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三百七十八話 本人が忘れていた
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(……どこに、連れていかれるんだ?)
マジットの後に付いて行くアラッドは、自分が何処に連れていかれるのか……少し心配になってきていた。
初めて会った人物だが、ぱっと見悪人には見えない。
ただ、二人で話すのであれば、ギルドの一室でも問題はない。
なのに冒険者ギルドの外を出て、何処かに向かっている。
(まぁ、何が起こっても対処すれば良いだけの話か)
歓迎されてない、とは思わない。
しかし、どんな事態が自身の身に降りかかってきたとしても、対応出来る自信がある。
たとえ……目の前の受付嬢が相手になったとしても。
「すまない、個室を借りたいのだが」
「少々お待ちください」
マジットの後に付いてきた場所は、大通りから少し外れた場所にあるカフェ。
慣れた様子で入り、店員に個室が空いてるか否かを確認。
店員は直ぐに戻り、マジットに個室が空いていることを伝える。
「こちらでございます」
丁寧な対応で案内され、防音や室温が完備された個室へと通された。
「アラッド君、好きなメニューを頼んでくれ。勿論金は私が払う」
「えっ……あぁ、分かった」
奢ってもらえるのであれば、金を持っていても奢ってもらう精神のアラッド。
ひとまず言われた通り、朝食後ではあるが……それでも腹に入りそうなメニューを注文。
そしてメニューが届くまでの間に、アラッドは疑問に思っていたことを尋ねた。
「なぁ、なんでわざわざこんな場所に来たんだ?」
アラッドからの問いを受け、マジットはキョトンとした表情を浮かべた。
彼女がそんな表情を浮かべる、それを見れるのは非常に激レアなのだが……マジリストンに来たばかりのアラッドは、そんな事一切知らない。
「君は現在冒険者ではあるが、同時に侯爵家の三男だ。会話をするにしても、こういった場所で話し合うのがベストだと思ってね」
「あっ、なるほど……そういう考えか」
マジットの対応は決して間違ってはいない。
寧ろ、血筋が気高い貴族と話し合うには、ベストな場所と言える。
とはいえ、本人がそういった自身の血や立場について忘れていたため、少々堅苦しい対応に面食らっていた。
「ふふ、やはり君は良いな。剣士であり、戦士であり……気高さを持つ冒険者でもある」
「お、おぉう。褒められるのは嬉しいんだが、随分と初対面なのに高評価だな」
突然の称賛に驚き、照れるアラッド。
しかし、マジットはアラッドに対して心の底から敬意を持っているからこそ、こういった場所へ話し合いの為に案内した。
相手が貴族の令息や令嬢であっても、全員に対して今回の様な対応を取る訳ではない。
「そうだな。ただ、私は一方的に気をの事を知っているんだ」
「俺の事を一方的に、ですか」
「あぁ、そうだ。アラッド君の戦いぶりは、あの戦いで存分に観させてもらった」
マジットは休暇を利用し、アラッドたちが参加する大会を観に、王都に訪れていた。
光る原石たちは多かった。
彼ら彼女たちが冒険者になることはない。
それで目の前で戦う学生たちが、国を守る一端となる。
そう思うと、アスタル王国の未来は明るいと感じずにはいられなかった。
しかし……そんな宝玉の原石たちの中でも、圧倒的な強さと存在感を放つ特大の宝玉がいた。
マジットの脳内にそんなイメージを与えた存在こそ、当時一応パロスト学園に通う生徒だったアラッド。
「どの試合でも、君の強さ……存在感は群を抜いていた。その中でも、あの決勝戦……眼を閉じれば、今でもでも鮮明に思い浮かぶ。それほどまでに、観ていた私たちに強烈な衝撃、感動を与えた一戦だった」
「……」
敬語は止めてくれと言われ、現在褒めちぎるという表現を超える言葉を受け取っている……と本人は感じ取っており、嬉しさと照れがマックスまで高まっていた。
故に、どう返して良いのか分からず、完全に固まってしまった。
マジットの後に付いて行くアラッドは、自分が何処に連れていかれるのか……少し心配になってきていた。
初めて会った人物だが、ぱっと見悪人には見えない。
ただ、二人で話すのであれば、ギルドの一室でも問題はない。
なのに冒険者ギルドの外を出て、何処かに向かっている。
(まぁ、何が起こっても対処すれば良いだけの話か)
歓迎されてない、とは思わない。
しかし、どんな事態が自身の身に降りかかってきたとしても、対応出来る自信がある。
たとえ……目の前の受付嬢が相手になったとしても。
「すまない、個室を借りたいのだが」
「少々お待ちください」
マジットの後に付いてきた場所は、大通りから少し外れた場所にあるカフェ。
慣れた様子で入り、店員に個室が空いてるか否かを確認。
店員は直ぐに戻り、マジットに個室が空いていることを伝える。
「こちらでございます」
丁寧な対応で案内され、防音や室温が完備された個室へと通された。
「アラッド君、好きなメニューを頼んでくれ。勿論金は私が払う」
「えっ……あぁ、分かった」
奢ってもらえるのであれば、金を持っていても奢ってもらう精神のアラッド。
ひとまず言われた通り、朝食後ではあるが……それでも腹に入りそうなメニューを注文。
そしてメニューが届くまでの間に、アラッドは疑問に思っていたことを尋ねた。
「なぁ、なんでわざわざこんな場所に来たんだ?」
アラッドからの問いを受け、マジットはキョトンとした表情を浮かべた。
彼女がそんな表情を浮かべる、それを見れるのは非常に激レアなのだが……マジリストンに来たばかりのアラッドは、そんな事一切知らない。
「君は現在冒険者ではあるが、同時に侯爵家の三男だ。会話をするにしても、こういった場所で話し合うのがベストだと思ってね」
「あっ、なるほど……そういう考えか」
マジットの対応は決して間違ってはいない。
寧ろ、血筋が気高い貴族と話し合うには、ベストな場所と言える。
とはいえ、本人がそういった自身の血や立場について忘れていたため、少々堅苦しい対応に面食らっていた。
「ふふ、やはり君は良いな。剣士であり、戦士であり……気高さを持つ冒険者でもある」
「お、おぉう。褒められるのは嬉しいんだが、随分と初対面なのに高評価だな」
突然の称賛に驚き、照れるアラッド。
しかし、マジットはアラッドに対して心の底から敬意を持っているからこそ、こういった場所へ話し合いの為に案内した。
相手が貴族の令息や令嬢であっても、全員に対して今回の様な対応を取る訳ではない。
「そうだな。ただ、私は一方的に気をの事を知っているんだ」
「俺の事を一方的に、ですか」
「あぁ、そうだ。アラッド君の戦いぶりは、あの戦いで存分に観させてもらった」
マジットは休暇を利用し、アラッドたちが参加する大会を観に、王都に訪れていた。
光る原石たちは多かった。
彼ら彼女たちが冒険者になることはない。
それで目の前で戦う学生たちが、国を守る一端となる。
そう思うと、アスタル王国の未来は明るいと感じずにはいられなかった。
しかし……そんな宝玉の原石たちの中でも、圧倒的な強さと存在感を放つ特大の宝玉がいた。
マジットの脳内にそんなイメージを与えた存在こそ、当時一応パロスト学園に通う生徒だったアラッド。
「どの試合でも、君の強さ……存在感は群を抜いていた。その中でも、あの決勝戦……眼を閉じれば、今でもでも鮮明に思い浮かぶ。それほどまでに、観ていた私たちに強烈な衝撃、感動を与えた一戦だった」
「……」
敬語は止めてくれと言われ、現在褒めちぎるという表現を超える言葉を受け取っている……と本人は感じ取っており、嬉しさと照れがマックスまで高まっていた。
故に、どう返して良いのか分からず、完全に固まってしまった。
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