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五話 それは格を下げる発言となる
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騎士長、グラストの予想では二人の模擬戦はそれなりに長引くと思っていた。
日頃から鍛錬を重ね続けているアラッド。
五歳の誕生日に剣技のスキルを手に入れ、最近は今までより剣術の稽古に意欲的なドラング。
まだ二人が五歳ということもあり、そこまで大きな差はないと考えていた。
騎士として贔屓目なしの眼で予想し、六対四でアラッドがやや有利。
そう思っていたが……結果は大きく覆された。
グラストが模擬戦開始の合図を行ったと同時に身体強化のスキルを発動し、拳と脚に魔力を纏った。
そして一瞬でドラングとの距離を詰め、あばらに重い拳がめり込んだ。
(俺はアラッド様の実力を甘く見ていたようだ)
普段はあまり兵士たちと模擬戦を行うことはなく、ロングソードを扱う際の注意点などを聞いてひたすら素振りや素手によるシャドーを行う。
魔力操作の訓練も重点的に行っているのは知っていた。
だが……それでもここまで圧倒的な結果になるとは思っていなかった。
(流れるような動作で魔力を部分的に纏い、ドラング様が反応出来ない速度で懐に潜り、一撃を入れた……圧倒的過ぎる)
現在、長男であるギーラスや次男のガルア、長女のルリナを含めて全員が戦闘訓練を日常的に行っている。
その中でもルリナとガルアはアラッドの四つ上で、現在九才。
普通に考えて才能があったとしても、五歳児が九歳の子供に勝つのは不可能に近い。
その筈なのだが、グラストは二人がアラッドに勝てるビジョンが浮かばなかった。
(さすがにギーラス様と戦えば、勝つのはギーラス様だが……ルリナ様とガルア様には高確率で勝利する可能性が高い。まさに傑物)
二人の模擬戦を観ていた三人もまさかの光景に驚かざるを得なかった。
三人ともアラッドがやや有利な戦況になると思っていたが、ふたを開けてみればアラッドの圧勝。
勝った本人は特に勝利を喜ぶことはなく、訓練場から出て行った。
「はぁ、はぁ、はぁ……クソっ!!!! あの野郎……どこにいった!!!!」
「アラッド様は訓練場から出て行きました。そしてドラング様、今のは油断していたから直ぐに再戦を行う、とは口にしない方がよろしいかと。油断している隙を突いた、それは立派な戦術です。それを理由に再戦を申し込もうとすれば、それはドラング様の格を下げる行為になります」
「うぐっ!!! …………クソッ!!!!!!!!」
先にグラストが全て話したことで、ドラングがアラッドに無茶な理由で再戦を申し込むことはなかった。
ドラングはグラストが真剣に自分のことを考えて発言したのだと子供ながらに解り、ギリギリのところで理性が勝ち、直ぐにアラッドに勝負を挑もうとは思わなかった。
(ドラング様が決して弱いのではない。寧ろ同年代の子供と比べれば格上の存在になるだろう……だが、今のアラッド様とはあまりにも差が大きい)
今回の模擬戦で、アラッドはパンチという攻撃方法しか使用しなかった。
アラッドは既に剣技のスキルを習得しており、糸というエクストラスキルという切り札もある。
そして魔法の才も並ではなく、魔法という攻撃手段もある。
(平行発動できるかどうかは解らないが、仮に……もし仮に平行発動を習得していれば、今のドラング様には全く勝機がない)
この世界では魔法を発動する際に、詠唱は必要ない。
だが、発動するまでに威力相応の時間が必要。
そして魔法を使い慣れていなければ、集中して魔法を使わなければ上手く発動しないので、基本的にその場から動けない。
しかし器用な者、もしくは根性と努力で慣れてみせた者は動きながら魔法を発動することができ、その技術を平行発動と呼ぶ。
五歳児が平行発動を習得したという記録はないが、グラストはアラッドならもしかしたらと思ってしまった。
「あれね、瞬殺だったわね」
「そうだね。もっと接戦になると思ってたけど、まさかこんな結果になるなんてね……血の繋がった兄であるガルアとしてはやっぱり悔しいかい?」
「……いや、あんまりだな。模擬戦が始まる前はドラングに勝ってほしいなって思いはあったが、結果を見たら可能性が全くないと解ってしまった」
ギーラスは五歳の誕生日にドラングと同じく剣技のスキルを手に入れ、ルリナは細剣技。ガルアは槍技のスキルを手に入れた。
三人の仲は悪くなく、それなりに良好といえる関係だった。
日頃から鍛錬を重ね続けているアラッド。
五歳の誕生日に剣技のスキルを手に入れ、最近は今までより剣術の稽古に意欲的なドラング。
まだ二人が五歳ということもあり、そこまで大きな差はないと考えていた。
騎士として贔屓目なしの眼で予想し、六対四でアラッドがやや有利。
そう思っていたが……結果は大きく覆された。
グラストが模擬戦開始の合図を行ったと同時に身体強化のスキルを発動し、拳と脚に魔力を纏った。
そして一瞬でドラングとの距離を詰め、あばらに重い拳がめり込んだ。
(俺はアラッド様の実力を甘く見ていたようだ)
普段はあまり兵士たちと模擬戦を行うことはなく、ロングソードを扱う際の注意点などを聞いてひたすら素振りや素手によるシャドーを行う。
魔力操作の訓練も重点的に行っているのは知っていた。
だが……それでもここまで圧倒的な結果になるとは思っていなかった。
(流れるような動作で魔力を部分的に纏い、ドラング様が反応出来ない速度で懐に潜り、一撃を入れた……圧倒的過ぎる)
現在、長男であるギーラスや次男のガルア、長女のルリナを含めて全員が戦闘訓練を日常的に行っている。
その中でもルリナとガルアはアラッドの四つ上で、現在九才。
普通に考えて才能があったとしても、五歳児が九歳の子供に勝つのは不可能に近い。
その筈なのだが、グラストは二人がアラッドに勝てるビジョンが浮かばなかった。
(さすがにギーラス様と戦えば、勝つのはギーラス様だが……ルリナ様とガルア様には高確率で勝利する可能性が高い。まさに傑物)
二人の模擬戦を観ていた三人もまさかの光景に驚かざるを得なかった。
三人ともアラッドがやや有利な戦況になると思っていたが、ふたを開けてみればアラッドの圧勝。
勝った本人は特に勝利を喜ぶことはなく、訓練場から出て行った。
「はぁ、はぁ、はぁ……クソっ!!!! あの野郎……どこにいった!!!!」
「アラッド様は訓練場から出て行きました。そしてドラング様、今のは油断していたから直ぐに再戦を行う、とは口にしない方がよろしいかと。油断している隙を突いた、それは立派な戦術です。それを理由に再戦を申し込もうとすれば、それはドラング様の格を下げる行為になります」
「うぐっ!!! …………クソッ!!!!!!!!」
先にグラストが全て話したことで、ドラングがアラッドに無茶な理由で再戦を申し込むことはなかった。
ドラングはグラストが真剣に自分のことを考えて発言したのだと子供ながらに解り、ギリギリのところで理性が勝ち、直ぐにアラッドに勝負を挑もうとは思わなかった。
(ドラング様が決して弱いのではない。寧ろ同年代の子供と比べれば格上の存在になるだろう……だが、今のアラッド様とはあまりにも差が大きい)
今回の模擬戦で、アラッドはパンチという攻撃方法しか使用しなかった。
アラッドは既に剣技のスキルを習得しており、糸というエクストラスキルという切り札もある。
そして魔法の才も並ではなく、魔法という攻撃手段もある。
(平行発動できるかどうかは解らないが、仮に……もし仮に平行発動を習得していれば、今のドラング様には全く勝機がない)
この世界では魔法を発動する際に、詠唱は必要ない。
だが、発動するまでに威力相応の時間が必要。
そして魔法を使い慣れていなければ、集中して魔法を使わなければ上手く発動しないので、基本的にその場から動けない。
しかし器用な者、もしくは根性と努力で慣れてみせた者は動きながら魔法を発動することができ、その技術を平行発動と呼ぶ。
五歳児が平行発動を習得したという記録はないが、グラストはアラッドならもしかしたらと思ってしまった。
「あれね、瞬殺だったわね」
「そうだね。もっと接戦になると思ってたけど、まさかこんな結果になるなんてね……血の繋がった兄であるガルアとしてはやっぱり悔しいかい?」
「……いや、あんまりだな。模擬戦が始まる前はドラングに勝ってほしいなって思いはあったが、結果を見たら可能性が全くないと解ってしまった」
ギーラスは五歳の誕生日にドラングと同じく剣技のスキルを手に入れ、ルリナは細剣技。ガルアは槍技のスキルを手に入れた。
三人の仲は悪くなく、それなりに良好といえる関係だった。
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