スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千二百七十話 分散

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(これで、終わらせる!!! 勝つんだッ!!!!!!!)

これから相手が強力な一撃を……最大火力の一撃を叩き込んでくるのが解る。

対して、ブローズは全ての強化スキルを使用し、足に岩石……ではなく、鋼鉄を纏った。
土魔法を扱う者の中には、その人物の才能にも関わってくるが、練度を高めれば土を鉄に変えることが出来る。

何故そんな事が出来るのかと問われると、大抵の者は答えられない。
ある程度見解を述べられる者はいるが、それでもそれが明確な答えであると証明できる者はいない。

そして……ブローズに関しては前者であり、関わった人物が評価している通り、潜在的な能力が並外れている。

だからこそ、土魔法しか覚えていない状態にの関わらず、そこら辺の鋼鉄よりも硬く……そして鋭い鋼鉄を足に纏った。

放つは技は、爪技……ブレイククロウ。
やや反動がある技だが、対象を切り裂くのではなく、破壊することに適した一撃。

この技で、ブローズはザルクが放つ攻撃に打ち勝ち、そのままザルクとレウスを破壊する。

だが……この場には、彼ら以外の人間が大勢存在する。

(っ、あれは!!)

ザルクは、間違いなくブローズとの戦いだけに集中していた。

彼の集中力はそこら辺の冒険者や騎士と比べ物にならない。
相棒の声によって、若々しいころの感覚が戻ってきていた。

それでも、絶対にその集中力を削げない道理はない。

込められた殺気の差によっては、向けられた集中力を一瞬で分散させてしまう。

「ッッッッッッーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

離れている。
後衛職の人間であれば届く距離ではあるが、それでも威力の減少が多少なりともあり、ブローズたちであれば対応することが可能。

だが、ザルクの集中力を分散させた人物は……ある、指揮官の騎士であった。

彼は全力の殺意をザルクとレウスに向けた。
指揮官騎士が扱う武器をロングソード。
魔法も使用可能ではあるが、威力を考えればロングソードの方が優れている。

ロングソードに纏われている属性は雷。

当然、ザルクは雷を使う騎士やモンスターとの戦闘経験もある。
問題なのは……その男が獲物に纏う雷の強大さだった。

魔力は纏うだけで魔力を消耗する。
そして纏う量が多くなれば、それだけ消耗する量も多い。
指揮官騎士が纏う雷の大きさは、ただの一撃のために纏うための魔力量ではなかった。

そして、そこから繰り出されるであろう一撃の大きさも、勿論一級品。
彼は……指揮を執る自分が愚物であることを許せないタイプの人間であり、指揮官となった今でも最前線に出ることは珍しくない。

加えて、彼は……演技が上手かった。

(どちらを、迎え撃てばッ!!!!)

判断が増えてしまった。

それが出来れば、指揮官騎士としては目的も果たしも同然。

「ッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「ぐッッッッ!!!!!!!!!」

指揮官騎士が本気で仕留めようとした相手は、ザルクとレウス。
二人の判断対象を分散させてしまえば、後は後手に回るしかない。

ザルクはレウスの豪炎を吸収し、旋風によって増大させた炎槍を無駄にすることはなかった。
ただ、本来はブローズを仕留めるためだった力を、防ぐための力へ使用してしまった。

「っっっっっ!!!!!!!」

上から鋼鉄のブレイククロウを叩き込まれるもザルクが防ぎ、レウスが必至で体勢を維持する。
しかし……均衡が長く保たれることはなかった。

理由は単純明快。

まず、完全に真上から叩き込まれるという状況が良くなかった。

「耐えるんだ、レウスッ!!!!!!!!」

相棒を必死に鼓舞するが、それでも高度は下がる。

戦いが終盤というのも良くなかった。
ブローズも疲労しているが、ザルクとレウスの疲労も濃い。

そして真上から攻撃を行う……叩きつけるという身を任せる行為に対し、ザルクたちは上から叩きつけられた攻撃に対して踏ん張り、耐えなければならない。

その構図の差も大きく、相棒の鼓舞もむなしく、抗う力すら薄れていく。

(まだ、まだ、まだだッ、まだだぁあああああああァアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!)

吼えた。
レウスは全力で吼え、殺気を飛ばした。

「「「「「「「っ!!!!????」」」」」」」

その先は、自分の下にいる人物たち。

疲労が濃い状態とはいえ、Bランクドラゴンの殺気を受ければ咄嗟に体が引いてしまう。

ぽっかりと空いた空間に対し……レウスは残っている魔力を振り絞り、ブレスを放った。

飛行能力だけでは保てないと悟ったがゆえに、ブレスをジェット噴射にしてこのまま地面に叩きつけられるという最悪の状態を回避できた。

体勢が整えば、相棒が攻撃を流せる。
そうすれば、今度は相手が対応を崩し、今度こそ仕留めることが出来る。

「ッ、ガアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!」

「「っっっ!!!!!?????」」

だが、異変を察知したブローズの判断力は迅速であり……そして、現状を打破するのに最適な行動だった。

それは、残っている左前足でもブレイククロウを叩き込むだった。
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