スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千三百八十五話 異端

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「騎士の道を志してたら……どうなってたんだろうね」

「………………」

スティームの想像に対し、アラッドは返す言葉が直ぐに出てこなかった。

何故なら……アラッドは、騎士という国や仕える家に縛られることを嫌っている。
そのため、想像の話であったとしても、もしかしたらこうだったかもしれないと、想像することすら出来なかった。

「多分だけど、喧嘩の毎日なんじゃない?」

「ガルーレ、俺の事をなんだと思ってるんだ」

「えっと…………えへへ」

気に入らない相手は絶対に潰す人間、と答えようとしたガルーレだが、なんとなく濁すことにした。

「ったく……まぁ、少し異端的な存在になるかもな」

「ふむ、それはどうしてだ?」

「俺はメイン武器をロングソードにしてはいるが、鍛錬自体は他の武器でも行っている」

「……その心は」

「…………誰しも、才能の限界というものがあると思ってる」

この世界は、常識では語れないことが多くある。

そんな事はアラッドも解っている。
だとしても、全員が全員限界を越えて動き続け、それに準じた成果を得られるとは思っていない。

「どれだけ磨き続けたとしても、最後には磨くところが一切ない完成品が出来上がる。そうれば、実戦で使うことに関して異論はないが、訓練する意味はあるのかと」

「……つまり、いざという時に磨き上げた手札が多いほど、自身の為になる、ということか」

「あぁ」

これに関しては、あくまで後付けだった。

アラッドとしては前世の記憶があるため、そもそも本物の武器とい存在に対しての興味が半端ではなく、それもあって多くの武器に触れ、時間を費やしていた。

純粋に興味があったから、というのが本当の理由。

だが、それに敢えて意味を付けるのであれば、手札の数による有利だった。

「一番簡単なのが、もし自身の得物が弾かれた時にどう対処するか、だ。どれだけ身体能力があろうと、腰の入ってない拳は本当の意味で恐ろしさを感じない」

「それはマジでそう。声を荒げて大振りで殴れば良いって考えてる奴って結構多いんだよね~」

徒手格闘がメインであるガルーレはリーダーの言葉に何度も頷く。

その頷きとは反対に、何名かはブスっと背中に矢が刺さった。

「それこそ、今回の戦争なら得物が弾かれたとしても、地面に誰かの得物が転がってる可能性がある。だが、使い慣れてない得物だったら、どうだ」

「……そのまま呆気なく死んでしまうだろう」

「だろう。なにも、一つの道を究めようとすることが悪いと思ってるわけじゃない。ただ、その結果死んでも良い覚悟があるならばな」

「今ちょいちょいロングソードを使ってるから、結構アラッドの言葉が身に染みるんだけどさ、やっぱり幼い子供がアラッドの話を聞いたら、ふざけんじゃねぇ!!! ってちゃんとした反論せずに怒るのかな」

「「「「「…………」」」」」

アラッド以外の貴族たちは、なんとかして幼い頃の自分や、周りにいた者たちを思い出す。

(…………無理そうな、気が)

(そうですね……純粋な気持ち、心を持っている者であれば、受け入れられる可能性はありそうですね)

(これは……その子の気持ちっていうより、子供たちの教育者や、その家の教育方針次第じゃないかしら?)

(……今はありと思えるけど…………自分が選んだ得物に自信を持ってれば持ってるほど、反発しそう)

(一理ある。いや、それどころか二理も三理も……ただ、幼い心でそれを受け止められるか……理解するのは……難しいだろうな)

それぞれの考えが浮かぶが、五人とも総じて基本的には難しいというのが第一に浮かんだ。

「とはいえ、それに関しては強くなること以外にも学ぶことがあるだろうから、時間の問題というのもあるだろう」

「……なんなら、そこが一番大きな問題そうだね」

アラッドは元から騎士になるつもりはなく、貴族の世界で生きていくつもりがなかった。

それもあって、基礎的な教育を終えた後は、全ての時間を自分の使いたいように仕えたこともあり、多くの武器に触れることが出来た。

「っと、少し話がそれたな。そういった持論を持っているタイプだからこそ、異端扱いを受ける筈だ」

「けどさ、アラッドの場合ちゃんと実力で叩き伏せそうじゃない?」

「……同じ武器同士なら、そうなるとは限らないと思うが」

今のアラッドは、身体能力が明確な武器の一つとなっている。

しかし、幼き頃と考えると、いざという時に身体能力でという手札を切れず、普通に負ける可能性がある。

「そうだとしても、それはそれでアラッドは騎士を志す者たちの間で、革命を起こすかもしれませんね」

「それは大袈裟が過ぎるぞ、フローレンス」

「私は正当な評価だと思っていますよ。少なくとも……その世代を担う騎士となったはずです」

力が正義となるなら、そうなってもおかしくはない。

「………………ふぅーーーー。評価してくれるのは、有難いと言っておこう。だが、全ての意味で俺が騎士の道に進んだとして、プラスになることはない」

どうしてと……何人かは口を開きそうになるも、アラッドの確信めいた言葉に開くことが出来なかった。
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