スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
557 / 1,361

五百五十六話 悩まないのが俺ら

しおりを挟む
「ところで、一応クランマスターとして聞いておかないと駄目なんだけど、二人ともうちのクランに所属する気はあるかい?」

「すいません、ありません」

「嬉しい誘いですが、申し訳ありません」

食事中、ふと思い出したかのように伝えられた勧誘。

Aランクの冒険者に直接勧誘されるということはとても名誉な事であり、アルティーバで活動している冒険者であれば、大半は断れない。
それは勿論脅しが効いているからという理由ではなく、ハリスというクランマスターに……冒険者に強い憧れを持っているからである。

「ふふ、やっぱりそうだよね。君たちでなければ、少しは悩んでくれてもいいのにと思うけど……寧ろ、君たちの場合はその回答が自然だね」

勿論、ハリスとしては自身のクラン、緑焔に二人が加入してくれたら心底嬉しい。

だが……二人が誰かの下に付くタイプには到底思えず、仮に……本当に緑焔に加入したとしても、まず既に加入しているメンバーとの衝突が容易に想像出来てしまう。

「でも、二人はこれから何度も勧誘を受けると思うよ」

「……多分ですけど、騎士団からは勧誘されないと思います。以前、学園のトーナメントで優勝した際に誘いを受けましたが、その時に断っているので」

「へぇ~~~、そんな事があったんだ。そうだねぇ、騎士団としてもアラッド君みたいな即戦力は是非とも欲しいところだろうね」

「個人的に、ギーラス兄さんが騎士として活動しているんで、個人的にきっぱりと諦めていて欲しいと思います」

「ギーラス……ギーラスというと、風竜を一人で倒したという君のお兄さんか」

風竜を……亜竜ではない、正真正銘の属性持ちドラゴンをソロで倒した……ドラゴンスレイヤー。
討伐者であるギーラスの名は貴族界隈、騎士界隈だけではなく、冒険者界隈にも広がっていた。

「確か、黒炎を使って倒したらしいね……何故騎士という道を、と問うのは不躾というか、愚問だよね」

「そうですね。ギーラス兄さんは長男として、望んで当主になろうとしているので。騎士の道に進むのは至極当の流れですね」

「そうだよねぇ……でも、風竜をソロで倒すぐらいの実力を持っている人なら、どこかで共闘する機会もあるだろう……その時が楽しみだよ」

急な三人での朝食は無事に終了し、もし……緑焔のメンバーが迷惑を掛けるようなことがあれば、直ぐに伝えてくれた別れ際に伝えられた。

「ハリスさんみたいな人がトップなら、その下に付く人たちが僕らに変に迷惑を掛けることはないと思うけどな」

「さぁ……どうだろうな。ただ、ハリスさんの強さにだけ惹かれてる、もしくは惚れてる奴がいるかもしれないだろ」

「…………もしかして、嫉妬で変な絡まれ方をされるかもしれないって事?」

「……はっはっは!!! そうかもな……嫉妬かぁ。どういった嫉妬なのかは分からないけど、可能性としてはあるだろうな」

アラッドは楽し気な笑みを浮かべ、スティームはやや渋いを顔をしながらも二人は予定通りサンディラの樹海へと向かう。

先日まで探索した場所までサクッと走り、そこからはゆったりと……何かおかしな部分はないかと神経を尖らせながら歩く。

「それにしても、木竜を消す……別の空間に転移? させるなんて、いったいどんなマジックアイテムを使ったんだろうね」

「マジックアイテムは可能性の塊だからな。とはいえ、最低でもランク五……俺たちのリンに造ってもらった武器と同じぐらいのランクかもしれない」

「ら、ランク八のマジックアイテムか……うん、だとしたら納得出来るね」

「そう、納得は出来る。問題は、いつ、別次元に飛ばされたかもしれない木竜が戻ってくるか、だ……誰がやる?」

「ゴォォオオオアアアアアアアアッ!!!!」

二人の会話内容などが解るわけもなく、一体のオーガが大剣を振り回しながら襲撃。

「僕がやるよ」

「そうか……それじゃ、頼んだぞ」

「うん」

Cランク冒険者の中でも、上位に位置する冒険者であれば、同じCランクのモンスターを単独で倒すことは不可能ではない。

しかし……それはメインの武器を使っての話。

(ふふ、スティームの奴も……随分無茶をするようになってきたな)

スティームは高い身体能力とリーチが長い武器を扱うオーガを相手に、なんと素手で挑んでいた。

「シッ!!!!」

「っ!? ガァアアアッ!!!!」

(ガルシアさんや、レオナさんと比べれば……遅い!!!!)

スティームも決して身体能力が全体的に高いタイプではなく、パワーはアラッドより完全に劣っている。

それでも……アラッドの実家で休養中にも実戦訓練を行う機会があり、そこで一から体技を鍛えていた。

(赤雷ばかりに、頼っていられない!!!!!!)

雷は使うものの、オーガとの戦闘で赤雷を使うつもりは一切ない。

一撃で肉を、骨を砕けないのであれば何度でも拳を、脚を振るう。

「ガっ!!?? ギ、ァアアアアアアアッ!!!!!」

「遅い、よ」

半身で……最低限の動きで上段斬りを躱し、地面に刃がめり込んだ瞬間を見逃さず、引き抜くより前に刃を……手を踏み台して駆ける。

「うぉおおらあああああっ!!!!!!」

(わぉ……あれ、踏み台にしたのが手だけど、最後顔面に膝をぶち込んだから、流れ的にシャイニングウィザードになるのか?)

見事な体勢で叩きこまれ膝蹴りは頭蓋骨だけではなく、そのまま脳を破壊した。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...