スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千三百六十四話 ちゃんと四等分?

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「わ、私の話はもう良いだろう。クラートの話を戻そうじゃないか」

「い、いやぁ、俺の話は別に……」

「現実的な問題として、申し込みの数はクラートさんの方が多くなるかもしれませんね」

それは確かにそうだと、フローレンスはディーナの気持ちを汲み、クラートの婚約話に内容を戻した。

「……アラッド、実際そうなりそうなのか?」

オルフェンの問いにアラッドはほんの少しだけ考え込んだ。
アラッドは一応貴族令息ではあるが、基本的に貴族社会に関わらず生きてきたため、ハッキリと断言することはできない。

「そうだなぁ……………………クラートは平民という立場もあるから、男爵家や子爵家といった家からすれば、婚約を申し込みやすい立場ではある」

貴族令嬢と平民が? と思われるかもしれないが、そこまでおかしな話ではない。

さすがに冒険者としてそれなりに活躍していたとしても、辺境伯家以上の令嬢だと少々厳しいが、男爵家や子爵家の者であれば、難しい話ではない。

(どれだけの人間がクラートの変化に、手に入れた力に気付いてるかにもよるけどな)

実際にクラートが手に入れた力に気付いている者はいる。

まだ王都にいる冒険者たちや、クラートと同じ戦場で活動していた者たちの中にも気付いている者たちはいた。

鑑定系のスキルをクラートに使って確認したわけではなくとも、噂を広めること自体は出来てしまう。
そのため、男爵家や子爵家の様な位が高くない家がそれを信じ、娘を婚約者にと頼み込んでくることは十分考えられる。

アラッドとしては……クラートを故郷から引き離さいのであれば、無理してどうこうすることはと思ってしまう。

「クラートは……故郷に気になる人とかいるのか?」

「気になる人、ですか」

「あぁ。平民でも妻が複数人いることは一応問題ないが、本妻がお前と同じ平民で、第二夫人第三夫人が貴族令嬢となると、そこで問題が起こる……と思うぞ、うん」

あれこれ語るアラッドだが、途中で実家の内情を思い出し、最後はやや自信なさげな状態となっていた。

アラッドの父であるフールには第一夫人にエリア、第二夫人にリーナ……そして、第三夫人にアリサがいる。
エリアは伯爵家の娘で、リーナは子爵家の娘。
アリサは平民であるため、完全に立場は違うが……三人があれこれ牽制を行ってる場面などは、見たことがなかった。

「私も同感ね。男爵家の中にも感覚的には平民と近い……それこそ、凄い平民と距離が近い方もいるらしいから、一概に良くないとは言えないけれど……ねぇ。ラディアはどう思う?」

「…………気になる人がいるなら、早く結婚してしまった方が、こう…………少なくとも、貴族たちを踏みとどまらせることは出来るんじゃないかな」

「少し俗的な考えになってしまうが、今のクラート殿であれば、意中の相手は振り向いてくれるのではないか?」

クラートは戦争を乗り越え、一回りも二回りも強くなった。

そして……ディーナやクラートはあまり気にしていなかったが、オルフェンは冒険者としてキッチリしており、自分たちがどういった敵を倒したのか細かく覚えており、得るものは得ていた。

戦争が終わった後の買取やらなんやらで、その額は二人が予想していた以上の額になり、当然オルフェンはそれらを働きに応じて当分する。

ただ、その際に問題が発生した。
オルフェンは手に入れた装備やマジックアイテムの売買で手に入れた大金を、ディーナが五でクラートが三。そして自分が二だと考えていた。

そうなると、ディーナとクラートがちょっと待てと言い出す。

ディーナは、なぜ自分が五なのだと……クラートに関してはディーナが五なのは解るが、何故自分が三でオルフェンが二なのだと言い始めた。

オルフェンとしては、まずディーナは自分たちよりも強く、実際に多くの敵を倒していた。
加えて、彼女には実際のところブローズという虎竜の相棒がいる。
実質二人分の戦力であるため、五割は妥当であった。

そしてクラートだが……途中から動きに繊細さと冷静さに、周囲との連携度が格段に向上したこともあり、オルフェンとしても非常に戦いやすかった。
なので、自分は彼よりも一割低い二割で十分だと判断した。

ただ、それらの理由を説明しても二人が「なるほど。それならまぁ、仕方ないか」となるわけがなく、話を重ねた結果……ディーナが変わらず五割で、クラートとオルフェンが二割五分ずつ貰うことで決着。

当然の様にディーナは納得がいなかったが、二人はブローズの働き分と告げると、大人しく受け入れるしかなかった。

といった事があり、今のクラートは男爵家や子爵家の個人から見ても……羨ましいと感じるほどの蓄えを有していた。

そういった部分もあり、今のクラートは異性からモテる要素をそれなりに有していた。

「…………いたはいたんですけど、その人は……歳上の方で、既に他の人と結婚してるので」

客観的に見て、今の自分にはそういった要素があるのだと、なんとなくは解るクラート。

しかし……本気で好きだったからこそ、そういった力を用いて気を引こうという思いには、どうしてもなれなかった。
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