転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百四話 他を侮ってはいない

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「ソウスケさんは、ダンジョンを専門とする冒険者だったのですか?」

「そういう訳ではないかな。ただ、やっぱり冒険者にとってダンジョンは凄くワクワクする場所だから、それを目的に移動する街を決めてたりはしたよ」

ノックスの質問に対し、彼らと同じく高級料理を口にしながら答えていくソウスケ。

竜殺し、戦闘に関する内容などの知識は叩き込まれているが、ダンジョンに関する知識は殆どない。
だからこそ、探索経験があるソウスケたちの話が非常に気になる。

「あなた達は、いったいどれほどのダンジョンを探索していたのだ」

「エイリスト王国にいる時は二つだよ」

「ソウスケさん、合計では四つです」

「ん? …………あ、あぁ~~~~、そっか。確かに四つだったな」

ソウスケの記憶の中には、ザハークと出会ったダンジョンと上級者向けダンジョンしかなかったが、ミレアナに合計は四つだと伝えられ、学術都市が有する初心者向けダンジョンと中級者向けダンジョンの存在を思い出した。

「よ、四つも」

「一つに関しては十階層程度だったから、実質三つかな」

「……どういった内容のダンジョンだったのですか」

「…………二つが大体中の階層がジャングルとか森、密林って感じで似てたかな。もう一つは最初は洞窟タイプで、途中から火山地帯。最後の十階層は火山地帯と遺跡が混ざった感じだったね」

臨時教師が語るな内容を耳に死、ネイトはソウスケたちが探索していたダンジョンの階層を予想し……思わず身震いしてしまった。

「っ、その……途中から火山地帯に変わったダンジョンの階層数を教えてもらってもよろしいでしょうか」

「上級者向けダンジョンの階層数なら、確か五十階層だったな」

「「「「ごっ!?」」」」

ネイトだけではなく、話を聞いていた他のメンバーも驚きのあまり、思わず喉を詰まらせそうになった。

ダンジョンについて詳しい知識はあまりないものの、階層数が示す内容に関しては知っていた。

「あ、あの。そのダンジョンには、どんなモンスターが居たんですか」

「えっと……それなりに強いモンスターだと、マグマサーペントにゴーレムとリザードマン。後はフレイムリザードにコング……ヒートミノタウロスとかファイヤドレイクなんかもそれなりに強かったかな」

ナディーの問いに、ソウスケだけではなくミレアナも過去の記憶を掘り返しながら伝え始める。

「更に下の階層に降りますと、オルトロス亜種に巨大なマグマゴーレム、バーンティガーというBランクモンスターに赤毛のグレートウルフ。ボスモンスターではなく、稀に階層を徘徊しているモンスターの中に溶岩竜とガルムといったAランクモンスターも生息しています」

「「「「「「「…………」」」」」」」

そんなモンスターたちよりも、ドラゴンの方がヤバい存在ですよ、といった感じで実際に遭遇したことがないにもかかわらず根拠のない自信を口にする者は、一人もいなかった。

これまでリザードやワイバーンなどの亜竜以外のモンスターとも戦ったことがあるノックスたち。
だからこそ、今しがた二人から聞いたモンスターたちが……階層は違えど、一つの場所にいることに衝撃を受けた。

「全て、ソウスケさんたちが討伐したモンスター、なんですよね」

「あぁ。溶岩竜に関してはほぼほぼザハークが一人で終わらせてたかな」

「っ…………」

ザハークの強さに再度驚きを感じるも、ノックスやハリアルはあることを考えていた。

「……ソウスケさん。やはり、ダンジョンという場所は、稼げますか」

「ふふ、勿論稼げるよ。こうして俺が君たちにご馳走してるのが証拠だよ」

ノックスは、将来的に大金を稼ぐためにレイヤーズ学園に入学したのではない。
明確にドラゴンを殺し、ドラゴンスレイヤーになることを目標としている。

ただ、その目標を達成し……それ以降も討伐し続けることを考えれば、金という存在が更に重要になる。

「興味があるなら、そういった授業を取り入れてもらった上で……修学旅行? って形で、ダンジョン探索するのが一番かな」

「なるほど…………その内容、実際に持ち帰っても良いだろうか」

「勿論構わないよ」

ハリアルの頼みに、ソウスケはノータイムでオッケーを出した。
その後も彼らは上手い夕食と会話を楽しむのだった。
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