転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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千百五十八話 変わらない弱点

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放たれた蛇腹剣の刃により、このままいけばあっという間に水の城は喰い抉られて水龍は捉えられ、後は殺されるだけ。

死ぬのが確定の未来などまっぴらごめんだと判断し、自ら水の城から飛び出した。

「疾ッッッ!!!!!!!」

だが、当然と言えば当然……逃げた先には、ソウスケが振るう水龍の蒼剣から水斬波が飛び出す。

水属性の攻撃は水属性の攻撃は効かない、というのは嘘である。
一部のモンスターは水による攻撃であれば支配権を奪うことも出来るが、ドラゴンの中でも最高峰の存在である水龍でも……最高峰の存在だからこそ、そこまで理不尽が過ぎる力は得られなかった。

水を纏い、威力を緩和することは出来るが……水龍の蒼剣から放たれた水斬波を緩和するのは容易ではなく、それは水龍とて同じ。

同族が自分に牙を剥く。
そんな複雑な心境になりながらも、水龍は激流を纏った尾を振るい、全力で弾き飛ばした。

自身が展開した水のドームから抜ければ、確実に仕留める為の攻撃が飛んでくるのは予測できていた。

(嘗めるでないわ!!!!!!!!!)

なんとも複雑な感情を持ちながらも、自身と同じ素材が元となった武器から放たれる攻撃と考えると普通に恐ろしく、全力で迎撃を行った。

そして全力で……全ての魔力を消費するつもりで目の前の人間を潰そうと、闘争心を灰になる勢いで燃え上がらせる。

今だにクソ嫌いでクソ生意気な人間の小僧だとは思いつつも、それでも確実に自身の命に手を伸ばそうと……届きうる力を持つ者だと、水龍の本能が認めていた。
勿論、本人に伝えるつもりはなく……そもそも水龍の心は認めていない可能性が高い。

だが、尾撃で水斬波を弾き飛ばし、正確にクソ生意気な小僧を視界で捉えようとした瞬間……違和感を覚えた。

まず……連続で、水斬波が飛んでこない。
刺突も飛んでこなければ、攻撃魔法も……炎槍も雷槍も飛んでこない。

先程までの状況を考えれば、あり得ない状況。

(なに、を……っ!!!!!?????)

「圧壊」

長い長い剣、蛇腹剣は元の状態に戻っていた。
その代わりに、ソウスケは左手を突き出していた。

発動したスキルは、圧壊。
狙った場所に圧力をかけて対象を破壊するスキル。

狙いを定めるのが難しく、本来であれば触れて使用するのが有効的な使い方ではあるが、離れた場所の相手にも……性格に狙いが定められる状況であれば、発動することは可能。

「がっ!!!!!!!!!!??????????」

水龍が逃げた先で更に加速して水斬波を避けようとするのではなく、何かしらの武器を使用して弾くと予想。

その結果、見事予想は的中。
水龍は尾撃で水斬波を弾き飛ばし、その殺気ムンムンな鋭い眼光をソウスケへと向けた。

それが、水龍にとって最悪の結果を呼び起こし……片目を潰されてしまた。

内容だけ聞けば強力なスキルではあるが、ソウスケはある熊系モンスターを蛇腹剣で喰らって得てから……殆ど使用していなかった。
良いスキルだなとは思いつつも使用していなかったため、たとえ触れたとしてもBランクドラゴンであれば多少は通用する可能性はあるが、Aランクドラゴンの鱗や牙となれば、掠り傷すら負わせられない。

ただ……眼だけは、Aランクドラゴンである彼らにとっても柔らかい弱点。

とはいえ、普通に狙ったとしても当たることはない。
理由は非常に至極簡単であり、頭部というダメージを受ければ即死に繋がる可能性が高い場所だから。

しかし、今回ソウスケが発動した攻撃は特殊も特殊であり、水龍にとっては未知……とまではいかずとも、その攻撃が自身の攻撃に通用した過去が無い。

初見で防げ、という方が無理であった。

「ッッッッ!!!!!!!!!」

片目を潰し、視界という重要な要素を封じたソウスケは全力で……文字通り全速力で水龍に接近し、その首に刃を添えた。
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