666 / 1,361
六百六十五話 無理には食べない
しおりを挟む
「頼まれ、助けに行ったのに武器を貸すだけという選択肢を取った俺がこう言うのは……少しよろしくないとは思うが、良いものを見させてもらったよ」
「お、おぅ……ありがとな」
俺と君は対等。
そう伝えてくれたからこそ、なんとか敬語を使わずに対応するが……これが精一杯であった。
「アラッドの言う通りだね。正直、僕は無理にでも参戦してグリフォンを倒すことに賛成だった。でも……最終的には、君の戦いを観れて良かったと思ったよ」
当初の考えが覆るほど、心にくるものがある戦いだった。
そんなスティームの言葉は本物であり、一切の過剰表現はない。
寧ろ……アラッドがここまで褒める相手がいた、その戦いを観れた。
アラッドの横に並び立つことが当面の目標であるスティームにとって、良い着火剤となった。
「私もクラートの戦いを観れて、本当に良かったと思ったよ!!!」
「あ、ありがとう」
「ねぇねぇ、ところで好きな人とか彼女とか今はいない、大丈夫?」
「へっ!!!!????」
とりあえず褒められた……そこは解る。
だが、いきなり美女に詰め寄られ、後半……何を伝えられたのか直ぐには理解出来なかった。
「ガルーレ、少し落ち着け」
「そうだよ。クラートがびっくりしてるじゃないか」
すかさずアラッドとスティームが止めに入って引き剥がされるが、ガルーレの眼はまだそのまま……そう、捕食者の眼のままである。
「え、えっと……」
「あぁ~~~、安心してくれ、クラート。ガルーレは君の彼女になりたいとか、そういう訳じゃないんだ」
「?????」
ガルーレもそれを否定しなかったため、余計に訳解からなくなる。
「ガルーレはな、君を食べたくなったようだ」
「……へ?」
冒険者として数年以上活動しており、言葉の意味は解る。
意味は解るのだが……目の前のスタイル、容姿共にずば抜けている美女が自分をそういう眼で見ている、という状況に対してまだ初心さが残るクラートは自分にそういった興味を持たれた理由が解らなかった。
「あれだ、今は止めたけど、もしクラートにその気があるなら、後で声を掛けてみたら良い」
「いつでも待ってるよ!!!!」
「あ、はい」
ガルーレとしても、アラッドが英雄と評する漢を……無理矢理食べるのは気が引けるため、一応ブレーキはかけていた。
「それで……どうだ。グリフォンとの戦いを得て、何か一皮むけたという感覚があったりするか?」
「……なんと言うか、まだ体に疲れが残ってるのは間違いないと思うんだけど、同時に軽さを感じると言うか……不思議な感覚では、あるかな」
当たり前の話だが、クラートは明日までに回復する筈だった体力、魔力を無理矢理引き出した。
殆どグリフォンを一人で討伐したこともあり、レベルアップはしたものの……ドラ〇エの様にレベルアップすれば、体力と魔力も最大回復するわけではない。
脅威的な回復力でひとまず動くことは出来るが、今すぐフルスロットルで動くことは出来ず、魔力の回復速度も……普段と比べて遅くなっている。
万全の状態とは言い難いが、それでも今まで以上の動きが出来る……という確信に近い感覚があった。
「大きな大きな壁を越えたって感じだね~。アラッドも、似た様な体験したことはあるの?」
「…………多分だが、初めてBランクモンスター、トロールと戦った時だろうな。色々あったからそういうのを自覚する間がなかったが、おそらくあの戦いを終えた後は……今のクラートに近い感覚を得ていたと思う」
「っ! も、もっと詳しく聞いても、良いか」
「ん? 別にそんな面白い話じゃないぞ」
それでもと頼み込むクラート。
アラッドはクラートに対して、君がグリフォンに一人で挑む姿に惚れたと伝えてくれた。
だが、クラートにとって……アラッドも似た様な存在だった。
街を守る剣に、盾になると誓ったクラートからすれば、アラッドは冒険者になってから国内で活躍し続けている超新星。
歳下、後輩、貴族の令息。
そんな事、一切関係無かった。
自分よりも歳下の冒険者が命を懸けて何度も冒険している。
正直なところ、それが励みになったこともあった。
いつも耳に入ってくる話題の人物が目の前にいる。
是非とも、超新星が体験してきた激闘を、本人の口から聞いてみたかった。
「って、感じだ。あの時は……ふふ、ちょっと今日のクラートと考えが似てたかもしれないな」
「護衛の人たちからすれば、止めてくれって叫びたかっただろうね」
クロを殺されかけたアラッドが止まれる理由はなかった。
それでも、護衛の騎士やガルシアたちからすれば、せめて一緒に戦わせてほしかった。
相棒を殺した(実際は生きていた)相手は、絶対に自分が殺すと誓い、同時にその時得たスキル、狂化を発動したアラッドは止まらずに最後まで振り切った。
「我ながら無茶というか、バカなことをしたと思うよ……っと、そういえばクラートが起きたら渡したいと思っていた物があったんだ」
「渡したい、物?」
パッと頭に浮かんだ物は、自分が倒したグリフォンの死体。
しかし、アラッドが亜空間から取り出した物は……何かの骨だった。
「お、おぅ……ありがとな」
俺と君は対等。
そう伝えてくれたからこそ、なんとか敬語を使わずに対応するが……これが精一杯であった。
「アラッドの言う通りだね。正直、僕は無理にでも参戦してグリフォンを倒すことに賛成だった。でも……最終的には、君の戦いを観れて良かったと思ったよ」
当初の考えが覆るほど、心にくるものがある戦いだった。
そんなスティームの言葉は本物であり、一切の過剰表現はない。
寧ろ……アラッドがここまで褒める相手がいた、その戦いを観れた。
アラッドの横に並び立つことが当面の目標であるスティームにとって、良い着火剤となった。
「私もクラートの戦いを観れて、本当に良かったと思ったよ!!!」
「あ、ありがとう」
「ねぇねぇ、ところで好きな人とか彼女とか今はいない、大丈夫?」
「へっ!!!!????」
とりあえず褒められた……そこは解る。
だが、いきなり美女に詰め寄られ、後半……何を伝えられたのか直ぐには理解出来なかった。
「ガルーレ、少し落ち着け」
「そうだよ。クラートがびっくりしてるじゃないか」
すかさずアラッドとスティームが止めに入って引き剥がされるが、ガルーレの眼はまだそのまま……そう、捕食者の眼のままである。
「え、えっと……」
「あぁ~~~、安心してくれ、クラート。ガルーレは君の彼女になりたいとか、そういう訳じゃないんだ」
「?????」
ガルーレもそれを否定しなかったため、余計に訳解からなくなる。
「ガルーレはな、君を食べたくなったようだ」
「……へ?」
冒険者として数年以上活動しており、言葉の意味は解る。
意味は解るのだが……目の前のスタイル、容姿共にずば抜けている美女が自分をそういう眼で見ている、という状況に対してまだ初心さが残るクラートは自分にそういった興味を持たれた理由が解らなかった。
「あれだ、今は止めたけど、もしクラートにその気があるなら、後で声を掛けてみたら良い」
「いつでも待ってるよ!!!!」
「あ、はい」
ガルーレとしても、アラッドが英雄と評する漢を……無理矢理食べるのは気が引けるため、一応ブレーキはかけていた。
「それで……どうだ。グリフォンとの戦いを得て、何か一皮むけたという感覚があったりするか?」
「……なんと言うか、まだ体に疲れが残ってるのは間違いないと思うんだけど、同時に軽さを感じると言うか……不思議な感覚では、あるかな」
当たり前の話だが、クラートは明日までに回復する筈だった体力、魔力を無理矢理引き出した。
殆どグリフォンを一人で討伐したこともあり、レベルアップはしたものの……ドラ〇エの様にレベルアップすれば、体力と魔力も最大回復するわけではない。
脅威的な回復力でひとまず動くことは出来るが、今すぐフルスロットルで動くことは出来ず、魔力の回復速度も……普段と比べて遅くなっている。
万全の状態とは言い難いが、それでも今まで以上の動きが出来る……という確信に近い感覚があった。
「大きな大きな壁を越えたって感じだね~。アラッドも、似た様な体験したことはあるの?」
「…………多分だが、初めてBランクモンスター、トロールと戦った時だろうな。色々あったからそういうのを自覚する間がなかったが、おそらくあの戦いを終えた後は……今のクラートに近い感覚を得ていたと思う」
「っ! も、もっと詳しく聞いても、良いか」
「ん? 別にそんな面白い話じゃないぞ」
それでもと頼み込むクラート。
アラッドはクラートに対して、君がグリフォンに一人で挑む姿に惚れたと伝えてくれた。
だが、クラートにとって……アラッドも似た様な存在だった。
街を守る剣に、盾になると誓ったクラートからすれば、アラッドは冒険者になってから国内で活躍し続けている超新星。
歳下、後輩、貴族の令息。
そんな事、一切関係無かった。
自分よりも歳下の冒険者が命を懸けて何度も冒険している。
正直なところ、それが励みになったこともあった。
いつも耳に入ってくる話題の人物が目の前にいる。
是非とも、超新星が体験してきた激闘を、本人の口から聞いてみたかった。
「って、感じだ。あの時は……ふふ、ちょっと今日のクラートと考えが似てたかもしれないな」
「護衛の人たちからすれば、止めてくれって叫びたかっただろうね」
クロを殺されかけたアラッドが止まれる理由はなかった。
それでも、護衛の騎士やガルシアたちからすれば、せめて一緒に戦わせてほしかった。
相棒を殺した(実際は生きていた)相手は、絶対に自分が殺すと誓い、同時にその時得たスキル、狂化を発動したアラッドは止まらずに最後まで振り切った。
「我ながら無茶というか、バカなことをしたと思うよ……っと、そういえばクラートが起きたら渡したいと思っていた物があったんだ」
「渡したい、物?」
パッと頭に浮かんだ物は、自分が倒したグリフォンの死体。
しかし、アラッドが亜空間から取り出した物は……何かの骨だった。
187
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる