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千百三話 即移動
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朝食を食べ終え、少し食休みをした後……十時までに間に合うように宿を出発。
「ソウスケさん、まずは俺が潰せば良いか?」
「いやいや、落ち着いて落ち着いて、ザハーク。まだ会ってすらいないんだから」
ギルドに到着するまでの道中に、宿の中であったことを説明したソウスケ。
それをちゃんと聞き終えた上で、ザハークはまず自分が潰した方が良いかと思えた。
「特に何かを教えてくれって言われたないけど、パーティーのリーダーは俺だからさ。学生たちが不満を持たずに聞いてくれるように、俺の強さを説明する知ってもらう必要があるだろ」
「…………それなら、ソウスケさんに任せるしかないな」
ザハークはザハークでミレアナと同じく、ソウスケに対して敬意を持っているため、主が学生なんぞにそこまで気を遣う事に少々思うところがあった。
だが、ザハークは自身が従魔であることを、モンスターであることを忘れてはいない。
自分が好き勝手に動けば、主であるソウスケに迷惑を掛けてしまうため、それ以上下手な提案はしなかった。
そして時間前にギルドへ到着。
中に入ると、ソウスケとミレアナの姿を発見したギルド職員が直ぐに二人を学生たちが待つ部屋へと案内する。
(……ギルドの職員たちが丁寧に接してくれるのは嬉しいけど、それはそれでって感じがする)
雑に扱われるよりはよっぽど良い。
それはそれとし、同業者から「あいつら、あんなに丁寧な対応をされて調子に乗ってんじゃねぇのか」という視線を向けられてしまう。
「こちらにレイヤーズ学園の学生たちがいます」
「分かりました、ありがとうございます」
案内してくれたギルド職員に礼を伝え、サラッと中に入るソウスケ。
道中までさんざんあれこれ考えていたが、いざご対面を目の前にした場合、一切臆することなく……覚悟を決めて中に入る。
(おぉ~~~~……本当に、多種多様って感じだな)
人族の青年、鬼人族の青年、貴族令息に虎人族の女性、小柄の人族の女性にエルフの女性、そして貴族令嬢。
種族が違えば、立場も違う。
そんな学生たちが計七人。
学生たちの間でいがみ合う関係性が今のところ見えず、ソウスケは目の前の光景に……ほんの少し、感動を覚えた。
「初めまして、スレイヤーズ学園の皆さん。俺は学園から依頼を受けて君たちに指導を行う冒険者のソウスケだ、よろしく」
「パーティーメンバーのミレアナです。よろしくお願いします」
いたって普通の挨拶を行う臨時教師に……ひとまず、全員外面は悪い人ではないとは感じた。
「それで、これから十日かそれ以上、君たちに指導を行う訳ですが……俺のこれまでの経験上、皆さんほどの年齢の方々は、俺の事を死ぬほどウザいと感じます」
「「「ッ……」」」
ソウスケの言葉に、数人ほど反応が表情に零れてしまう。
「その気持ちは解ります、と言えば本人が解るわけないだろうと言われるでしょう。そのため、心の底から互いを認め合うことは出来ないとは思いますが、これから先共に行動することを考えると……俺の強さは、知ってもらいたいです」
強さを知ってもらいたい。
となれば、レイヤーズ学園の学生たちはこの後、何を行うのかある程度察しがつく。
「皆さん、理解が早くて助かります。それでは、訓練場に移動しましょうか」
ソウスケとミレアナが部屋から出て行くと、彼らは大人しく……何も反論することはなく、二人の後に付いて行く。
「あっ、すいません。訓練場の方に移りますね」
「っ、かしこまりました」
二階から一階に降りる際、事情を知ってるであろう受付嬢に一応場所移動を伝える。
報告を受けた受付嬢は、即座に上司に当たる職員に告げる。
「やっぱりそうなるか」
「問題になるでしょうか」
「……レイヤーズ学園の方からは、揉んでくれて構わないと言われてるらしい。ソウスケさん達も、常識はある方らしいから……問題無いと、思いたいな」
臨時教師と学生の衝突。
その流れは、どの冒険者が臨時教師を担当し、どの学園の学生であろうとも……ギルド職員からすれば肝が冷えるものである。
「ソウスケさん、まずは俺が潰せば良いか?」
「いやいや、落ち着いて落ち着いて、ザハーク。まだ会ってすらいないんだから」
ギルドに到着するまでの道中に、宿の中であったことを説明したソウスケ。
それをちゃんと聞き終えた上で、ザハークはまず自分が潰した方が良いかと思えた。
「特に何かを教えてくれって言われたないけど、パーティーのリーダーは俺だからさ。学生たちが不満を持たずに聞いてくれるように、俺の強さを説明する知ってもらう必要があるだろ」
「…………それなら、ソウスケさんに任せるしかないな」
ザハークはザハークでミレアナと同じく、ソウスケに対して敬意を持っているため、主が学生なんぞにそこまで気を遣う事に少々思うところがあった。
だが、ザハークは自身が従魔であることを、モンスターであることを忘れてはいない。
自分が好き勝手に動けば、主であるソウスケに迷惑を掛けてしまうため、それ以上下手な提案はしなかった。
そして時間前にギルドへ到着。
中に入ると、ソウスケとミレアナの姿を発見したギルド職員が直ぐに二人を学生たちが待つ部屋へと案内する。
(……ギルドの職員たちが丁寧に接してくれるのは嬉しいけど、それはそれでって感じがする)
雑に扱われるよりはよっぽど良い。
それはそれとし、同業者から「あいつら、あんなに丁寧な対応をされて調子に乗ってんじゃねぇのか」という視線を向けられてしまう。
「こちらにレイヤーズ学園の学生たちがいます」
「分かりました、ありがとうございます」
案内してくれたギルド職員に礼を伝え、サラッと中に入るソウスケ。
道中までさんざんあれこれ考えていたが、いざご対面を目の前にした場合、一切臆することなく……覚悟を決めて中に入る。
(おぉ~~~~……本当に、多種多様って感じだな)
人族の青年、鬼人族の青年、貴族令息に虎人族の女性、小柄の人族の女性にエルフの女性、そして貴族令嬢。
種族が違えば、立場も違う。
そんな学生たちが計七人。
学生たちの間でいがみ合う関係性が今のところ見えず、ソウスケは目の前の光景に……ほんの少し、感動を覚えた。
「初めまして、スレイヤーズ学園の皆さん。俺は学園から依頼を受けて君たちに指導を行う冒険者のソウスケだ、よろしく」
「パーティーメンバーのミレアナです。よろしくお願いします」
いたって普通の挨拶を行う臨時教師に……ひとまず、全員外面は悪い人ではないとは感じた。
「それで、これから十日かそれ以上、君たちに指導を行う訳ですが……俺のこれまでの経験上、皆さんほどの年齢の方々は、俺の事を死ぬほどウザいと感じます」
「「「ッ……」」」
ソウスケの言葉に、数人ほど反応が表情に零れてしまう。
「その気持ちは解ります、と言えば本人が解るわけないだろうと言われるでしょう。そのため、心の底から互いを認め合うことは出来ないとは思いますが、これから先共に行動することを考えると……俺の強さは、知ってもらいたいです」
強さを知ってもらいたい。
となれば、レイヤーズ学園の学生たちはこの後、何を行うのかある程度察しがつく。
「皆さん、理解が早くて助かります。それでは、訓練場に移動しましょうか」
ソウスケとミレアナが部屋から出て行くと、彼らは大人しく……何も反論することはなく、二人の後に付いて行く。
「あっ、すいません。訓練場の方に移りますね」
「っ、かしこまりました」
二階から一階に降りる際、事情を知ってるであろう受付嬢に一応場所移動を伝える。
報告を受けた受付嬢は、即座に上司に当たる職員に告げる。
「やっぱりそうなるか」
「問題になるでしょうか」
「……レイヤーズ学園の方からは、揉んでくれて構わないと言われてるらしい。ソウスケさん達も、常識はある方らしいから……問題無いと、思いたいな」
臨時教師と学生の衝突。
その流れは、どの冒険者が臨時教師を担当し、どの学園の学生であろうとも……ギルド職員からすれば肝が冷えるものである。
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