198 / 1,361
百九十八話 気付かないアラッド
しおりを挟む
「あの……俺たち「まぁまぁ、これは年寄りからの気持ちさ。代金は要らないよ」そ、そうなんですか……」
そう言われても、はいそうですかと受け取る気にはならない。
(な、何故急にタダで? 別に……普通に喋ってただけなんだけどな)
特におばあさんの為になる話をした訳でもなく、特別な技術を見せた訳でもない。
そんな自分たちにタダでマジックアイテムをくれる……少し怪しいと思ってしまっても仕方ないだろう。
(てか、視なくても普通のマジックアイテムではないのは間違いないし……今の俺では造れないクラスのものだ)
そう思うと、やはり素直に受け取れない。
「こっちは韋駄天の指輪……少年が使うと良い。こっちの剛腕の指輪はお嬢さんが使うべきだね」
(……ハッキリと見抜いてる、のか? 鑑定を使われた感覚はないんだけどな)
鑑定を使われると、違和感を感じる。
鑑定されたことに気付かない者もいるが……感覚が鋭い者は、視られたことに気付きやすい。
以前鑑定のスキルを持つモンスターに視られ、その感覚は覚えているアラッドだが……おばあさんと話している間に、使われたと感じなかった。
「安心しなさい。二人に鑑定を使って視たりしてないよ」
アラッドの心を見透かすように、鑑定を使って視てないと伝えた。
「まぁ……あれさね。長年の経験ってところね」
「そ、そうでしたか。疑ってすいませんでした」
おばあさんが鑑定系のスキルを使っていないというのは事実であり、長年培ってきた経験により、二人の肉体的な長所を見極めた。
レイ嬢は言わずもがな、超人体質によって身体能力が全体的に高いが……とりわけ、腕力が他の追随を許さない強さを持つ。
それに対し、アラッドもほぼ毎日モンスターと戦っているお陰でレベルが同年代の子供より上であり……体質的に身体能力の上り幅が大きい。
ただ、そんな身体能力の中でも……スピード、脚力が他よりも勝っている。
(や、やっぱり高品質だな)
指輪は二つともランク四。
付与効果は韋駄天の方は脚力強化で、剛腕は腕力強化。
加えて、サイズ調整の効果が付与されているので、今はサイズが合わない状態だが……指に通せばきつくなく、ゆるっと抜けてしまわない丁度良いサイズに変化する。
「……それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
「いずれ、この指輪に恥じない戦績を得ます」
ランク四のマジックアイテムともなれば、まず冒険者の中でもルーキーが得られる代物ではない。
ベテランの冒険者であっても、簡単に入手できるものではない。
二人は侯爵家の人間ではあるが……二つの指輪を決してつまらない物だとは思わない。
(これは……デザインが似ている。も、もしや。ぺ、ペアルック……という物なのか?)
確かに韋駄天の指輪と剛腕の指輪はデザインが非常に似ており、目立った違う部分は緑と赤の色のみ。
勿論、デザインが似ているの制作者であるおばあさんの考えであり……そういった証としても捉えられる指輪。
レイ嬢が若干頬を赤くし、嬉しそうな表情をしているのをおばあさんは見逃さず、その表情を見て自分まで嬉しくなった。
(母さんから貰った指輪と合わされば、更に脚が速くなりそうだな)
ただ……デザインがほぼ同じというペアルック商品だと、アラッドは分かっておらず……精巧な作りである指輪のデザインに見惚れていた。
そして二人は再度おばあさんに礼を言い、店から出ていった。
「……どちらかと言えば、あっちの女の子の片思い……ってところかね」
レイ嬢が僅かながらも、アラッドに対して恋愛的な意味で好意を抱いているというのは、これまた長年の経験からあっさりと見抜いていた。
(にしても……あの子があっちの将来有望な男の子を手に入れるには、かなり大変だろうね)
見ればペアルックデザインの指輪だと分かるのだが、アラッドは全く気付かずデザインの良さに惹かれていた。
制作者であるおばあさんとしては嬉しい反応だが、アラッドを想うレイ嬢の気持ちを考えれば、少し複雑な気持ちだった。
そう言われても、はいそうですかと受け取る気にはならない。
(な、何故急にタダで? 別に……普通に喋ってただけなんだけどな)
特におばあさんの為になる話をした訳でもなく、特別な技術を見せた訳でもない。
そんな自分たちにタダでマジックアイテムをくれる……少し怪しいと思ってしまっても仕方ないだろう。
(てか、視なくても普通のマジックアイテムではないのは間違いないし……今の俺では造れないクラスのものだ)
そう思うと、やはり素直に受け取れない。
「こっちは韋駄天の指輪……少年が使うと良い。こっちの剛腕の指輪はお嬢さんが使うべきだね」
(……ハッキリと見抜いてる、のか? 鑑定を使われた感覚はないんだけどな)
鑑定を使われると、違和感を感じる。
鑑定されたことに気付かない者もいるが……感覚が鋭い者は、視られたことに気付きやすい。
以前鑑定のスキルを持つモンスターに視られ、その感覚は覚えているアラッドだが……おばあさんと話している間に、使われたと感じなかった。
「安心しなさい。二人に鑑定を使って視たりしてないよ」
アラッドの心を見透かすように、鑑定を使って視てないと伝えた。
「まぁ……あれさね。長年の経験ってところね」
「そ、そうでしたか。疑ってすいませんでした」
おばあさんが鑑定系のスキルを使っていないというのは事実であり、長年培ってきた経験により、二人の肉体的な長所を見極めた。
レイ嬢は言わずもがな、超人体質によって身体能力が全体的に高いが……とりわけ、腕力が他の追随を許さない強さを持つ。
それに対し、アラッドもほぼ毎日モンスターと戦っているお陰でレベルが同年代の子供より上であり……体質的に身体能力の上り幅が大きい。
ただ、そんな身体能力の中でも……スピード、脚力が他よりも勝っている。
(や、やっぱり高品質だな)
指輪は二つともランク四。
付与効果は韋駄天の方は脚力強化で、剛腕は腕力強化。
加えて、サイズ調整の効果が付与されているので、今はサイズが合わない状態だが……指に通せばきつくなく、ゆるっと抜けてしまわない丁度良いサイズに変化する。
「……それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
「いずれ、この指輪に恥じない戦績を得ます」
ランク四のマジックアイテムともなれば、まず冒険者の中でもルーキーが得られる代物ではない。
ベテランの冒険者であっても、簡単に入手できるものではない。
二人は侯爵家の人間ではあるが……二つの指輪を決してつまらない物だとは思わない。
(これは……デザインが似ている。も、もしや。ぺ、ペアルック……という物なのか?)
確かに韋駄天の指輪と剛腕の指輪はデザインが非常に似ており、目立った違う部分は緑と赤の色のみ。
勿論、デザインが似ているの制作者であるおばあさんの考えであり……そういった証としても捉えられる指輪。
レイ嬢が若干頬を赤くし、嬉しそうな表情をしているのをおばあさんは見逃さず、その表情を見て自分まで嬉しくなった。
(母さんから貰った指輪と合わされば、更に脚が速くなりそうだな)
ただ……デザインがほぼ同じというペアルック商品だと、アラッドは分かっておらず……精巧な作りである指輪のデザインに見惚れていた。
そして二人は再度おばあさんに礼を言い、店から出ていった。
「……どちらかと言えば、あっちの女の子の片思い……ってところかね」
レイ嬢が僅かながらも、アラッドに対して恋愛的な意味で好意を抱いているというのは、これまた長年の経験からあっさりと見抜いていた。
(にしても……あの子があっちの将来有望な男の子を手に入れるには、かなり大変だろうね)
見ればペアルックデザインの指輪だと分かるのだが、アラッドは全く気付かずデザインの良さに惹かれていた。
制作者であるおばあさんとしては嬉しい反応だが、アラッドを想うレイ嬢の気持ちを考えれば、少し複雑な気持ちだった。
364
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
私は……何も知らなかった……それだけなのに……
#Daki-Makura
ファンタジー
第2王子が獣人の婚約者へ婚約破棄を叩きつけた。
しかし、彼女の婚約者は、4歳年下の弟だった。
そう。第2王子は……何も知らなかった……知ろうとしなかっただけだった……
※ゆるい設定です。ゆるく読んでください。
※AI校正を使わせてもらっています。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る
丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。
目覚めた先は、近江・長浜城。
自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。
史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。
そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。
「この未来だけは、変える」
冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。
これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。
「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。
※小説家になろうにも投稿しています。
世界最弱と呼ばれた少年、気づけば伝説級勇者でした ~追放されたので気ままに旅してたら、全種族の姫たちに囲まれていました~
fuwamofu
ファンタジー
魔力量ゼロの落ちこぼれとして勇者パーティを追放された少年リアン。
絶望の果てに始めた自由な旅の中で、偶然助けた少女たちが次々と彼に惹かれていく。
だが誰も知らない。彼こそが古代勇者の血を継ぎ、世界を滅ぼす運命の「真なる勇者」だということを──。
無自覚最強の少年が、世界を変える奇跡を紡ぐ異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる