転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百十六話 さすがに慢心、油断

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(まさに、怒り暴れ狂う、って感じだね)

グラディウスに雷を纏いながら二体の逆鱗風竜と叩くソウスケ。
戦闘が始まってから、二体の風竜が逆鱗状態になっていると気付くと、素手ではなく普段通りグラディウスで戦う戦闘スタイルにチェンジ。

真面目に……冷静に逆鱗風竜たちの動き、強さを見極めながら戦う。

(そんなに違うのかと、思ってたけど……うん。これは、経験した冒険者が恐れる、わけだ)

これまでソウスケはBランクドラゴンだけではなく、Aランクドラゴンとの戦闘経験もある。
そして当然、それらのドラゴンたち全員から戦意や殺気を向けられてきた。

それでも、ソウスケはこれまでの戦闘経験から、それらのドラゴンに負けず劣らずの実力を持つモンスターとの戦闘経験もあり、乗り越えてきた。

(これまでも、圧を感じてきたことは、あるけど。冒険者として、ある程度慣れてきてから……本当に、久しぶりに、恐ろしいと……感じた、ね)

戦闘力という点に関して言えば、ソウスケは逆鱗風竜たちに負けていない。

一対二と、数的不利な状態ではあるが、それでも純粋な戦闘力を考えればソウスケが負けることは、まずない。
にもかかわらず……ソウスケは本当に恐怖というものを久しぶりに感じ取った。

(これも、あるドラゴンとその他の生物との違いか)

確かに逆鱗風竜が放つ圧に恐ろしさは感じている。
それでも、ソウスケは焦って変なミスを犯してしまうことはなく、冷静に風爪撃を、風尾斬を弾きながら、カウンターの斬撃を放つ。

逆鱗状態になったドラゴンは通常時と比べて間違いなく身体能力は上がるものの、それは主に腕力やスピードに限った話。

怒りや殺意といった激しい感情が限界を越えた状態になったとはいえ、防御力までは当たらない。

ただでさえ素早さが増した風竜に斬撃を与えるのが難しくなったため、そういった意味では防御力が上がっていると言えなくもないが……ソウスケの身体能力があれば、二体のスピードを捉えることは難しくない。

戦闘が始まってから二分、三分と経つと、徐々に切傷が増えていく。

(当然……なのかもしれない、けど……痛みは、感じてないのかな)

致命傷は負っていないものの、二人合わせて二十以上の切傷が刻まれているが、逆鱗風竜のスピードは衰えることはなく、圧に関しては更に増している様に思われる。

(これは、本当に……戦いたくないと、感じる状態、だね)

ドラゴンとは、基本的に楽に倒せる存在ではない。
対峙する冒険者や騎士たちは、ソウスケとは違って毎回毎回真剣に臨んでいる。

自分たちの力量と、対峙するドラゴンの力量が同等だからこそ集中力が高まり、気合の入れ方もソウスケたちとは違う。
逆鱗状態とは……そうした冒険者対ドラゴンの拮抗を簡単に崩してしまう。

(けど、普段とは全く違う状態に、なったって事は……素材に、違いがでる、のかな)

対Bランクドラゴン戦に対して気合の入れ方が違うソウスケは、普通は考える余裕がない事を考えていた。

錬金術師、鍛冶師という一面も持つことを考えれば致し方ないのかもしれないが……やはり、今戦闘中であるこのタイミングで考えることではない。

(………………だと、しても……そう、だね。さすがに、それは慢心や油断が、過ぎるってものだよね)

仮に逆鱗状態になることで、素材に変化が訪れるのであれば、ドラゴンを何ならかの方法で逆鱗状態にしてから討伐した方が良いのではという考えが浮かんだソウスケ。

しかし、先程……今も体験している圧、恐怖を思い出し、それはさすがに駄目だと判断。

(あっ)

すると、逆鱗風竜のブレスを躱し、もう一体の逆鱗風竜の風爪波を躱しながら接近すると……絶対に成功するという確信が芽生え、雷を纏ったグラディウスで喉を搔っ捌き、致命傷を与えることに成功した。
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