110 / 1,361
百十話 魔法使いが目指す形
しおりを挟む
「まぁ、こんなもんか」
昼過ぎ頃、襲い掛かってきた一対のオークと対峙し、アラッドは掠り傷すら負うことなく勝利を得た。
「本当にアラッド様の糸は凄いですね」
「だろ。オークみたいなパワータイプが本気になれば引き千切られるんだろうけど、数秒程度なら問題無く止められる」
「アラッド様の場合、その数秒があれば倒すのに十分っすよね」
糸を使えば簡単に戦いが終わってしまう。
しかし実戦も良い訓練になるので、糸を全く使わないというわけにはいかない。
「ただ、ちょっと物足りないって感じっすね」
「まぁ…………正直なところ、ちょっと物足りなかったな。オーガとか現れてくれたらなぁ~~って思うけど、それはそれで父さんや母さんが心配しそうだしな」
「アラッド様のレベルを考えると、そう思ってしまうのは仕方ありませんね」
魔法使いの女性が言う通り、アラッドのレベルが現在解体されているオークよりも上。
世の中、レベルだけで勝負が決まる訳ではないが、それでもレベルが上がるごとに身体能力は魔力の総量も上がる。
そしてアラッド本人が訓練を全く怠らない事もあり、Dランクのオークでは糸を使ってしまうと本当に十秒と経たず、戦いが終わってしまう。
「オーガっすか……確かに現れたらヤバいと思うっすけど、それでもアラッド様は本当に強いっすからね。それに自分たちだけじゃなくて、クロもいるっすから一体ぐらいは大丈夫じゃないっすか?」
「ワゥ!!!」
自分が頼りにされていると感じ取ったクロは機嫌よく吠えた。
「一体ぐらいな問題無い、か……そうかもしれないな。けど、オークの肉が手に入れば丼が食える。それを考えれば、やっぱりこいつは良い獲物だよな」
別の大陸から米を取り寄せているので、パーシブル家では日常的にどんぶりが食べられている。
パーシブル家に仕える兵士たちもアラッドが狩ったモンスターの肉を料理人たちに調理してもらい、十日に数回は食べている。
「どんぶり本当に美味しいですよね……ただ、食べ過ぎて太らないかが心配です」
今回の仮に付いてきた女性魔法使いはアラッドや兵士二人から見ても、良いスタイルを持っている。
確かに食べ過ぎは太る原因の一つだが、アラッドや兵士二人に関しては毎日動いているので、あまりその怖さが分からない。
「あれだな。部屋に籠って魔法の勉強をするのも良いが、日常的に体を動かした方が良いってことだな。そうっすよね、アラッド様」
「そうだな。勉強に熱中するのが悪いとは思わないが、体を動かすのも大切だ」
「う~~~~……そうですよね」
女性魔法使いは全く動けない訳ではないが、やはり体を動かすのが得意ではないので、苦手意識がある。
「集団戦では後ろから仲間を援護したり、攻撃魔法で敵を倒すのが主な役割だろうけど、決して動かなくて良い訳じゃないからな。俺としては、魔法使いが目指す場所はやっぱり移動砲台だと思うな」
魔法を使う際には集中力が必要になる。
魔法の才がある者でも、最初から縦横無尽に移動しながら魔法を放つことは出来ない。
(い、移動砲台ですか……やはりよっぽどの大天才でなければそうですよね。ただ、それを七歳で出来てしまうアラッド様はやはり他の天才たちと比べても頭が三つか四つは抜けていますよね)
女性魔法使いも動きながら魔法を放つことは出来るが、アラッドほど全力で動き回りながら魔法を正確に当てることは出来ない。
アラッドは魔法専門の者と比べれば才は劣るが、戦う才能であれば負けてない。
「ランニングは毎日行った方が良いと思うぞ。慣れたら魔力操作を行いながらランニングだな」
「うっ、中々厳しそうですね」
そう言いながらも、女性魔法使いは返ったらパーシブル家に仕える同僚たちにアラッドからの言葉を伝え、苦手な運動も頑張ろうと決めた。
「ッ!! アラッド様」
「あぁ、またお客さんが来たみたいだな」
オーク戦から十数分後……いつもより短いスパンで来客が訪れた。
昼過ぎ頃、襲い掛かってきた一対のオークと対峙し、アラッドは掠り傷すら負うことなく勝利を得た。
「本当にアラッド様の糸は凄いですね」
「だろ。オークみたいなパワータイプが本気になれば引き千切られるんだろうけど、数秒程度なら問題無く止められる」
「アラッド様の場合、その数秒があれば倒すのに十分っすよね」
糸を使えば簡単に戦いが終わってしまう。
しかし実戦も良い訓練になるので、糸を全く使わないというわけにはいかない。
「ただ、ちょっと物足りないって感じっすね」
「まぁ…………正直なところ、ちょっと物足りなかったな。オーガとか現れてくれたらなぁ~~って思うけど、それはそれで父さんや母さんが心配しそうだしな」
「アラッド様のレベルを考えると、そう思ってしまうのは仕方ありませんね」
魔法使いの女性が言う通り、アラッドのレベルが現在解体されているオークよりも上。
世の中、レベルだけで勝負が決まる訳ではないが、それでもレベルが上がるごとに身体能力は魔力の総量も上がる。
そしてアラッド本人が訓練を全く怠らない事もあり、Dランクのオークでは糸を使ってしまうと本当に十秒と経たず、戦いが終わってしまう。
「オーガっすか……確かに現れたらヤバいと思うっすけど、それでもアラッド様は本当に強いっすからね。それに自分たちだけじゃなくて、クロもいるっすから一体ぐらいは大丈夫じゃないっすか?」
「ワゥ!!!」
自分が頼りにされていると感じ取ったクロは機嫌よく吠えた。
「一体ぐらいな問題無い、か……そうかもしれないな。けど、オークの肉が手に入れば丼が食える。それを考えれば、やっぱりこいつは良い獲物だよな」
別の大陸から米を取り寄せているので、パーシブル家では日常的にどんぶりが食べられている。
パーシブル家に仕える兵士たちもアラッドが狩ったモンスターの肉を料理人たちに調理してもらい、十日に数回は食べている。
「どんぶり本当に美味しいですよね……ただ、食べ過ぎて太らないかが心配です」
今回の仮に付いてきた女性魔法使いはアラッドや兵士二人から見ても、良いスタイルを持っている。
確かに食べ過ぎは太る原因の一つだが、アラッドや兵士二人に関しては毎日動いているので、あまりその怖さが分からない。
「あれだな。部屋に籠って魔法の勉強をするのも良いが、日常的に体を動かした方が良いってことだな。そうっすよね、アラッド様」
「そうだな。勉強に熱中するのが悪いとは思わないが、体を動かすのも大切だ」
「う~~~~……そうですよね」
女性魔法使いは全く動けない訳ではないが、やはり体を動かすのが得意ではないので、苦手意識がある。
「集団戦では後ろから仲間を援護したり、攻撃魔法で敵を倒すのが主な役割だろうけど、決して動かなくて良い訳じゃないからな。俺としては、魔法使いが目指す場所はやっぱり移動砲台だと思うな」
魔法を使う際には集中力が必要になる。
魔法の才がある者でも、最初から縦横無尽に移動しながら魔法を放つことは出来ない。
(い、移動砲台ですか……やはりよっぽどの大天才でなければそうですよね。ただ、それを七歳で出来てしまうアラッド様はやはり他の天才たちと比べても頭が三つか四つは抜けていますよね)
女性魔法使いも動きながら魔法を放つことは出来るが、アラッドほど全力で動き回りながら魔法を正確に当てることは出来ない。
アラッドは魔法専門の者と比べれば才は劣るが、戦う才能であれば負けてない。
「ランニングは毎日行った方が良いと思うぞ。慣れたら魔力操作を行いながらランニングだな」
「うっ、中々厳しそうですね」
そう言いながらも、女性魔法使いは返ったらパーシブル家に仕える同僚たちにアラッドからの言葉を伝え、苦手な運動も頑張ろうと決めた。
「ッ!! アラッド様」
「あぁ、またお客さんが来たみたいだな」
オーク戦から十数分後……いつもより短いスパンで来客が訪れた。
360
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る
丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。
目覚めた先は、近江・長浜城。
自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。
史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。
そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。
「この未来だけは、変える」
冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。
これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。
「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。
※小説家になろうにも投稿しています。
私は……何も知らなかった……それだけなのに……
#Daki-Makura
ファンタジー
第2王子が獣人の婚約者へ婚約破棄を叩きつけた。
しかし、彼女の婚約者は、4歳年下の弟だった。
そう。第2王子は……何も知らなかった……知ろうとしなかっただけだった……
※ゆるい設定です。ゆるく読んでください。
※AI校正を使わせてもらっています。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる