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四百四十四話 それらしい動きで
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「ギーラス兄さんっ!!」
ラダスに戻ってきたアラッドは、速攻で兄の元に訪れ、手に入れた情報を伝えた。
「……なるほど。それは俺がどうにかしないといけないね」
先日とはまた別の村を襲った風竜は、自らの行動理由と己の名をわざと殺さなかった村人たちに教えた。
風竜の名は……ストール。
かつてフールが殆ど一人で倒し、ドラゴンスレイヤーの称号を手に入れる切っ掛けとなった、暴風竜ボレアスの息子。
普通なら、嘘を付いている可能性を考えるところだが、これまでラダス周辺の村ばかり襲撃したのは、全てギーラスへの嫌がらせ。
本人はまだ己の力では父親を殺した人物を倒せないと理解しており、情報収集を行った結果、ラダスにフールの息子であるギーラスがいることを知り、まずは息子を殺そうと思い、行動を始めた。
「ギーラス兄さん……」
「アラッド、解ってるよ。正直、そのストールとは自分が戦ってみたいと思ってるでしょ」
「えっ!? いや、まぁ……そうですね。ほんの少しは」
今回はギーラスが討伐すべきだろうと、心の底から思っていたが……ギーラスの言う通り、ほんの少しだけそういった気持ちがゼロではなかった。
とはいえ、精々その気持ちは一割程度。
全面的にギーラスや騎士団の意思を尊重するつもりだった。
「だよね。でも、ごめんね……今回は、譲れないよ」
「ッ!! うっす。解ってます」
総合的な実力はアラッドが勝っている。
しかし……そんなアラッドが、無意識に放たれたギーラスの圧に震えを感じた。
(うん、これはどう考えても俺が手を出す幕じゃない。てか、仮に手を出したら一生ギーラス兄さんに恨まれそうだ)
とはいえ、ギーラスと暴風竜ボレアスの息子、ストールとの戦いは是が非でも観たい。
弟として……その一戦は是非とも見逃せなかった。
(ど、どうせなら父さんにも教えるか? どう考えても観たい一戦だよな。でも、父さんが近づけばストールが逃げそうだし……それなりに離れたところで、マジックアイテムの望遠鏡……もしくは双眼鏡でも渡して観てもらうか?)
この時、アラッドはフールが領主という非常に忙しい立場である事を忘れていた。
「アラッド、夕食まで何か用事はあるかい?」
「えっ、いや。特にないですよ」
「そうか。それじゃあ調整に付き合ってくれないか」
「ッ……分かりました。任せてください」
調整とは……つまり、ストールとの戦闘に備え、少しでも感覚を研ぎ澄ませること。
「おいおい、なんだあれ?」
「兄弟喧嘩? なのか」
「いや、別に喧嘩って雰囲気じゃなかったぞ」
「でもよ、喧嘩じゃなかったらあんな激しく刃引きされてない剣で斬り合うか?」
「あぁ~~、確かに。でも、ギーラスの奴あの弟君とは一回も喧嘩したことないって言ってたぞ」
「そういえばそうだったような…………じゃあ、あの戦闘内容はなんなんだって話になるよな」
二人が訓練場に入り、刃引きされてない武器で模擬戦を開始。
アラッドは少しでも攻撃方法を似せようと考え、武器は双剣を使用。
セオリーに囚われない動きで訓練場を駆け回り、変則的な動きで双剣を叩きこむ。
(っ!? 今のは決まったと思ったのに、あっさりと反応してきたな。っとに、抑えられるか心配だ!!!!)
今のところ、アラッドは自信がフールの訓練相手だと強く自覚している。
フールが少しでもストールを倒すために確率を上げられるように、それらしい動きで攻めて躱してを続ける。
しかし……アラッドも根っこは好戦的な戦闘者。
苛立ちが溜まれば、狂化は使わずとも闘争心が爆発してもおかしくない。
「ッ、ガァアアアアアアアアアッ!!!!」
基本的に魔力による身体強化、スキルの使用は禁止という条件で模擬戦を行っている。
「はっ!? えっ……嘘だろ」
「いや、上手く風の魔力を使ってるだけで、本当にブレスを放ってる訳じゃないだろ」
「だ、だよな……けど、だとしてもそれっぽ過ぎないか?」
「それは俺も思った。放つ姿もこう……一瞬、ドラゴンっぽく見えた。錯覚だけどな」
線上に騎士がいないことを確認し、ブレスに見立てた風力をバーストさせた一撃を口から吐きだした。
(うわぁ~~、別に即席のブレス擬きだから良いんだけどさ……そんなあっさり斬り裂かれるのは、ちょっとショックだな)
ギーラスはブレス擬きを、その場から動くことなく一刀両断。
ストールのブレスがアラッドのブレス擬きと同等であることはあり得ないが、それでもその場から動かず一刀両断したという事実は変わらない。
そしてそれから約五分後、アラッドの闘争心が……負けず嫌いな気持ちが爆発する前に模擬戦は終了。
結果としてはドローではあるが、アラッドは今回の模擬戦……終始自分が圧されてるように感じた。
(がっつり斬りかかったら、体術も交えて蹴り飛ばされた訳じゃない。上手く受け流されて、着実に喉元に迫られた感じ、か? ……あのバカが努力してるのは認めてるけど、もっともっと追い込まないと、父さんを越える前にまずギーラス兄さんという大きな壁が越えられないぞ、ドラング)
絶対にストールに勝てると確信したわけではない。
だが、兄が風竜に圧倒されるイメージは全く浮かばなかった。
ラダスに戻ってきたアラッドは、速攻で兄の元に訪れ、手に入れた情報を伝えた。
「……なるほど。それは俺がどうにかしないといけないね」
先日とはまた別の村を襲った風竜は、自らの行動理由と己の名をわざと殺さなかった村人たちに教えた。
風竜の名は……ストール。
かつてフールが殆ど一人で倒し、ドラゴンスレイヤーの称号を手に入れる切っ掛けとなった、暴風竜ボレアスの息子。
普通なら、嘘を付いている可能性を考えるところだが、これまでラダス周辺の村ばかり襲撃したのは、全てギーラスへの嫌がらせ。
本人はまだ己の力では父親を殺した人物を倒せないと理解しており、情報収集を行った結果、ラダスにフールの息子であるギーラスがいることを知り、まずは息子を殺そうと思い、行動を始めた。
「ギーラス兄さん……」
「アラッド、解ってるよ。正直、そのストールとは自分が戦ってみたいと思ってるでしょ」
「えっ!? いや、まぁ……そうですね。ほんの少しは」
今回はギーラスが討伐すべきだろうと、心の底から思っていたが……ギーラスの言う通り、ほんの少しだけそういった気持ちがゼロではなかった。
とはいえ、精々その気持ちは一割程度。
全面的にギーラスや騎士団の意思を尊重するつもりだった。
「だよね。でも、ごめんね……今回は、譲れないよ」
「ッ!! うっす。解ってます」
総合的な実力はアラッドが勝っている。
しかし……そんなアラッドが、無意識に放たれたギーラスの圧に震えを感じた。
(うん、これはどう考えても俺が手を出す幕じゃない。てか、仮に手を出したら一生ギーラス兄さんに恨まれそうだ)
とはいえ、ギーラスと暴風竜ボレアスの息子、ストールとの戦いは是が非でも観たい。
弟として……その一戦は是非とも見逃せなかった。
(ど、どうせなら父さんにも教えるか? どう考えても観たい一戦だよな。でも、父さんが近づけばストールが逃げそうだし……それなりに離れたところで、マジックアイテムの望遠鏡……もしくは双眼鏡でも渡して観てもらうか?)
この時、アラッドはフールが領主という非常に忙しい立場である事を忘れていた。
「アラッド、夕食まで何か用事はあるかい?」
「えっ、いや。特にないですよ」
「そうか。それじゃあ調整に付き合ってくれないか」
「ッ……分かりました。任せてください」
調整とは……つまり、ストールとの戦闘に備え、少しでも感覚を研ぎ澄ませること。
「おいおい、なんだあれ?」
「兄弟喧嘩? なのか」
「いや、別に喧嘩って雰囲気じゃなかったぞ」
「でもよ、喧嘩じゃなかったらあんな激しく刃引きされてない剣で斬り合うか?」
「あぁ~~、確かに。でも、ギーラスの奴あの弟君とは一回も喧嘩したことないって言ってたぞ」
「そういえばそうだったような…………じゃあ、あの戦闘内容はなんなんだって話になるよな」
二人が訓練場に入り、刃引きされてない武器で模擬戦を開始。
アラッドは少しでも攻撃方法を似せようと考え、武器は双剣を使用。
セオリーに囚われない動きで訓練場を駆け回り、変則的な動きで双剣を叩きこむ。
(っ!? 今のは決まったと思ったのに、あっさりと反応してきたな。っとに、抑えられるか心配だ!!!!)
今のところ、アラッドは自信がフールの訓練相手だと強く自覚している。
フールが少しでもストールを倒すために確率を上げられるように、それらしい動きで攻めて躱してを続ける。
しかし……アラッドも根っこは好戦的な戦闘者。
苛立ちが溜まれば、狂化は使わずとも闘争心が爆発してもおかしくない。
「ッ、ガァアアアアアアアアアッ!!!!」
基本的に魔力による身体強化、スキルの使用は禁止という条件で模擬戦を行っている。
「はっ!? えっ……嘘だろ」
「いや、上手く風の魔力を使ってるだけで、本当にブレスを放ってる訳じゃないだろ」
「だ、だよな……けど、だとしてもそれっぽ過ぎないか?」
「それは俺も思った。放つ姿もこう……一瞬、ドラゴンっぽく見えた。錯覚だけどな」
線上に騎士がいないことを確認し、ブレスに見立てた風力をバーストさせた一撃を口から吐きだした。
(うわぁ~~、別に即席のブレス擬きだから良いんだけどさ……そんなあっさり斬り裂かれるのは、ちょっとショックだな)
ギーラスはブレス擬きを、その場から動くことなく一刀両断。
ストールのブレスがアラッドのブレス擬きと同等であることはあり得ないが、それでもその場から動かず一刀両断したという事実は変わらない。
そしてそれから約五分後、アラッドの闘争心が……負けず嫌いな気持ちが爆発する前に模擬戦は終了。
結果としてはドローではあるが、アラッドは今回の模擬戦……終始自分が圧されてるように感じた。
(がっつり斬りかかったら、体術も交えて蹴り飛ばされた訳じゃない。上手く受け流されて、着実に喉元に迫られた感じ、か? ……あのバカが努力してるのは認めてるけど、もっともっと追い込まないと、父さんを越える前にまずギーラス兄さんという大きな壁が越えられないぞ、ドラング)
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