7 / 1,361
七話 過去の自分を超える逸材
しおりを挟む
「本日、アラッド様とドラング様が模擬戦を行いました」
「おぉ~~~、いつかやるだろうとは思っていたけど、今日だったか。僕も観たかったね」
ドラングがアラッドをライバル視しているのはフールも知っていたので、いつか二人が訓練などの目的ではなく、私的な理由で模擬戦をすると思っていた。
「それで、結果はどうだったんだい? 僕としては六対四でややアラッドが有利だと思うんだけど」
「本日は、その結果を直ぐに報告した方が良いと思い、やって来ました」
グラストが普段よりも真剣な表情に、フールだけではなく他の二人も何が起こったのかと思い、聞き逃したくないので耳に意識を集中させた。
「アラッド様とドラング様が模擬戦を行った結果、アラッド様の圧勝で終わりました」
「……ふむ、そうか。アラッドの方が有利だとは思っていたけど、まさか圧勝とはね」
その可能性がゼロではないと思っていたフールの表情は揺らがなかったが、他二人はドラングが善戦できなかったことに十分驚いていた。
しかし、話はここで終わらない。
「フール様、アラッド様は一撃……たった一撃でドラング様を沈めました」
「ッ! ゴホッ、ゴホッ!!!!」
「だ、大丈夫ですか!」
「あ、あぁ。大丈夫だよ。驚いて紅茶が気管に入ってしまっただけだ」
アラッドが圧勝してしまう可能性は、もしかしたらあるかもしれない。
時々子供たちの訓練風景を見ることがあるので、実力的にはアラッドの方が上であろうという確信は持っていた。
だが、それでもたった一撃で勝負が終わるとは予想していなかった。
「その過程は本当なのかい?」
「えぇ、本当です。フール様への忠誠心に誓って」
「そうか……分かった、信じるよ。それで、いったいどのようにしてドラングを一撃で沈めたんだい?」
「いたってシンプルな方法です。身体強化のスキルを使用し、拳と脚に魔力を纏って強化を行って近づき、あばらに拳を叩きこんで終了です。私の見立てでは、その一撃であばらの骨が折れていたかと」
「魔力を部分的に纏えるのか……魔力操作に関しては頭一つ抜けているとは思っていたけど……質はどうだった」
「五歳児とは思えないほど纏うスピードが速く、形も歪ではなく綺麗な形でした」
体や武器に魔力を纏うという技術を身に付けるのすら、普通はまだ先の話。
加えて、魔力を部分的に纏うという技術を習得するのはまだまだ先になる筈なのだが……アラッドはそれを五歳で習得してしまった。
「なるほど……子供にしては随分と大人びた雰囲気を持つとは思っていたけど、成長スピードが尋常ではないね」
「今回は拳だけで終わらせてしまいましたが、アラッド様の練習内容を考えるに攻撃手段はまだまだあります……これは驕りなどではなく、この世の五歳児の中でアラッド様が一番お強いかと思われます」
他家に喧嘩を売るような内容だが、フールもグラストからの報告を聞いてその可能性は十分にあると思ってしまった。
(フールの賢さなら、おそらく糸がどういった武器になるのか既に把握しているよね……それを考えると、公爵家や王族の五歳児と戦っても勝ってしまう……よね?)
もしかしたらアラッドは過去の自分が上り詰めた騎士の地位に追いつく……もしくは追い抜いてしまうかもしれない。
そう考えると、自然と笑みが零れてしまった。
「確かアラッドには魔法の才もあったよね」
「えぇ、あまり詳しいことは確認出来ていませんが、おそらく剣術や体術に劣らぬ才を持っているかと」
魔力操作の腕が上がれば、いずれ己の魔力を属性に変えて纏うことができる。
それは貴族であれば自ずと習得できる技術。
そしてアラッドの場合……現時点で六つの魔法スキルを習得している。
「いつも人一倍頑張ってる成果が実を結んだ証拠だろうね……ふふ、現時点でそこまで強くなったなら、何かご褒美を上げた方がいいね」
「おぉ~~~、いつかやるだろうとは思っていたけど、今日だったか。僕も観たかったね」
ドラングがアラッドをライバル視しているのはフールも知っていたので、いつか二人が訓練などの目的ではなく、私的な理由で模擬戦をすると思っていた。
「それで、結果はどうだったんだい? 僕としては六対四でややアラッドが有利だと思うんだけど」
「本日は、その結果を直ぐに報告した方が良いと思い、やって来ました」
グラストが普段よりも真剣な表情に、フールだけではなく他の二人も何が起こったのかと思い、聞き逃したくないので耳に意識を集中させた。
「アラッド様とドラング様が模擬戦を行った結果、アラッド様の圧勝で終わりました」
「……ふむ、そうか。アラッドの方が有利だとは思っていたけど、まさか圧勝とはね」
その可能性がゼロではないと思っていたフールの表情は揺らがなかったが、他二人はドラングが善戦できなかったことに十分驚いていた。
しかし、話はここで終わらない。
「フール様、アラッド様は一撃……たった一撃でドラング様を沈めました」
「ッ! ゴホッ、ゴホッ!!!!」
「だ、大丈夫ですか!」
「あ、あぁ。大丈夫だよ。驚いて紅茶が気管に入ってしまっただけだ」
アラッドが圧勝してしまう可能性は、もしかしたらあるかもしれない。
時々子供たちの訓練風景を見ることがあるので、実力的にはアラッドの方が上であろうという確信は持っていた。
だが、それでもたった一撃で勝負が終わるとは予想していなかった。
「その過程は本当なのかい?」
「えぇ、本当です。フール様への忠誠心に誓って」
「そうか……分かった、信じるよ。それで、いったいどのようにしてドラングを一撃で沈めたんだい?」
「いたってシンプルな方法です。身体強化のスキルを使用し、拳と脚に魔力を纏って強化を行って近づき、あばらに拳を叩きこんで終了です。私の見立てでは、その一撃であばらの骨が折れていたかと」
「魔力を部分的に纏えるのか……魔力操作に関しては頭一つ抜けているとは思っていたけど……質はどうだった」
「五歳児とは思えないほど纏うスピードが速く、形も歪ではなく綺麗な形でした」
体や武器に魔力を纏うという技術を身に付けるのすら、普通はまだ先の話。
加えて、魔力を部分的に纏うという技術を習得するのはまだまだ先になる筈なのだが……アラッドはそれを五歳で習得してしまった。
「なるほど……子供にしては随分と大人びた雰囲気を持つとは思っていたけど、成長スピードが尋常ではないね」
「今回は拳だけで終わらせてしまいましたが、アラッド様の練習内容を考えるに攻撃手段はまだまだあります……これは驕りなどではなく、この世の五歳児の中でアラッド様が一番お強いかと思われます」
他家に喧嘩を売るような内容だが、フールもグラストからの報告を聞いてその可能性は十分にあると思ってしまった。
(フールの賢さなら、おそらく糸がどういった武器になるのか既に把握しているよね……それを考えると、公爵家や王族の五歳児と戦っても勝ってしまう……よね?)
もしかしたらアラッドは過去の自分が上り詰めた騎士の地位に追いつく……もしくは追い抜いてしまうかもしれない。
そう考えると、自然と笑みが零れてしまった。
「確かアラッドには魔法の才もあったよね」
「えぇ、あまり詳しいことは確認出来ていませんが、おそらく剣術や体術に劣らぬ才を持っているかと」
魔力操作の腕が上がれば、いずれ己の魔力を属性に変えて纏うことができる。
それは貴族であれば自ずと習得できる技術。
そしてアラッドの場合……現時点で六つの魔法スキルを習得している。
「いつも人一倍頑張ってる成果が実を結んだ証拠だろうね……ふふ、現時点でそこまで強くなったなら、何かご褒美を上げた方がいいね」
474
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる