スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
745 / 1,361

七百四十四話 根っこが違うから

しおりを挟む
「が、ガルーレ……そ、それは本当……ですの?」

リエラはまだ学生であり、自分で金を稼いでいない。
それでも実家の爵位は高く、親から毎月それなりの小遣いを貰っている。

使う時には使うが、普段から散財するようなタイプではないリエラでも……どう考えても手を出せない額。

そんな金額の商品を、ガルーレはアラッドなら……ちょっと高いけど、買えそうだよね……と言った内容の言葉を口にした。

「え、いや……だって、アラッドってこれまでのBランクモンスターをソロで倒したり、私と出会う前にはAランクのモンスターとか倒してたじゃん。プライベートでもBランクのモンスターを倒して、それなりに規模が多い盗賊団をスティームと潰したりしてるって言ってたし、これぐらいなら払えなくもないと思って……だよね?」

「そうだな…………うん、そうだな。買えなくはないな」

リバーシやキャバリオンで儲けている額を除いた自身の財産をざっと思い浮かべ……ガルーレの言う通り、目の前のネックレスは購入出来なくはないと判断。

「そ、そうでし、たわね……それなら、納得ですわ」

モンスターの素材がランクによって高額で買い取られることはリエラも知っている。

プライベートでBランクモンスターを狩ったり、盗賊団を潰しているという情報は初耳ではあるが、アラッドの戦闘力の高さを実際に目にしたため、納得出来なくはない。

「それで、購入しますの?」

「いや、買わないかな」

従業員が細かい効果を説明しようとしたところで、アラッドは速攻で購入しないと口にし、従業員ははっきりと解るぐらい肩を落とした。

「そうですの? やはり、冒険者ですから……ダンジョンの宝箱から手に入れたい、といったところかしら」

「そうだな……そういう流れで見つけたのであれば、自分が身に付けることに違和感はない」

「口ぶりから察するに、あまりこういった店ではマジックアイテムや武器を購入したくない……と言ってるように聞こえますが」

リエラの言葉に、悪意や苛立ちはない。
ただ、アラッドが何を考えているのか知りたかった。

「いや、この前は……不可抗力ではあるが、別の店で一つ武器を購入した。全く買わないという訳ではないが、確かにあまり自分の為に購入しないようにしたいとは、思ってるな」

「? ラディア、冒険者は自分の装備にお金をかけるものではなくて?」

「基本はそうね。でも…………うん、解らなくはないかな」

「どういう事ですの?

「アラッドは、多分だけどあまり武器やマジックアイテムの性能に頼りたくないんだよね」

「簡単に言うと、そういう事になる」

道具の性能に頼りたくない。
その答えを聞き……リエラは納得出来るような、納得出来ないような……難しい表情を浮かべて頭を捻る。

「……それって、道具に頼らない強さを身に着けたいからってことかしら」

「大体そんな感じで合ってる。とはいえ、それは俺の個人的な考えだがな」

強く、高性能な道具を身に付けてばかりいては、本当の意味での強さが失われ、それが油断に繋がるのではないか。

冒険者なんだから、そんな事を考えて金をケチって、大怪我したり死ぬのはアホらしいだろと考える者はいる。
寧ろそういった考えを持つ者の方が圧倒的に多い。

ただ、アラッドの場合は冒険者という職業に就いているが、根っこの部分は求道者に近い。
それ故に強さなどに関する考え方が、他の同業者たちと違う。

「けど、アッシュにせがまれたら……買ってしまうかもな」

シスコンであり、ブラコンなアラッド。

少し、ほんの少しだけ揺れるアッシュだったが、やはりアラッドの弟。
直ぐに首を横に振った。

「嬉しいですけど、遠慮しておきます。僕は……どうせなら、自分で造りたい」

「はっはっは!!! そうか、お前らしいな。けど、折角VIPエリアに連れてきてもらったんだ。何も買わないってのは勿体ないよな」

立場的にはアラッドたちもVIPに入るかもしれないが、そう認定するまで多少時間が掛かってしまう。

わざわざ案内してくれたリエラの立場を立てる為に、何かしら購入しようと考えるも、あまりこれだという考えが浮かばない。

「ん~~~~……あっ、そうだ。なぁ、アッシュ。シルフィーの奴に似合いそうなやつを選んでくれないか」

「シルフィーに似合いそうな物、ですか……アラッド兄さんが選んだ方が良いと思いますけど」

「あいつの隣に一番長くいるのはアッシュだろ。頼むよ」

「…………分かりました」

隣にいるからといって何でも解る訳ではないが、それでも悪い気はせず、再度VIPエリアのショーケース内にあるアイテムを見回る。

「……アラッド兄さん、あれとかどうですか」

「ほ~~~~ぅ。ふふ、良いんじゃないか? シルフィーに似合いそうだ」

「あなた、それ本気で言ってますの?」

アッシュが選んだマジックアイテムは腕輪タイプの物であり、黒と赤がメイン。
付与されている効果腕力の強化が主な内容。

「リエラ嬢、シルフィーは男であるアッシュよりも戦闘に興味がある……嫌がるアッシュを訓練に誘う様なタイプだが。因みに、現在主に使用してる武器は大剣。それでも、この腕輪が似合わないと思うか?」

アラッドの説明だけを聞けば、寧ろピッタリとしか思えなかった。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

処理中です...