179 / 1,361
百七十九話 見て盗め
しおりを挟む
三体のヒポグリフに襲われ、無事に討伐した日の翌日……アラッドたちは前日と同じく朝から街の外に出てモンスターを狩りまくっていた。
(ファイターにナイト、アーチャーにタンクか……随分と揃ってる集団だな)
そして昼手前頃、コボルトの上位種軍団と遭遇し、アラッドが応戦。
アラッドが一人で戦うと言った時は、止めこそしなかったが少し心配に思っていたレイ嬢。
だが、いざアラッドが戦っている様子を見ると……そん不安はあっさりと吹き飛んだ。
(昨日の戦いでは分かってはいたが……多数との戦いにも随分と慣れているな)
一対多数の戦いなど、まだ子供に教える内容ではない。
実際にアラッドもそういった戦い方は教わっていなかった。
だが、実戦では簡単に複数の敵と遭遇するので、アラッドはその戦いの中で自然と多数の敵と戦う上で重要なことを学んでいった。
「……随分と、多数の敵と戦うことに慣れている様だな」
「バイアード様も先日、実際に観たようにアラッド様に糸という特殊なスキルがあります」
「その糸を使い、危ない攻撃を防ぐ……もしくは躱しながら実戦の中で確実に慣れていったということか……はっはっは!!! 本当に常識外れだ」
話だけを聞けば、確かに便利なスキルに思える。
しかし、糸で相手の攻撃を防ぐにしても、目では見えない攻撃に関しては感覚で防ぐしかない。
それが分かっているからこそ、バイアードは本当に常識外れだと口にした。
(それに……今のアラッド君の戦い方は、まるでレイに多数の敵との戦い方を教えているかのようだ……いや、実際に正しい戦い方を見せてくれているのだろう。レイと同じ得物のロングソードを使い、瞬殺できる敵を直ぐに殺さない)
バイアードが考えている通り、アラッドは丁度良いモンスターと遭遇したので、レイ嬢に複数の敵との戦い方を教えようと思った。
とはいえ、実際こういった場面ではこういった動きをした方が良いなど、いちいち口には出さない。
ただただ四体のコボルト上位種の攻撃を上手く防ぎ、躱す。
そして丁度良いタイミングを狙って、ガラ空きの部分に斬撃を叩きこむ。
レイ嬢の現段階での身体能力を考えれば、さすがに戦い方を学んだところで、実際にDランクである複数のコボルト上位種に勝つことは不可能。
だが、それでもレイ嬢はアラッドの動きを少しも見流さない様に、盗めるところは盗もうと真剣に戦闘光景を見ていた。
(何分戦った? 体感では三分から四分ぐらい戦ったと思うから……うん、もう終わらせても良いか)
コボルト上位種はまだまだ動けるほどスタミナはあるが、前衛二体はアラッドの斬撃や蹴りを受けて負傷しており、ベストな状態ではない。
そんな状態ではアラッドの斬撃を防ぐことは出来ず、あっさり首を斬られてブラックアウト。
アーチャーを守るために拾った大盾を使ってガッチリ守ろうとするタンク。
だが、防御だけに集中しているという隙を狙い、アラッドはスレッドサークルを使用。
大盾を持っているコボルトタンクの腕を切断。
「……ッ!!!」
あまりにも綺麗に切られ、自身の腕が斬られたことに気付くのに遅れた。
そしてその数瞬でアラッドはアーチャーの矢を躱して近づき、今度は首をロングソードで切断。
最後に残ったのは後衛のアーチャーのみ。
しかし最後の一人になったところで逃げようとはせず、弓を構える。
最後の最後に一射だけ出来る距離があったが……その距離をロングソードをぶん投げて潰した。
「グギャッ!!??」
最後の一射を放とうと集中していたアーチャーはそれを躱せず、モロに投擲を顔面に食らってしまった。
放たれたロングソードは当然、アーチャーの顔を貫き、絶命させた。
「うむ、見事だ」
剣は敵を斬り裂く為だけの武器ではない最後の最後に実践してみせたアラッドに、バイアードは心の底から賞賛を送った。
(ファイターにナイト、アーチャーにタンクか……随分と揃ってる集団だな)
そして昼手前頃、コボルトの上位種軍団と遭遇し、アラッドが応戦。
アラッドが一人で戦うと言った時は、止めこそしなかったが少し心配に思っていたレイ嬢。
だが、いざアラッドが戦っている様子を見ると……そん不安はあっさりと吹き飛んだ。
(昨日の戦いでは分かってはいたが……多数との戦いにも随分と慣れているな)
一対多数の戦いなど、まだ子供に教える内容ではない。
実際にアラッドもそういった戦い方は教わっていなかった。
だが、実戦では簡単に複数の敵と遭遇するので、アラッドはその戦いの中で自然と多数の敵と戦う上で重要なことを学んでいった。
「……随分と、多数の敵と戦うことに慣れている様だな」
「バイアード様も先日、実際に観たようにアラッド様に糸という特殊なスキルがあります」
「その糸を使い、危ない攻撃を防ぐ……もしくは躱しながら実戦の中で確実に慣れていったということか……はっはっは!!! 本当に常識外れだ」
話だけを聞けば、確かに便利なスキルに思える。
しかし、糸で相手の攻撃を防ぐにしても、目では見えない攻撃に関しては感覚で防ぐしかない。
それが分かっているからこそ、バイアードは本当に常識外れだと口にした。
(それに……今のアラッド君の戦い方は、まるでレイに多数の敵との戦い方を教えているかのようだ……いや、実際に正しい戦い方を見せてくれているのだろう。レイと同じ得物のロングソードを使い、瞬殺できる敵を直ぐに殺さない)
バイアードが考えている通り、アラッドは丁度良いモンスターと遭遇したので、レイ嬢に複数の敵との戦い方を教えようと思った。
とはいえ、実際こういった場面ではこういった動きをした方が良いなど、いちいち口には出さない。
ただただ四体のコボルト上位種の攻撃を上手く防ぎ、躱す。
そして丁度良いタイミングを狙って、ガラ空きの部分に斬撃を叩きこむ。
レイ嬢の現段階での身体能力を考えれば、さすがに戦い方を学んだところで、実際にDランクである複数のコボルト上位種に勝つことは不可能。
だが、それでもレイ嬢はアラッドの動きを少しも見流さない様に、盗めるところは盗もうと真剣に戦闘光景を見ていた。
(何分戦った? 体感では三分から四分ぐらい戦ったと思うから……うん、もう終わらせても良いか)
コボルト上位種はまだまだ動けるほどスタミナはあるが、前衛二体はアラッドの斬撃や蹴りを受けて負傷しており、ベストな状態ではない。
そんな状態ではアラッドの斬撃を防ぐことは出来ず、あっさり首を斬られてブラックアウト。
アーチャーを守るために拾った大盾を使ってガッチリ守ろうとするタンク。
だが、防御だけに集中しているという隙を狙い、アラッドはスレッドサークルを使用。
大盾を持っているコボルトタンクの腕を切断。
「……ッ!!!」
あまりにも綺麗に切られ、自身の腕が斬られたことに気付くのに遅れた。
そしてその数瞬でアラッドはアーチャーの矢を躱して近づき、今度は首をロングソードで切断。
最後に残ったのは後衛のアーチャーのみ。
しかし最後の一人になったところで逃げようとはせず、弓を構える。
最後の最後に一射だけ出来る距離があったが……その距離をロングソードをぶん投げて潰した。
「グギャッ!!??」
最後の一射を放とうと集中していたアーチャーはそれを躱せず、モロに投擲を顔面に食らってしまった。
放たれたロングソードは当然、アーチャーの顔を貫き、絶命させた。
「うむ、見事だ」
剣は敵を斬り裂く為だけの武器ではない最後の最後に実践してみせたアラッドに、バイアードは心の底から賞賛を送った。
363
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる