命傷に繋がる。

故に、スキルの同時発動は魔力の消費量が多くなるため、冒険者たちはその辺りも気を付けて戦っている。

(そして、スキルを発動しているだけではなく、グラディウスには水を……全身に風を纏い、スピードを強化している。Aランクの前衛冒険者であればまだしも、Bランクの冒険者であれば…………明確な攻め時にしか使わない状態ですね)

しかし、ソウスケは全く気にせずスキルを重複発動して戦っていた。

「しかも、私の見間違いじゃなければ、Bランクドラゴンと戦ってる時と同じで、笑ってるわよね」

「そうですね……やや笑みの種類は違うかもしれませんが、笑ってることに違いはないかと」

「……シャスティは、笑いながらAランクドラゴンと戦う冒険者をどれだけ知ってるかしら」

「………………情報として耳にした方も含めて、十分両手の指に収まりますね」

「そうよね……じゃあ、今日はそこにもう一人追加されたわね」

「ですね」

二人は目の前の激闘を見れば見るほど……ソウスケに戦いを申し込んだジブラが改めて哀れに思えてきた。
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