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六百六十一話 裏切ってはいけない覚悟
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「ん? 何か来るな」
目の前から走ってくる者たちは……冒険者や兵士、騎士たちであった。
「はぁ、はぁ、はぁ。あ、あんた達は!!??」
「門兵に頼まれて、グリフォン討伐を手伝ってくれと頼まれたあんた達の同業だ」
余計な真似を……とは思わない。
三人とも歳若いことは確かだが、まず従魔であろう巨狼と大隼だけでもグリフォンに対抗できる強さを感じる。
なにより、彼らは一人の冒険者だけを残し、配送を余儀なくされた状態。
全員が走れる状態ではなく、何人もの冒険者や兵士たちが仲間たちに背負われていた。
「た、頼む!! あいつ……あいつを、助けてやってくれ!!!!!」
「勿論だ。その為に、俺たちは戦場へ向かう。街に戻ったら、まだ残って戦っている英雄を迎える準備でもしていてくれ」
それだけ言い残すと、まだ戦闘音が聞こえる方向へと再度走り出す。
(おそらく、Bランクのモンスターと一人で戦ってる、か…………どんな冒険者かは知らないが、尊敬に値するな)
死んでも仲間を守るために戦う。
アラッドはこれまで……それが前提で戦ったことはない。
強敵との戦闘はこれまで何度も体験してきた。
あまり記憶には残っていないが、死にかけたという状態に近い戦いは、狂化を会得したタイミングで戦ったトロール戦。
しかし、それは死んでも仲間を守る為の戦いではなかった。
「そろそろだな」
響き渡る戦闘音の音が大きくなり、激闘を繰り広げる人間とモンスターの姿が見えてきた。
「あれだな…………グリフォンか。そりゃ必死になる訳だ」
「「っ!!??」」
戦場に自分たちの知らない存在が現れたことで、青年冒険者とグリフォンの表情には……全く違う表情が現れた。
普段のグリフォンであれば、アラッドたちの接近に気付き、目の前の人間を殺すことに拘らず、逃走という選択肢を選べた。
だが、一向にその命に手が届かない冒険者の相手に意識が集中し過ぎ、超強敵たちの接近が直前になるまで気付けなかった。
「あんた達は……誰だ」
「門兵に頼まれて、あんた達を助けてやって欲しいと頼まれた者だ」
「そうか…………」
青年の表情には安堵の色……はなく、表情は険しいままだった。
「助力は嬉しいが、遠慮させてもらう」
「「「っ!!!???」」」
三人は……青年が発した言葉が理解出来なかった。
(バカ、ではないよな? 精神攻撃でも受けてるのか?)
自分で言うつもりはないが、それでも三人は自分たちはギリギリのタイミングで到着出来た、ナイス助っ人と思っていた。
しかし、一人の残って戦い続けていた青年から帰ってきた言葉は、手助け無用という内容だった。
「あの人たちがあんた達に助けを求めたのは、正しいこと、なんだろう……でも、俺は……俺が!!! 俺がここで
勝たなきゃ駄目なんだ!!!!!!!」
「………………」
何を言っているんだ、このウ〇コバカ野郎は……とはならなかった。
(この人とは……ただ、我儘を言ってるんじゃない)
アラッドは青年の背中から、確かに覚悟を感じ取った。
何故、青年がせっかく現れた助っ人に対して助力は必要ないと口にしたのか、詳しくは解らない。
それでも、青年の覚悟を無駄にしてはならない。
それだけは本能が理解した。
「……解った」
「「っ!!!???」」
アラッドが青年の言葉を了承したことに驚きを隠せない二人。
スティームやガルーレが口を開くよりも先に、アラッドは青年に対して条件を出した。
「ただし、こいつを使ってくれ。その得物じゃ、どれだけあんたが諦めなくても、限界がくる」
亜空間から取り出した迅罰を器用に投げ……放られた迅罰は青年の前に突き刺さった。
「おい、そこのグリフォン!! 俺たちの言葉は理解出来るだろ」
「…………」
アラッドたちが戦場に現れたことで、動こうにも全く動けない状態に縛られていたグリフォン。
新たに現れた三人の人間は自分を相手に粘っていた人間よりも強い。
加えて、同行している巨狼と大隼に関しては自身がモンスターということもあってか、明確に戦っても負けるビジョンが浮かび上がってしまう。
「そいつに勝てたら、俺たちと戦わずに逃げても……俺たちはお前を追わないし殺さない」
「っ…………」
アラッドの考えている通り、グリフォンは人間の言葉は話せずとも、理解は出来る。
だからこそ、アラッドの言葉を信用出来る訳がなかった。
「信じるか信じないかは、お前次第だ」
そう言いながら地面に腰を下ろした。
主人がそうするならと思い、クロも地面に寝転がり、眼を閉じた。
「……はぁ~~~~。分かったよ。リーダーはアラッドだし、決定には従うよ」
「そうだね…………解った。僕も手を出さないよ」
ファルも主人が地面に腰を下ろしたのを確認し、クロと同じく臨戦態勢を解いた。
(あれほどの覚悟を持った人は……できれば、死なせたくない。でも、そうすべき理由があるんだよね、アラッド)
彼等を助けてくれと頼んだ門兵たちを裏切ることになる。
共に戦っていた冒険者、兵士たちの涙も裏切ることになるだろう。
「我儘を聞いてくれて、本当に助かる」
青年は自身の得物を後ろに放り、アラッドから提示された条件を飲み……迅罰を手に取った。
目の前から走ってくる者たちは……冒険者や兵士、騎士たちであった。
「はぁ、はぁ、はぁ。あ、あんた達は!!??」
「門兵に頼まれて、グリフォン討伐を手伝ってくれと頼まれたあんた達の同業だ」
余計な真似を……とは思わない。
三人とも歳若いことは確かだが、まず従魔であろう巨狼と大隼だけでもグリフォンに対抗できる強さを感じる。
なにより、彼らは一人の冒険者だけを残し、配送を余儀なくされた状態。
全員が走れる状態ではなく、何人もの冒険者や兵士たちが仲間たちに背負われていた。
「た、頼む!! あいつ……あいつを、助けてやってくれ!!!!!」
「勿論だ。その為に、俺たちは戦場へ向かう。街に戻ったら、まだ残って戦っている英雄を迎える準備でもしていてくれ」
それだけ言い残すと、まだ戦闘音が聞こえる方向へと再度走り出す。
(おそらく、Bランクのモンスターと一人で戦ってる、か…………どんな冒険者かは知らないが、尊敬に値するな)
死んでも仲間を守るために戦う。
アラッドはこれまで……それが前提で戦ったことはない。
強敵との戦闘はこれまで何度も体験してきた。
あまり記憶には残っていないが、死にかけたという状態に近い戦いは、狂化を会得したタイミングで戦ったトロール戦。
しかし、それは死んでも仲間を守る為の戦いではなかった。
「そろそろだな」
響き渡る戦闘音の音が大きくなり、激闘を繰り広げる人間とモンスターの姿が見えてきた。
「あれだな…………グリフォンか。そりゃ必死になる訳だ」
「「っ!!??」」
戦場に自分たちの知らない存在が現れたことで、青年冒険者とグリフォンの表情には……全く違う表情が現れた。
普段のグリフォンであれば、アラッドたちの接近に気付き、目の前の人間を殺すことに拘らず、逃走という選択肢を選べた。
だが、一向にその命に手が届かない冒険者の相手に意識が集中し過ぎ、超強敵たちの接近が直前になるまで気付けなかった。
「あんた達は……誰だ」
「門兵に頼まれて、あんた達を助けてやって欲しいと頼まれた者だ」
「そうか…………」
青年の表情には安堵の色……はなく、表情は険しいままだった。
「助力は嬉しいが、遠慮させてもらう」
「「「っ!!!???」」」
三人は……青年が発した言葉が理解出来なかった。
(バカ、ではないよな? 精神攻撃でも受けてるのか?)
自分で言うつもりはないが、それでも三人は自分たちはギリギリのタイミングで到着出来た、ナイス助っ人と思っていた。
しかし、一人の残って戦い続けていた青年から帰ってきた言葉は、手助け無用という内容だった。
「あの人たちがあんた達に助けを求めたのは、正しいこと、なんだろう……でも、俺は……俺が!!! 俺がここで
勝たなきゃ駄目なんだ!!!!!!!」
「………………」
何を言っているんだ、このウ〇コバカ野郎は……とはならなかった。
(この人とは……ただ、我儘を言ってるんじゃない)
アラッドは青年の背中から、確かに覚悟を感じ取った。
何故、青年がせっかく現れた助っ人に対して助力は必要ないと口にしたのか、詳しくは解らない。
それでも、青年の覚悟を無駄にしてはならない。
それだけは本能が理解した。
「……解った」
「「っ!!!???」」
アラッドが青年の言葉を了承したことに驚きを隠せない二人。
スティームやガルーレが口を開くよりも先に、アラッドは青年に対して条件を出した。
「ただし、こいつを使ってくれ。その得物じゃ、どれだけあんたが諦めなくても、限界がくる」
亜空間から取り出した迅罰を器用に投げ……放られた迅罰は青年の前に突き刺さった。
「おい、そこのグリフォン!! 俺たちの言葉は理解出来るだろ」
「…………」
アラッドたちが戦場に現れたことで、動こうにも全く動けない状態に縛られていたグリフォン。
新たに現れた三人の人間は自分を相手に粘っていた人間よりも強い。
加えて、同行している巨狼と大隼に関しては自身がモンスターということもあってか、明確に戦っても負けるビジョンが浮かび上がってしまう。
「そいつに勝てたら、俺たちと戦わずに逃げても……俺たちはお前を追わないし殺さない」
「っ…………」
アラッドの考えている通り、グリフォンは人間の言葉は話せずとも、理解は出来る。
だからこそ、アラッドの言葉を信用出来る訳がなかった。
「信じるか信じないかは、お前次第だ」
そう言いながら地面に腰を下ろした。
主人がそうするならと思い、クロも地面に寝転がり、眼を閉じた。
「……はぁ~~~~。分かったよ。リーダーはアラッドだし、決定には従うよ」
「そうだね…………解った。僕も手を出さないよ」
ファルも主人が地面に腰を下ろしたのを確認し、クロと同じく臨戦態勢を解いた。
(あれほどの覚悟を持った人は……できれば、死なせたくない。でも、そうすべき理由があるんだよね、アラッド)
彼等を助けてくれと頼んだ門兵たちを裏切ることになる。
共に戦っていた冒険者、兵士たちの涙も裏切ることになるだろう。
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