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千二百六十話 嫌われてしまう
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自分がいないところでモテモテ状態になっているディーナ。
「確かに前例はあるだろうが……騎士団には向かないのではないか?」
「力が序列になっている騎士団なら問題無いだろ。因みに、うちもそうだぜ」
あまり宜しくはなない体制だが、ロードスが務める騎士団は力が序列の基準となっている。
だからといって、暴力によるパワハラや意見を力で握り潰す様な真似は許されていない。
そこを勘違いした者は、団長直々に頭がかち割れたと錯覚するほどの拳骨を貰い、ロードスと同じ考えを有している先輩騎士から無限模擬戦を叩き込まれ……二度とバカなことを考えられないよう、矯正される。
「ふむ……しかし、何故魔術師団まで」
「ほっほっほ、簡単な事じゃよ。儂たちとしても、頼れる前衛がいるのは有難い存在じゃ」
魔術師団には、魔法使いが集まる部隊ではあるが、前衛として戦える武器使いもいる。
主な理由としては、現在この場にいるクラスの魔法使いであれば、高速移動しながら魔法を連続で、複数放ちながら器用に魔法を利用して接近戦を行うことも可能。
だが、魔術師団に入団したばかりの者たちは、学園を卒業したエリートたちと言えど、その高みに到達は出来ていない。
そのため、彼らが任務に向かう際には、前衛として戦える者が必ず同行する。
「それに、彼女の従魔は冒険者や騎士関係無く……平民や貴族関係無く助けてくれたそうじゃないか。そういった意味でも、是非入団してほしいと考えてしまう」
「……それは、アラッド君と出会ったからではないか?」
「あぁ~~~~、それはあり得そうだな」
アラッドは、間違いなく侯爵家という超位の高い貴族の人間ではあるが、あまり貴族的な思考は持たない。
因みに、ロードスも同じ類の人間である。
平民の冒険者からすれば、彼に敵意さえ持っていなければ、アラッドほど接しやすい貴族出身の冒険者はそういない。
「個人的な見方ではありますが、騎士よりも魔術師の方が冒険者を下に見る傾向があるかと」
喧嘩を売っているとも捉えられなくはない発言に対し、トップの老人は軽く笑い、否定することはなかった。
「そうじゃのう。じゃが、あれだけの戦力を見てそれでも文句を口にする奴がおれば、別の師団に移ってもらうだけじゃ」
一人でも戦える程の技量に至った魔術師でも、更なる強敵と戦うことになれば、どれほどディーナとブローズというタッグが有難い存在なのか理解出来る。
老人……老師としては、それが理解出来ても納得出来ない者は、自身の師団にいらなかった。
「つっても、最終的に決めるのはディーナ自身だしな」
「多少無理にでも、とは思わないのだな」
「ったり前ぇよ。んなことしてみろ、アラッドの奴に嫌われちまうだろ」
「…………」
ロードスはまだまだ現役の騎士団長ではあるが、それでも良い歳したおっさんである事に変わりはない。
そんなおっさんが、まだ二十にもなっていない若者に嫌われることを恐れている。
なんとも言えない光景に、大手クランのトップはどういった顔をすれば良いか解らなかった。
「随分と、アラッドのことを気に入っているのだな」
「そりゃそうだろ……あぁ~~~~、あれか。お前、アラッドがトーナメントに参加した時のあれを見てねぇのか」
「トーナメントとは、王都の学生間で行われるトーナメントか。確か、そのトーナメントでアラッドが優勝したのは聞いているが」
「そうそう。マジであのトーナメントが学年関係無しのトーナメントで良かった心底思ったぜ」
大手トップさんも、学年混合のトーナメントで一年生が優勝するのがどれだけ凄い事なのかは理解している。
「一年でアラッドに対抗出来そうなのは……一人だけいたか。けど、アラッドが抑えて戦っての話だからな」
「決勝では、現在共に行動しているフローレンス・カルロストと戦ったのだろう」
「そう、そんな時の戦いだ。それまでのあいつも圧倒的な力で勝ってきたが、フローレンスとの試合は良い戦いだった。つってもまぁ、ありゃ途中でアラッドが従魔を下がらせたからだけどな」
遠目からではあったが、ロードスはクロがどれほどの戦闘力を有していたのか把握していた。
人はアラッドを非常識な人間と口にするかもしれないが、ロードスからすれば決勝戦までクロを一度も参加させず、自身の力だけで相手していた時点で十分常識的だと思っていた。
「アラッドの気遣いもあって、最後は気迫だけの勝負になったんだが、そこでフローレンスの奴に押し勝った……ひれ伏せさせたと言っても良いか」
「気迫で、か」
「ふふ、解るだろう。訓練だけや並みの実戦だけで得られる力じゃない。生まれ持っての圧だけなら、フローレンスも有している。実力も既にそこら辺の騎士よりも上だった。そんな怪物が、気迫で圧されたんだ……面白くて仕方ないだろ」
「……………解らなくはないな」
アラッドが子供の頃から普通ではない行動を取っていたことは有名であろう。
モンスター戦い始める年齢が異様に早く、戦い意外に関することにも興味を持ち、実際に取り組んでいた。
(……会う機会があれば、その辺りを詳しく聞いてみたいものだな)
ロードスの気持ちを全て理解は出来ずとも、大手トップは以前までよりも強くアラッドという人間に対して興味を持つのだった。
「確かに前例はあるだろうが……騎士団には向かないのではないか?」
「力が序列になっている騎士団なら問題無いだろ。因みに、うちもそうだぜ」
あまり宜しくはなない体制だが、ロードスが務める騎士団は力が序列の基準となっている。
だからといって、暴力によるパワハラや意見を力で握り潰す様な真似は許されていない。
そこを勘違いした者は、団長直々に頭がかち割れたと錯覚するほどの拳骨を貰い、ロードスと同じ考えを有している先輩騎士から無限模擬戦を叩き込まれ……二度とバカなことを考えられないよう、矯正される。
「ふむ……しかし、何故魔術師団まで」
「ほっほっほ、簡単な事じゃよ。儂たちとしても、頼れる前衛がいるのは有難い存在じゃ」
魔術師団には、魔法使いが集まる部隊ではあるが、前衛として戦える武器使いもいる。
主な理由としては、現在この場にいるクラスの魔法使いであれば、高速移動しながら魔法を連続で、複数放ちながら器用に魔法を利用して接近戦を行うことも可能。
だが、魔術師団に入団したばかりの者たちは、学園を卒業したエリートたちと言えど、その高みに到達は出来ていない。
そのため、彼らが任務に向かう際には、前衛として戦える者が必ず同行する。
「それに、彼女の従魔は冒険者や騎士関係無く……平民や貴族関係無く助けてくれたそうじゃないか。そういった意味でも、是非入団してほしいと考えてしまう」
「……それは、アラッド君と出会ったからではないか?」
「あぁ~~~~、それはあり得そうだな」
アラッドは、間違いなく侯爵家という超位の高い貴族の人間ではあるが、あまり貴族的な思考は持たない。
因みに、ロードスも同じ類の人間である。
平民の冒険者からすれば、彼に敵意さえ持っていなければ、アラッドほど接しやすい貴族出身の冒険者はそういない。
「個人的な見方ではありますが、騎士よりも魔術師の方が冒険者を下に見る傾向があるかと」
喧嘩を売っているとも捉えられなくはない発言に対し、トップの老人は軽く笑い、否定することはなかった。
「そうじゃのう。じゃが、あれだけの戦力を見てそれでも文句を口にする奴がおれば、別の師団に移ってもらうだけじゃ」
一人でも戦える程の技量に至った魔術師でも、更なる強敵と戦うことになれば、どれほどディーナとブローズというタッグが有難い存在なのか理解出来る。
老人……老師としては、それが理解出来ても納得出来ない者は、自身の師団にいらなかった。
「つっても、最終的に決めるのはディーナ自身だしな」
「多少無理にでも、とは思わないのだな」
「ったり前ぇよ。んなことしてみろ、アラッドの奴に嫌われちまうだろ」
「…………」
ロードスはまだまだ現役の騎士団長ではあるが、それでも良い歳したおっさんである事に変わりはない。
そんなおっさんが、まだ二十にもなっていない若者に嫌われることを恐れている。
なんとも言えない光景に、大手クランのトップはどういった顔をすれば良いか解らなかった。
「随分と、アラッドのことを気に入っているのだな」
「そりゃそうだろ……あぁ~~~~、あれか。お前、アラッドがトーナメントに参加した時のあれを見てねぇのか」
「トーナメントとは、王都の学生間で行われるトーナメントか。確か、そのトーナメントでアラッドが優勝したのは聞いているが」
「そうそう。マジであのトーナメントが学年関係無しのトーナメントで良かった心底思ったぜ」
大手トップさんも、学年混合のトーナメントで一年生が優勝するのがどれだけ凄い事なのかは理解している。
「一年でアラッドに対抗出来そうなのは……一人だけいたか。けど、アラッドが抑えて戦っての話だからな」
「決勝では、現在共に行動しているフローレンス・カルロストと戦ったのだろう」
「そう、そんな時の戦いだ。それまでのあいつも圧倒的な力で勝ってきたが、フローレンスとの試合は良い戦いだった。つってもまぁ、ありゃ途中でアラッドが従魔を下がらせたからだけどな」
遠目からではあったが、ロードスはクロがどれほどの戦闘力を有していたのか把握していた。
人はアラッドを非常識な人間と口にするかもしれないが、ロードスからすれば決勝戦までクロを一度も参加させず、自身の力だけで相手していた時点で十分常識的だと思っていた。
「アラッドの気遣いもあって、最後は気迫だけの勝負になったんだが、そこでフローレンスの奴に押し勝った……ひれ伏せさせたと言っても良いか」
「気迫で、か」
「ふふ、解るだろう。訓練だけや並みの実戦だけで得られる力じゃない。生まれ持っての圧だけなら、フローレンスも有している。実力も既にそこら辺の騎士よりも上だった。そんな怪物が、気迫で圧されたんだ……面白くて仕方ないだろ」
「……………解らなくはないな」
アラッドが子供の頃から普通ではない行動を取っていたことは有名であろう。
モンスター戦い始める年齢が異様に早く、戦い意外に関することにも興味を持ち、実際に取り組んでいた。
(……会う機会があれば、その辺りを詳しく聞いてみたいものだな)
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