スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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二百三十四話 今の方が楽しいはず

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「アラッド様」

「なんだ?」

「アラッド様は……その、学園に行かなくてもよろしかったのですか?」

モンスターとの狩りが終わり、夕食を食べ終えたアラッド自室……ではなく、工場で錬金術の作業を行っていた。

「学園って、ガルシアも俺に騎士になって欲しいのか? それとも騎士の適性があると思ってるのか? どう考えても、俺の本当の戦闘スタイルを考えれば、ブーイングを食らうぞ」

「いえ、そういうわけではありません。ただ、王都には未来の冒険者を育成する学園をある様ですし、アラッド様の未来を考えれば、どういった学園に進むのもありなのではと思いまして」

「……まぁ、選択肢としてはなしとは思わないけど、別に学園に通う必要はないかな~って思ってる」

勿論、アラッドは友人であるバークたちにはそういった学園に通ったらどうだと勧めた。

だが……その必要はない。
このまま自己鍛錬、アラッドたちとの模擬戦や小さな実戦を積み重ねてから、そのまま冒険者になる……と、返答された。

(あの四人なら特待生枠を勝ち取って、学費とか気にせずに通えると思うんだけど……それでも実戦相手には俺やガルシアにエリナ、他の先生達もいる。少し前からちょくちょくモンスターを相手に実戦をこなしてるし……俺が母さんから聞いてる話を教えてるってのも考えれば、確かに学園に通う必要はないか)

バークたちもこのまま鍛錬と実戦を交互に重ねていけば、冒険者として良いスタートを切れるのは間違いない。

であれば、四人よりも強いアラッドが学園に通う必要は何処にある?

少し前から一泊であれば、屋敷の外で泊ることを許可されており、野営の経験も積み始めている。

「つかさ、折角ドラングは今年の春から学園に通い始めたんだぜ。そんな俺が同じ学園に……いや、他の学園だったとしても、同じ街に居るってだけであいつとしては嫌だろ」

「そ、それは……ど、どうでしょうか?」

ガルシアはアラッドの言葉に上手く答えられなかった。

今年の春から遂に、ドラングは騎士になるために王都の学園に入学した。
中等部からの入学だが、余裕で試験をクリア。
同年代の中ではトップクラスの実力を持ち、上の学年の生徒に模擬戦で勝つことも珍しくない。

一時、ロンバーがアラッドに絡んで結果的にパンツ一丁にさせられた件で、ドラングには少々疑いの目などが向けられることがあった。
しかし同年代の子供たちの中には、ドラングの気持ちが解る者もおり……孤立することはなかった。

そして何よりも、ドラングは同世代の中では圧倒的に強い。
加えて、十二にもなればあの件は結果的にダル絡みしてしまったロンバーが悪いと解る。

「いや、多分そうなる筈だ。ドラングにとってこの家にいるのが窮屈過ぎた、嫌過ぎたってことはないと思うけど……多分、今の生活の方が楽しんでるだろ」

アラッドの考えは見事に的中しており、ドラングがその気持ちを家族の前でいう事はないが、今の生活が非常に楽しいと感じているのは事実だった。

「これからのことを考えると、ドラングと再会するかもしれないのは、あいつが長期休みの時に実家に帰ってきた時……それぐだいだな。ドラングが学校を卒業して騎士になって、俺が冒険者になれば、もう本当に会うことは殆どなくなるだろ」

「そうかもしれませんね……ところで、アラッド様は冒険者として、まずは何処に向かうのですか?」

まだ三年ある……しかし、されど三年。
意外とあっという間に感じる時間ではあるので、今からそういった道のりを考え始めても早過ぎはしない。

「……全く考えてないな。当然、ここからは出ていくけど……ある程度強いモンスターがいる場所じゃないとなとな」

アラッドが考えるある程度強いモンスターがいる場所というのは、Dランクのモンスターが多く存在し、Cランクのモンスターがチラホラといる。
加えて、偶にBランクのモンスターと遭遇してしまう様な場所の事。

「まっ、気長に考えるよ……うし、出来た」

嬉しそうにするアラッドの目の前には、金属製のケンタウロスの下半身があった。 
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