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千二百九十八話 セオリー外へ
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「っ、一部の……冒険者たちが左の戦場へ向かおうとしてる」
「っ!! 解った!!!」
クラートはやや離れた場所にいる敵の動きに変化があることを把握し、自身も下がって同じ部隊の仲間たちに情報を提供。
「行っても問題ないよな!!!」
ディーナの圧倒的な実力、破壊力を見た後では心配など必要ないことは解りつつも、それでも彼女やクラートたちの身を案じる。
「……問題ないかは解らない。ただ、今よりも荒れてしまう」
「荒れる? っ!!!!!?????」
直後、宙から何かが飛来した。
「ふぅーーーーー、なるほどな……こりゃ不味いな」
現れた人物は……巨人族の男。
巨人族は平均身長が二メートル半を越えており、文字通り巨人。
これまでにも戦場ではちらほら見かけられていたが……それでもクラート以外の者たちも解る。
先程、一斉に現れた強者たちよりも、更に上の猛者であると。
「早く」
「っ、おう!!!! 聞いたな、お前ら!!!」
クラートと男の会話は他のメンツにも伝わっており、約十名ほどが一時的に別の戦場へと移る。
確かにディーナや現在のクラート、オルフェンからすればそこまで気にするほどの敵ではない。
しかし、同レベルの兵士や冒険者たちは、彼女たちの味方側にもいる。
守れるところは守る。
騎士としては勝つことと同じぐらい大事なこと。
加えて、ディーナがいる周辺の冒険者たちが別の戦場へ移ろうとしているという情報も、他の部隊と共有しておかなければならない。
(絶対に死ぬんじゃねぇぞ!!!)
駆け出す彼らを見て……巨人族の男は見向きもしなかった。
「随分と暴れてくれたな」
「……あなたがもう少し早く出てきていれば、こうはなっていなかったでしょう」
「バッハッハ!!!!! それを言われてしまうと痛いな…………ふっ……敵でなければ、もっと話してみたいところだが、そうもいかん」
一目で解った。
目の前の鬼人族は強い……ただ強いだけではなく、特別強い。
従魔であろうドラゴンなのか虎なのか解らない存在も、人族と獣人族の青年も……特別であると巨人族の男、ビガルは瞬時に全てを把握した。
(こんなパーティーがいたんだな…………なら、しゃあないな)
先程まで周辺にいた騎士たちやディーナが感じ取った通り、巨人族のビガルは強い。
それは間違いないのだが……それでも、覇爪を装備したディーナにクラート、オルフェン……虎竜ブローズまで相手をするのは、さすがに荷が重い。
「……そうだな」
「じゃから、先に謝っておこう……すまんな、強気戦士たちよ」
それでも、叶うことなら正々堂々と……真正面から戦いたかった。
だが、負けてはならない。
戦争というものに参加する以上、ビガルは負けても構わないという思いで戦うつもりはない。
だから……先にディーナたちにすまないと告げ、口に詰めていた薬を飲みこんだ。
「っっっ!!!!! ッ、ゴォオオオオオオオオアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ッッッッ!!!!!!!!!!」
「「「「ーーーーーーーッッッ!!!!!!!」」」」
大地を、大気を揺るがす巨人の咆哮。
味方の士気を高め、的には絶望を与える。
そんな雄叫びが……ビガルからだけではなく、他の複数の戦場からも聞こえてくる。
(先ほどよりも強い者たちが投入された……というだけではなさそうだ、なっ!!!!????)
決して……決して、油断していたわけではない。
ほんの少しだけ他の戦場に意識を奪われはしたものの、視線はビガルから話していなかった。
だが、それでも眼を見開くほどの速さで距離を詰め、大斧が振り下ろされた。
(これが、巨人族の速さか!!!!???)
ダンジョンで武者修行をしていた際に、巨人族と共に戦った経験があり、おおよそではあるがその特徴は把握していた。
パワーは鬼人族や竜人族に負けておらず……寧ろ、渾身の一撃を真正面から受ければ、そのまま粉砕される可能性が高い。
しかし、見た目通りスピードがない。
そんなディーナの印象は間違っておらず、それが巨人族のセオリーである。
「オオオオオオオオッッッ!!!!!!!!」
「っ!!! 普通じゃ、ない」
「……そのようだね」
ビガルにとっては、狙うのはディーナだけでなくて構わない。
人族の青年でも、獣人族の青年……よく解らない従魔でも構わない。
振るわれる大斧は、彼らを容易に斬り裂く。
オルフェンはビガルの変化、身体能力に驚きを隠せないものの、それでもまずはあの斬撃を食らってはいけないと、避けることに専念する。
クラートには明鏡止水があり、驚きや焦りが……表面に出ていなかった。
冷静に分析し、把握し……オルフェンと同じ考えに至る。
あの男の一撃は、自分たちが食らってはならない。
食らえばそれだけでディーナの足を引っ張ってしまう。
そして……自分たちの攻撃は、おそらくあの巨人族に通じない。
その事実を二人は冷静に、現実として受け止める。
(……それでも、いる意味はある)
幸いにも、どうやら巨人族の標的はディーナだけではない。
となれば、的に……囮となれる。
彼女は、本当に頼れる仲間であり、クラートたちの中で一番の強者である。
それでも……不死身ではない。
加えて、彼女が死ぬ可能性が浮かんだ以上、自分の命可愛さに激戦地から離れるなど……彼らの本能が、心が許さなかった。
「っ!! 解った!!!」
クラートはやや離れた場所にいる敵の動きに変化があることを把握し、自身も下がって同じ部隊の仲間たちに情報を提供。
「行っても問題ないよな!!!」
ディーナの圧倒的な実力、破壊力を見た後では心配など必要ないことは解りつつも、それでも彼女やクラートたちの身を案じる。
「……問題ないかは解らない。ただ、今よりも荒れてしまう」
「荒れる? っ!!!!!?????」
直後、宙から何かが飛来した。
「ふぅーーーーー、なるほどな……こりゃ不味いな」
現れた人物は……巨人族の男。
巨人族は平均身長が二メートル半を越えており、文字通り巨人。
これまでにも戦場ではちらほら見かけられていたが……それでもクラート以外の者たちも解る。
先程、一斉に現れた強者たちよりも、更に上の猛者であると。
「早く」
「っ、おう!!!! 聞いたな、お前ら!!!」
クラートと男の会話は他のメンツにも伝わっており、約十名ほどが一時的に別の戦場へと移る。
確かにディーナや現在のクラート、オルフェンからすればそこまで気にするほどの敵ではない。
しかし、同レベルの兵士や冒険者たちは、彼女たちの味方側にもいる。
守れるところは守る。
騎士としては勝つことと同じぐらい大事なこと。
加えて、ディーナがいる周辺の冒険者たちが別の戦場へ移ろうとしているという情報も、他の部隊と共有しておかなければならない。
(絶対に死ぬんじゃねぇぞ!!!)
駆け出す彼らを見て……巨人族の男は見向きもしなかった。
「随分と暴れてくれたな」
「……あなたがもう少し早く出てきていれば、こうはなっていなかったでしょう」
「バッハッハ!!!!! それを言われてしまうと痛いな…………ふっ……敵でなければ、もっと話してみたいところだが、そうもいかん」
一目で解った。
目の前の鬼人族は強い……ただ強いだけではなく、特別強い。
従魔であろうドラゴンなのか虎なのか解らない存在も、人族と獣人族の青年も……特別であると巨人族の男、ビガルは瞬時に全てを把握した。
(こんなパーティーがいたんだな…………なら、しゃあないな)
先程まで周辺にいた騎士たちやディーナが感じ取った通り、巨人族のビガルは強い。
それは間違いないのだが……それでも、覇爪を装備したディーナにクラート、オルフェン……虎竜ブローズまで相手をするのは、さすがに荷が重い。
「……そうだな」
「じゃから、先に謝っておこう……すまんな、強気戦士たちよ」
それでも、叶うことなら正々堂々と……真正面から戦いたかった。
だが、負けてはならない。
戦争というものに参加する以上、ビガルは負けても構わないという思いで戦うつもりはない。
だから……先にディーナたちにすまないと告げ、口に詰めていた薬を飲みこんだ。
「っっっ!!!!! ッ、ゴォオオオオオオオオアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ッッッッ!!!!!!!!!!」
「「「「ーーーーーーーッッッ!!!!!!!」」」」
大地を、大気を揺るがす巨人の咆哮。
味方の士気を高め、的には絶望を与える。
そんな雄叫びが……ビガルからだけではなく、他の複数の戦場からも聞こえてくる。
(先ほどよりも強い者たちが投入された……というだけではなさそうだ、なっ!!!!????)
決して……決して、油断していたわけではない。
ほんの少しだけ他の戦場に意識を奪われはしたものの、視線はビガルから話していなかった。
だが、それでも眼を見開くほどの速さで距離を詰め、大斧が振り下ろされた。
(これが、巨人族の速さか!!!!???)
ダンジョンで武者修行をしていた際に、巨人族と共に戦った経験があり、おおよそではあるがその特徴は把握していた。
パワーは鬼人族や竜人族に負けておらず……寧ろ、渾身の一撃を真正面から受ければ、そのまま粉砕される可能性が高い。
しかし、見た目通りスピードがない。
そんなディーナの印象は間違っておらず、それが巨人族のセオリーである。
「オオオオオオオオッッッ!!!!!!!!」
「っ!!! 普通じゃ、ない」
「……そのようだね」
ビガルにとっては、狙うのはディーナだけでなくて構わない。
人族の青年でも、獣人族の青年……よく解らない従魔でも構わない。
振るわれる大斧は、彼らを容易に斬り裂く。
オルフェンはビガルの変化、身体能力に驚きを隠せないものの、それでもまずはあの斬撃を食らってはいけないと、避けることに専念する。
クラートには明鏡止水があり、驚きや焦りが……表面に出ていなかった。
冷静に分析し、把握し……オルフェンと同じ考えに至る。
あの男の一撃は、自分たちが食らってはならない。
食らえばそれだけでディーナの足を引っ張ってしまう。
そして……自分たちの攻撃は、おそらくあの巨人族に通じない。
その事実を二人は冷静に、現実として受け止める。
(……それでも、いる意味はある)
幸いにも、どうやら巨人族の標的はディーナだけではない。
となれば、的に……囮となれる。
彼女は、本当に頼れる仲間であり、クラートたちの中で一番の強者である。
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