スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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三百八十六話 こいつはこいつで変わってる

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それなりに理不尽な流れではあるが、アラッドとアラッドのマジットに対する態度が気に喰わない者たちとの連続タイマン勝負が始まった。

「はっ!!!!!」

こうしてアラッドを囲う様な形で自分たちの意志を押し通そうとしているが、アラッドのマジットに来てからの活躍は耳にしている。

暴走状態のオーガファイターを一人で倒した……という話はにわかには信じられないが、その話を伝えてくれた者は自分たちと同じく、マジットに敬意と憧れを持つ人物。

故に、トプバッターの冒険者は殺意こそ出していないが、全力アラッドを潰すため、戦意全開でロングソードに風を纏わて斬りかかった。

(俺と同じ、風属性が得意なタイプか)

現在までの流れは理不尽と感じるものがあれど、全力の戦意をぶつけてくる同業者に……悪くない感覚を持っていた。

しかし、悪くないと思ったからといって、がっつり手加減するつもりはない。
アラッドも同じくロングソードを抜き、刃に風の魔力を纏わせて斬撃に対応。

(こいつ! 平然とした、表情で、なんて重い斬撃を放つんだ!!)

まだ互いに斬撃を斬り結んだ回数は三十も超えていない。
にも拘わらず、ロングソードを握る両手に痺れを感じる。

「なっ……クソ」

「俺の勝ちで良いよな」

属性魔力を使い、その他のスキルは使わずに戦闘が終了。
得物を弾き飛ばされ、剣先が喉元に突き付けられては、負けを認めるしかない。

「ほらよ」

男は約束通り金貨二枚をアラッドに投げ渡し、次の相手にバトンタッチ。

(…………クソがッ!!!!!)

バトンタッチして囲む輪に戻った男は、アラッドや同僚……友人たちが周囲に居なければ、全力で周辺の木々に拳を振るい、八つ当たりしていた。

(あの野郎……強化スキルを一つも使いやがらなかった!!!)

アラッドのマジットに対する態度に文句がある。
とはいえ、八つ裂きにして殺したいほど憎い存在まではいかない。

故に男は、最初からスキルは身体強化のみしか使わないと決めていた。

ただ……結果として、アラッドにスキル一つ使わせることなく負けた。
純粋な身体能力の差、剣技や読みといった部分で格上の存在なのだと突き付けられ……その事実に対する怒りを発散したくて仕方ない。

「よし。それじゃ、次の人は……誰だ?」

バトンタッチした二戦目の相手は刃に炎を纏う槍使いだったが、それなりに頭を使って戦った者の、開始一分後には敗北。

ロングソードの男ほど怒りが爆発しそうではないが、握る拳は血が出るほどの力が込められていた。

その後もマジット信者たちは順調に倒されていった。
連続タイマン勝負ということもあり、後に戦う者たちほど、アラッドの生の戦闘情報を得られる。

そこから徐々にここまでのスキル、技なら使用しても問題無いと判断しながら、同時に倒し潰す作戦を練る。

(ガルシアたちの方が当然強いんだけど、気迫というか意志の強さ? は中々だな。俺が騎士の爵位を手に入れることが気に入らなかった新卒騎士たちと比べれば、よっぽど骨がある)

アラッドの実力を生で見て味わった結果……誰一人として絶望していない。

次に戦う信者は非常に小さな勝利の糸を引き寄せるかのように考え、動き続ける。
負けたマジット信者たちも、自分たちとアラッドの元々の差などに嫉妬することはなく、次はどうすれば勝てるか、といった点について続くタイマン勝負を観ながら考えていた。

傍から見れば自分たちの思想を押し付ける厄介者だが、アラッドはアラッドで少々変わっているため、基本的には厄介者であれど……心が折れない、負けても前を見ている者たちはそこまで嫌いにはならない。

「最後はそっちの二人だな。どうせなら、二人同時に掛かって来い」

僅かながらに、悔しくも尊敬しなくもない強さを持つ相手……と認識し始めていたが、その言葉に二人の学生のプライドは大いに刺激された。
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