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七百六十二話 なんだかんだで
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「アラッド、告白というのは……アッシュを異性として見ている、という意味での告白で合ってるかい?」
「えぇ、その通りです」
「ほ、本当に本当に、本当なのかしらアラッド」
「本当です。本当なので、少し落ち着いてください、エリア母さん」
「ご、ごめんなさい」
親である二人から見て、アッシュの容姿はかなり整っていた。
それは二人だけではなく、兄であるアラッドも同じ感想である。
ただ、幼い頃からアラッドの錬金術師、製作者としての部分に強く憧れ、敬意を抱いており……早い段階で自分の進む道を決めた。
そして、それから他の事には無頓着になり、当然ながらお洒落なんて欠片も興味がない。
実際に言葉にはしなかったものの、アッシュは自分の礼服に使う金があるなら、錬金術に使える素材を買って欲しいと思っていた。
錬金術以外の事には無頓着だが、利発であるアッシュは口に出さなかったが……それが彼の本音である。
「女性として、男性であるアッシュに告白したのはナルターク王国の侯爵家の令嬢、リエラ・カルバトラ。現在の立場は高等部の三年生であり、向こうで行われた学生同士によるトーナメントの優勝者です」
「代表戦の選手を相手に選ばれたのは妥当だね」
「代表戦の試合こそアッシュが惜しまず奥の手を使って速攻で終わらせましたが、それでもトーナメントの優勝者に相応しい実力者です」
ナルターク王国の王都から離れる前日に行ったアラッドたちとの訓練……もとい、模擬戦なのか試合なのか解らない戦いばかりを行う会で、最初の試合こそガルーレに破れたが、二度目の試合にはきっちりリベンジを果たしていた。
「ふむ。アラッドがそう言うなら、実力は間違いないだろうね」
「容姿に関しても、アッシュの好み云々はさておき、世間一般的な意見を元に考えれば、十分過ぎる美人かと」
「本当に評価が高いね……それは、他の人の反応とかも込みで、ということかな?」
「はい、その通りです」
リエラがアッシュに恋愛的な意味で告白したという話は……まだナルターク王国でも大々的には広まっていないものの、あの場には代表戦の関係者以外の者もチラホラといた。
そう簡単に世間話として話して良い内容ではないと解っていても……人間、どこで口が滑ってしまうか解らない。
王城内にいた騎士が偶にアッシュに向けて嫉妬の視線を向けていたことを考えれば、貴族の間でもトップクラスでモテているのは間違いない。
「それで、一応訊くけど、アッシュはどういった対応を取ったのかな」
「考え込むことなく、その場で断りました」
「「………………」」
目に見えて落ち込むフールとエリア。
フールは結婚だけが幸せの形ではないとは思っている。
ただ、エリアはアッシュの将来を考えて……無理矢理家柄的に合う人をとは考えていなかったが、彼を支えてくれる良い人と息子が出会ってくれればと願っていた。
だが……そんな相手を、息子自身がその場で断ってしまった。
落ち込むな、という方が無理である。
「アッシュはこう……やっぱり興味がないんだろうね」
「みたいですね。ただ、錬金術について話せる人、理解がある人であれば多少の興味は持つ。その点を考えれば、多少の興味を持つだけで最終的に好きにならずとも、そういった存在がいることに対して、心の底から嫌だと思うことはないかと」
「なる、ほど………………つまり、形だけ用意してしまえば、割とアッシュは文句を言わない、と」
「可能性としての話ですが、俺は割とイメージ出来ます」
告白を断るも、一言もしゃべりたくない程リエラの事を嫌っている様には見えず、それはアラッドだけではなくスティームやガルーレも共通認識だった。
「……断られても、そのリエラさんはアッシュに好意を持ち続けてるんだよね」
「そうですね。王都の観光案内をしてくれたのですが、積極的に話しかけてました」
「…………エリア、どう思う」
「私としては、リエラさんの気持ちが変わっていないのであれば、是非ともと思うけど……やっぱり、アッシュの気持ちは無視したくないのよね」
良い母親だな~~と思いつつ、アラッドはここだけ忘れなければ大丈夫という内容を伝えた。
「エリア母さん、おそらくという考えになってしまいますけど、アッシュの自由を奪わなければ、そこまで大きな問題にはならないかと」
「アッシュの、自由……錬金術を行う時間、ということかしら」
「はい。アッシュにとって、最優先はそこです。エリア母さんも、アッシュとシルフィーの初の大喧嘩を覚えてるでしょう」
「ありましたね、そんな事も…………あの時は、本当に驚かされましたわ」
「俺もです。とにかく、それぐらいアッシュにとって錬金術が生きる上で最優先事項です。ただ、アッシュにも人の心がないわけではないため、正直夫婦生活が思いっきり破綻することはないと思います」
とにかく、アラッドから見て悪い機会とは思えなかった。
決して……自分の初体験が歳上女性だったからといって、弟にも歳上の女性が合うだろうと思った訳ではない。
「えぇ、その通りです」
「ほ、本当に本当に、本当なのかしらアラッド」
「本当です。本当なので、少し落ち着いてください、エリア母さん」
「ご、ごめんなさい」
親である二人から見て、アッシュの容姿はかなり整っていた。
それは二人だけではなく、兄であるアラッドも同じ感想である。
ただ、幼い頃からアラッドの錬金術師、製作者としての部分に強く憧れ、敬意を抱いており……早い段階で自分の進む道を決めた。
そして、それから他の事には無頓着になり、当然ながらお洒落なんて欠片も興味がない。
実際に言葉にはしなかったものの、アッシュは自分の礼服に使う金があるなら、錬金術に使える素材を買って欲しいと思っていた。
錬金術以外の事には無頓着だが、利発であるアッシュは口に出さなかったが……それが彼の本音である。
「女性として、男性であるアッシュに告白したのはナルターク王国の侯爵家の令嬢、リエラ・カルバトラ。現在の立場は高等部の三年生であり、向こうで行われた学生同士によるトーナメントの優勝者です」
「代表戦の選手を相手に選ばれたのは妥当だね」
「代表戦の試合こそアッシュが惜しまず奥の手を使って速攻で終わらせましたが、それでもトーナメントの優勝者に相応しい実力者です」
ナルターク王国の王都から離れる前日に行ったアラッドたちとの訓練……もとい、模擬戦なのか試合なのか解らない戦いばかりを行う会で、最初の試合こそガルーレに破れたが、二度目の試合にはきっちりリベンジを果たしていた。
「ふむ。アラッドがそう言うなら、実力は間違いないだろうね」
「容姿に関しても、アッシュの好み云々はさておき、世間一般的な意見を元に考えれば、十分過ぎる美人かと」
「本当に評価が高いね……それは、他の人の反応とかも込みで、ということかな?」
「はい、その通りです」
リエラがアッシュに恋愛的な意味で告白したという話は……まだナルターク王国でも大々的には広まっていないものの、あの場には代表戦の関係者以外の者もチラホラといた。
そう簡単に世間話として話して良い内容ではないと解っていても……人間、どこで口が滑ってしまうか解らない。
王城内にいた騎士が偶にアッシュに向けて嫉妬の視線を向けていたことを考えれば、貴族の間でもトップクラスでモテているのは間違いない。
「それで、一応訊くけど、アッシュはどういった対応を取ったのかな」
「考え込むことなく、その場で断りました」
「「………………」」
目に見えて落ち込むフールとエリア。
フールは結婚だけが幸せの形ではないとは思っている。
ただ、エリアはアッシュの将来を考えて……無理矢理家柄的に合う人をとは考えていなかったが、彼を支えてくれる良い人と息子が出会ってくれればと願っていた。
だが……そんな相手を、息子自身がその場で断ってしまった。
落ち込むな、という方が無理である。
「アッシュはこう……やっぱり興味がないんだろうね」
「みたいですね。ただ、錬金術について話せる人、理解がある人であれば多少の興味は持つ。その点を考えれば、多少の興味を持つだけで最終的に好きにならずとも、そういった存在がいることに対して、心の底から嫌だと思うことはないかと」
「なる、ほど………………つまり、形だけ用意してしまえば、割とアッシュは文句を言わない、と」
「可能性としての話ですが、俺は割とイメージ出来ます」
告白を断るも、一言もしゃべりたくない程リエラの事を嫌っている様には見えず、それはアラッドだけではなくスティームやガルーレも共通認識だった。
「……断られても、そのリエラさんはアッシュに好意を持ち続けてるんだよね」
「そうですね。王都の観光案内をしてくれたのですが、積極的に話しかけてました」
「…………エリア、どう思う」
「私としては、リエラさんの気持ちが変わっていないのであれば、是非ともと思うけど……やっぱり、アッシュの気持ちは無視したくないのよね」
良い母親だな~~と思いつつ、アラッドはここだけ忘れなければ大丈夫という内容を伝えた。
「エリア母さん、おそらくという考えになってしまいますけど、アッシュの自由を奪わなければ、そこまで大きな問題にはならないかと」
「アッシュの、自由……錬金術を行う時間、ということかしら」
「はい。アッシュにとって、最優先はそこです。エリア母さんも、アッシュとシルフィーの初の大喧嘩を覚えてるでしょう」
「ありましたね、そんな事も…………あの時は、本当に驚かされましたわ」
「俺もです。とにかく、それぐらいアッシュにとって錬金術が生きる上で最優先事項です。ただ、アッシュにも人の心がないわけではないため、正直夫婦生活が思いっきり破綻することはないと思います」
とにかく、アラッドから見て悪い機会とは思えなかった。
決して……自分の初体験が歳上女性だったからといって、弟にも歳上の女性が合うだろうと思った訳ではない。
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