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六百十六話 解らなくもない
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(……依頼主の名前、娘が病に侵されてる侯爵と、同じだよな?)
クエストボードには、新しい依頼書が張り出されていた。
それは……娘の病を治す為に、とある素材が必要であるといった内容。
その素材とは、ソルヴァイパーの心臓の代用となるものなのだが……侯爵はそれがソルヴァイパーの心臓よりも手に入り辛い物だと知っているからこそ、今までギルドに依頼を出さなかった。
(マジ、か………………えっ、じゃあ大丈夫、だよな)
「どうしたの、アラッド?」
「…………スティーム、どうやらついでの問題は何とかなりそうだ」
「えっ?」
パーティーメンバーが何を言ってるのか解らない。
本当に何故ついでの問題が何とかなるのか、全く解らないのだが……スティームの頭が混乱している間に、アラッドは手の空いているギルド職員を確保し、個室へ移動。
「こいつを」
「ッ!!!!!????? えっ………………あ、あの……もしかして、出会ったことが……あるのですか?」
「はい。本当に、凄い偶然が重なったと言いますか」
アラッドが取り出した物は……ユニコーンの角。
そう、以前黒いケルピーに襲われていたユニコーン親子から貰った……成体の方の角。
「あ、ありがとうございます!!!!!」
これまで多くの冒険者たちがソルヴァイパーに挑んできた。
地元の冒険者たちだけではなく、離れた街を拠点にしているクランの冒険者たちも挑んだが……犠牲こそ殆ど出てないが、それでも多くの冒険者たちが倒せなかったというのが事実として残っている。
当たり前だが……そこまで冒険者たちが不甲斐ないと、領主の機嫌が凄まじく悪くなる。
ここ数週間、ギルドのトップであるギルドマスターは毎日胃痛と戦っていた。
「それでですね……俺たち、さっきまでソルヴァイパーと戦ってたんですよ」
「えっ、そう……なんですか? でも……あ、アラッドさんたちでも、やっぱりソルヴァイパーを捉えきることは難しかったのですか?」
既にこのギルドの職員たちもアラッド、スティームの功績は把握済み。
一番ホットな話題で言えば、アラッドが従魔のクロと共にAランクのモンスター、轟炎竜を討伐したという事。
もう試験なんて受けさせずにBランクに上げても良いのではという声が、ギルド内から上がるほど短期間の間に功績を上げ続けている。
そんなアラッドと、現時点での実力……これからの成長も含めればパーティーメンバーに相応しいスティーム、従魔のストームファルコンと共に戦っても逃げられとなれば、ギルドはソルヴァイパーが本気で逃げようとした時の力を評価し直さなければならない。
だが……実際のところはそうではなく、アラッドは自分たちが何故この街に来てソルヴァイパーと戦おうとしてたのかについて話した。
「ってな感じで、俺が前回の戦いでクロと一緒に轟炎竜と戦ったので、今回はスティームとファルがメインで戦うと決めてたんですよ」
「な、なるほど……そうだったん、ですね」
話を聞いたギルド職員は若干呆れつつも、二人にはそういった生き方をするだけの実力があるのだと、改めて認識した。
だが、結果としてソルヴァイパーを逃がしてしまった。
職員はアラッドとクロが戦闘には参加していなくとも、逃がしてしまうとは思えない。
「アラッド、続きは僕が話すよ」
「分かった」
「ソルヴァイパーと戦い始めてから……多分、五分ぐらいは経ってたかな。もう、これ以上戦い続ける意味はないと思い、赤雷を使って仕留めようとしたんです。ですが……ソルヴァイパーはおそらくその場で覚醒したのか、白雷を纏って攻撃を防ぎました」
「っ!!!!!?????」
戦闘職に関わる者として、多少なりとも色を持つ魔力について聞き覚えはある。
「ま、待ってください。という事は……もし、かして」
「完全に僕の油断です。ソルヴァイパーが基本的に逃走癖があることを忘れて、反撃にくると勘違いして……」
「観ていた俺も同じ考えを持っていました。あの状況で、まさか会得した力を逃げる為に使うとは思えず」
揃って頭を下げる二人の青年。
ギルド職員としては……ちょっとまだ把握しきれていなかった。
「えっと…………………………と、とりあえず!!! このユニコーンの角を渡していただけでも、ギルドとしては本当に大助かりです!!!!!」
ざっと話を聞いた結果、職員は二人の感覚が解らなくもなかった。
強い奴と戦うためにこの地域に訪れ、ついに標的となるモンスターと遭遇。
それなりに満足するまで戦い、そろそろ倒そうとガチの殺る気な攻撃を放ったにもかかわらず、新たな力の発現によって防がれた。
強い奴と戦う為にという目標を持っていたことを考えれば……そこから更に熱く、濃密な戦いに繋がると期待してしまうもの。
「今報酬のお金を持ってきますね!!!」
「あ、はい。分かりました……」
確かに、色付きの魔力を持つモンスターという存在は……色々とマズい。
ただ、そのモンスターがソルヴァイパーという基本的に自分から人間を襲うことがない。
そういった珍しい個体であることを考えれば、ギルドとしてもそこまで焦る案件ではなかった。
クエストボードには、新しい依頼書が張り出されていた。
それは……娘の病を治す為に、とある素材が必要であるといった内容。
その素材とは、ソルヴァイパーの心臓の代用となるものなのだが……侯爵はそれがソルヴァイパーの心臓よりも手に入り辛い物だと知っているからこそ、今までギルドに依頼を出さなかった。
(マジ、か………………えっ、じゃあ大丈夫、だよな)
「どうしたの、アラッド?」
「…………スティーム、どうやらついでの問題は何とかなりそうだ」
「えっ?」
パーティーメンバーが何を言ってるのか解らない。
本当に何故ついでの問題が何とかなるのか、全く解らないのだが……スティームの頭が混乱している間に、アラッドは手の空いているギルド職員を確保し、個室へ移動。
「こいつを」
「ッ!!!!!????? えっ………………あ、あの……もしかして、出会ったことが……あるのですか?」
「はい。本当に、凄い偶然が重なったと言いますか」
アラッドが取り出した物は……ユニコーンの角。
そう、以前黒いケルピーに襲われていたユニコーン親子から貰った……成体の方の角。
「あ、ありがとうございます!!!!!」
これまで多くの冒険者たちがソルヴァイパーに挑んできた。
地元の冒険者たちだけではなく、離れた街を拠点にしているクランの冒険者たちも挑んだが……犠牲こそ殆ど出てないが、それでも多くの冒険者たちが倒せなかったというのが事実として残っている。
当たり前だが……そこまで冒険者たちが不甲斐ないと、領主の機嫌が凄まじく悪くなる。
ここ数週間、ギルドのトップであるギルドマスターは毎日胃痛と戦っていた。
「それでですね……俺たち、さっきまでソルヴァイパーと戦ってたんですよ」
「えっ、そう……なんですか? でも……あ、アラッドさんたちでも、やっぱりソルヴァイパーを捉えきることは難しかったのですか?」
既にこのギルドの職員たちもアラッド、スティームの功績は把握済み。
一番ホットな話題で言えば、アラッドが従魔のクロと共にAランクのモンスター、轟炎竜を討伐したという事。
もう試験なんて受けさせずにBランクに上げても良いのではという声が、ギルド内から上がるほど短期間の間に功績を上げ続けている。
そんなアラッドと、現時点での実力……これからの成長も含めればパーティーメンバーに相応しいスティーム、従魔のストームファルコンと共に戦っても逃げられとなれば、ギルドはソルヴァイパーが本気で逃げようとした時の力を評価し直さなければならない。
だが……実際のところはそうではなく、アラッドは自分たちが何故この街に来てソルヴァイパーと戦おうとしてたのかについて話した。
「ってな感じで、俺が前回の戦いでクロと一緒に轟炎竜と戦ったので、今回はスティームとファルがメインで戦うと決めてたんですよ」
「な、なるほど……そうだったん、ですね」
話を聞いたギルド職員は若干呆れつつも、二人にはそういった生き方をするだけの実力があるのだと、改めて認識した。
だが、結果としてソルヴァイパーを逃がしてしまった。
職員はアラッドとクロが戦闘には参加していなくとも、逃がしてしまうとは思えない。
「アラッド、続きは僕が話すよ」
「分かった」
「ソルヴァイパーと戦い始めてから……多分、五分ぐらいは経ってたかな。もう、これ以上戦い続ける意味はないと思い、赤雷を使って仕留めようとしたんです。ですが……ソルヴァイパーはおそらくその場で覚醒したのか、白雷を纏って攻撃を防ぎました」
「っ!!!!!?????」
戦闘職に関わる者として、多少なりとも色を持つ魔力について聞き覚えはある。
「ま、待ってください。という事は……もし、かして」
「完全に僕の油断です。ソルヴァイパーが基本的に逃走癖があることを忘れて、反撃にくると勘違いして……」
「観ていた俺も同じ考えを持っていました。あの状況で、まさか会得した力を逃げる為に使うとは思えず」
揃って頭を下げる二人の青年。
ギルド職員としては……ちょっとまだ把握しきれていなかった。
「えっと…………………………と、とりあえず!!! このユニコーンの角を渡していただけでも、ギルドとしては本当に大助かりです!!!!!」
ざっと話を聞いた結果、職員は二人の感覚が解らなくもなかった。
強い奴と戦うためにこの地域に訪れ、ついに標的となるモンスターと遭遇。
それなりに満足するまで戦い、そろそろ倒そうとガチの殺る気な攻撃を放ったにもかかわらず、新たな力の発現によって防がれた。
強い奴と戦う為にという目標を持っていたことを考えれば……そこから更に熱く、濃密な戦いに繋がると期待してしまうもの。
「今報酬のお金を持ってきますね!!!」
「あ、はい。分かりました……」
確かに、色付きの魔力を持つモンスターという存在は……色々とマズい。
ただ、そのモンスターがソルヴァイパーという基本的に自分から人間を襲うことがない。
そういった珍しい個体であることを考えれば、ギルドとしてもそこまで焦る案件ではなかった。
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