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七百四十七話 パンチ
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「モテモテだな、ラディア嬢」
「アラッド、からかわないで」
「失礼した。それで、お前たちはラディア嬢が俺やスティーム、ガルーレとパーティーを組んだ……と勘違いしてる様だが、それは違う」
改めてナルターク王国を訪れた際には、滞在している間は共に行動するのもありだと考えているが、ひとまずその予定は今のところない。
「俺たちは偶々別の国からナルターク王国に訪れた、お前たちと同じ冒険者だ。ラディア嬢たちと知り合ったのは、本当に偶々だ」
「それは……本当か」
「証明しろと言われても、言葉でしか証明することは出来ない。いや、俺たちが二日後に自国へ戻ることを考えれば、それはそれで証明になるか」
赤髪の男は、冒険者の中では腹芸が苦手ではないこともあり、自分たちはラディアとパーティーを組んではいないと口にした男が嘘を付いていないと直ぐに解った。
「そう、か」
「ふふ、色々と納得がいかないような顔をしてるな。こちらとしては、納得は出来るが理解は出来なくもないといったところか……さて、ここでお前たちに良い情報を教えよう」
得意気な顔でこいつは何を語り始めるのだと、アラッドに対して若干のイラつきを感じるも、四人は黙って言葉の続きを待った。
「俺は、侯爵家の令息だ」
「なっ!!」
「そして、そっちの子は俺の弟。つまり、同じく侯爵家の令息だ」
人族、エルフ、竜人族、ハーフドワーフの四人組は全員平民出身ではあるが、若手の中では知識がある方で……侯爵家という存在が、貴族界の中で何番目に偉い地位に付いているのかぐらいは知っていた。
「こっちはこれまた他国のではあるが、伯爵家の令息。んで、こっちの上品な姉ちゃんは俺の実家の一個上、つまり公爵家の令嬢だ」
「「「「…………」」」」
押し黙る、しかない。
「そっちのアマゾネスの姉ちゃんは平民で、そっちの二人は良く知らないが、騎士として活動してる」
権力パンチのガトリング砲を食らい、彼らは無理に声を掛けた事を若干後悔し始めた。
それでも腹芸が苦手ではない赤髪のマッシュ男は、その焦りはギリギリ顔に出さずに済んでいた。
「解るぞ。冒険者として活動してるくせに、実家の権力パンチを使うなんてズルいぞ、って言いたい気持ちは解る。ただな………俺たちとしては、若干鬱陶しいんだ」
面と向かって鬱陶しいと、赤髪のマッシュ男たちに伝えたアラッドに、リエラは心の中で賞賛を送った。
「とはいえ、先程リエラ嬢が話した通り、お前たちには多少なりとも礼儀がある。俺が権力パンチを行ったからといって、当主になれない奴が冒険者として活動してるだけだろうが、っといった感じで怒鳴り散らかさなかったのも、ポイントが高い」
「…………一つ、あなたに質問しても良いか?」
「答えられることなら、構わないぞ」
「あなたは……本当に、俺たちと歳が近い、冒険者なのか」
もう何度も尋ねられてきた質問に対し、既に答えは用意していた。
「お前たちは、これまでの冒険者人生の間で、それなりに絡まれてきただろ」
「……そう、だな」
問いの意図を理解し、全員が軽く頷く。
「俺も同じだ。まだ冒険者として活動を始めて二年も経っていないが、形に差はあれど、面倒な奴らに絡まれてきた。そいつらとお前たちを比べれば……まだ、まともだ」
若干まともではない、そう言われていると受け取った四人の表情がほんの少し歪むも、失礼を承知で食事中の席に割って入った自覚はあった。
先程食らった権力パンチのダメージが抜けてないこともあり、実力以外の差はしっかりと覚えていた。
「ところで、一度はフラれたみたいだが、四人は……まだ、ラディア嬢の事が諦めきれてない様子だな」
ただ文句が、嫉妬だけがある用には思えず、そんなアラッドの考えは彼等にとって図星だった。
「正解だったか。確かに……一度程度では、と思うお前たちの気持ちも解らなくはない」
高嶺の華。
まさにラディアは冒険者たちの間でそういった存在であり、同性の冒険者も彼女に憧れを抱く者は少なくない。
「でも、止めておいた方が良い」
「諦めろ、と。そういうことか」
完全に、ポーカーフェイスが崩れた。
まだスティームやガルーレがいつでも動けるように構える段階ではないものの、表情や雰囲気は確実に変わった。
「直に手合わせしたわけではないが、お前たちがある程度強いのは解る。おそらく、四人がかりであればBランクのモンスターも倒せるだろう」
「…………」
「だが、ラディア嬢は単独でBランクのモンスターを葬ることが出来る。パーティーを組んだ方がメリット云々かんぬんも解らなくはないが、ラディア嬢にとって……お前たちがもしかしたら自分居るラインに届くかもしれない、それを合わせるメリットはないと思わないか」
実際に斬り結んだからこそ、アラッドには解る。
ラディアは現時点でAランクモンスターを単独で討伐出来る……可能性を持っている。
精霊剣に封印されている精霊との関係性も関わりはするものの、現時点では明らかにラディアの方が赤髮のマッシュ男たちよりも勝っていた。
「アラッド、からかわないで」
「失礼した。それで、お前たちはラディア嬢が俺やスティーム、ガルーレとパーティーを組んだ……と勘違いしてる様だが、それは違う」
改めてナルターク王国を訪れた際には、滞在している間は共に行動するのもありだと考えているが、ひとまずその予定は今のところない。
「俺たちは偶々別の国からナルターク王国に訪れた、お前たちと同じ冒険者だ。ラディア嬢たちと知り合ったのは、本当に偶々だ」
「それは……本当か」
「証明しろと言われても、言葉でしか証明することは出来ない。いや、俺たちが二日後に自国へ戻ることを考えれば、それはそれで証明になるか」
赤髪の男は、冒険者の中では腹芸が苦手ではないこともあり、自分たちはラディアとパーティーを組んではいないと口にした男が嘘を付いていないと直ぐに解った。
「そう、か」
「ふふ、色々と納得がいかないような顔をしてるな。こちらとしては、納得は出来るが理解は出来なくもないといったところか……さて、ここでお前たちに良い情報を教えよう」
得意気な顔でこいつは何を語り始めるのだと、アラッドに対して若干のイラつきを感じるも、四人は黙って言葉の続きを待った。
「俺は、侯爵家の令息だ」
「なっ!!」
「そして、そっちの子は俺の弟。つまり、同じく侯爵家の令息だ」
人族、エルフ、竜人族、ハーフドワーフの四人組は全員平民出身ではあるが、若手の中では知識がある方で……侯爵家という存在が、貴族界の中で何番目に偉い地位に付いているのかぐらいは知っていた。
「こっちはこれまた他国のではあるが、伯爵家の令息。んで、こっちの上品な姉ちゃんは俺の実家の一個上、つまり公爵家の令嬢だ」
「「「「…………」」」」
押し黙る、しかない。
「そっちのアマゾネスの姉ちゃんは平民で、そっちの二人は良く知らないが、騎士として活動してる」
権力パンチのガトリング砲を食らい、彼らは無理に声を掛けた事を若干後悔し始めた。
それでも腹芸が苦手ではない赤髪のマッシュ男は、その焦りはギリギリ顔に出さずに済んでいた。
「解るぞ。冒険者として活動してるくせに、実家の権力パンチを使うなんてズルいぞ、って言いたい気持ちは解る。ただな………俺たちとしては、若干鬱陶しいんだ」
面と向かって鬱陶しいと、赤髪のマッシュ男たちに伝えたアラッドに、リエラは心の中で賞賛を送った。
「とはいえ、先程リエラ嬢が話した通り、お前たちには多少なりとも礼儀がある。俺が権力パンチを行ったからといって、当主になれない奴が冒険者として活動してるだけだろうが、っといった感じで怒鳴り散らかさなかったのも、ポイントが高い」
「…………一つ、あなたに質問しても良いか?」
「答えられることなら、構わないぞ」
「あなたは……本当に、俺たちと歳が近い、冒険者なのか」
もう何度も尋ねられてきた質問に対し、既に答えは用意していた。
「お前たちは、これまでの冒険者人生の間で、それなりに絡まれてきただろ」
「……そう、だな」
問いの意図を理解し、全員が軽く頷く。
「俺も同じだ。まだ冒険者として活動を始めて二年も経っていないが、形に差はあれど、面倒な奴らに絡まれてきた。そいつらとお前たちを比べれば……まだ、まともだ」
若干まともではない、そう言われていると受け取った四人の表情がほんの少し歪むも、失礼を承知で食事中の席に割って入った自覚はあった。
先程食らった権力パンチのダメージが抜けてないこともあり、実力以外の差はしっかりと覚えていた。
「ところで、一度はフラれたみたいだが、四人は……まだ、ラディア嬢の事が諦めきれてない様子だな」
ただ文句が、嫉妬だけがある用には思えず、そんなアラッドの考えは彼等にとって図星だった。
「正解だったか。確かに……一度程度では、と思うお前たちの気持ちも解らなくはない」
高嶺の華。
まさにラディアは冒険者たちの間でそういった存在であり、同性の冒険者も彼女に憧れを抱く者は少なくない。
「でも、止めておいた方が良い」
「諦めろ、と。そういうことか」
完全に、ポーカーフェイスが崩れた。
まだスティームやガルーレがいつでも動けるように構える段階ではないものの、表情や雰囲気は確実に変わった。
「直に手合わせしたわけではないが、お前たちがある程度強いのは解る。おそらく、四人がかりであればBランクのモンスターも倒せるだろう」
「…………」
「だが、ラディア嬢は単独でBランクのモンスターを葬ることが出来る。パーティーを組んだ方がメリット云々かんぬんも解らなくはないが、ラディア嬢にとって……お前たちがもしかしたら自分居るラインに届くかもしれない、それを合わせるメリットはないと思わないか」
実際に斬り結んだからこそ、アラッドには解る。
ラディアは現時点でAランクモンスターを単独で討伐出来る……可能性を持っている。
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