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七百六十八話 サンドバッグではない
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(っ…………くそ、くそ、くそくそくそくそくそっ!!!!!!!)
現在、青年の前には基本的にアラッドたちだけしかいないが、視線を動かせば……他の冒険者たちの表情も解る。
視線を移せない場所からも、自分に呆れや嘲笑の視線が向けられているのが、嫌でも解る。
「状況を理解してくれたみたいだな。仮に君が俺を殴り飛ばせていれば、あぁいった発言を出来るだけの力があったと証明は出来たかもしれない。まっ、俺以外の人物であれば、証明は出来ても牢屋に連れて行かれて、鉱山送りから犯罪奴隷になっていただろうが」
当然の事ながら、有り得ない話ではない。
そしてアラッドは……一応、今は丁寧に諭すように話しているが、逆鱗に触れれば……間違いなくそれ相応の罰を下す。
「世間一般的には、それが現実だ。貴族側に非があるのであればまだしも、俺はただ昼間から酒を呑んでいただけだ。本当にやったことがないのか? もし本当にないなら、是非やってみると良い。まさに罪の味と言える美味さだ」
その味を知っている冒険者たちは、ベテランやルーキーなど関係無く、激しく同意する。
「さて、それならどうすればダサい真似をせずに済むのか。それは非常に簡単だ。恵まれている貴族に対する闘争心……負けてたまるかという向上心を燃え上がらせ、ただ強くなることだけに集中すれば良いんだ」
当たり前過ぎる内容。
よくよく……深く考えずとも解る事である。
「貴族の令息、令嬢でありながら冒険者活動をしてる者よりも強くなる。それは冒険者なら、一応ランクで証明出来る。騎士と比べるのであれば、自分が……自分が所属するパーティーの功績で比較すれば良い」
ランク、功績。
どれも相手と自分を比較するには、一応適している内容である。
「それでも足りないというなら、騎士相手は少しあれだが、冒険者同士であれば模擬戦をしよう……もしくは、試合をしようと申し込めば良い。先程の挑発の言葉、使うのであれば相手が断った時。そのタイミングであれば……加えて結果次第であるが、適切な使い方と言える」
挑発してまで勝負し、クソボロ雑巾のように負けたのでは……今の青年の様にただただ恥ずかしい思いをするだけ。
しかし、そこで僅差であれど勝利を掴み取ることが出来れば、それは間違いなく強さの証明となる。
「君の友人が、家族が貴族の娯楽、理不尽な感情によって殺されたとかであれば、絶好の機会を逃すまいと殺しかかるのは……致し方ないと言えるかもしれないが、世の中そうはいかないんだ。だから、自分の方が上だと確かめたいのであれば、今俺が伝えた事を実践するのが一番だ」
「ッ………………」
非常に最もらしい内容であり、全ての反論を叩きのめす正論。
「加えて、これは個人的な感想ではあるが……貴族は、平民たちにとって何を言っても良いサンドバッグではないんだ」
恵まれている? 有名税?
そんなもの、一切関係無い。
今こうしてただのバカ過ぎるバカを優しく諭してはいるが、アラッドも多少のイラつきはある。
「悪くて理不尽でゴミみたいなことをしてるならまだしも、だ……俺はただ、冒険者として生きてるだけだぞ」
アラッドを幼い頃から知っている冒険者たちであれば、その言葉を…………誰よりもすんなりと受け入れられ、納得出来る。
冒険者になる前から冒険者の様な生活を送り、来る日も来る日も訓練と実戦を続けていた。
「本来なら、こうしてわざわざ丁寧に拘束して、世の中の真実を君に伝える必要もなく……手足の骨をボキボキと折って、ギルドの外に投げ捨てても良いんだ」
いきなり恐ろしい内容が呟かれ、幾人かの冒険者たちはつま先から頭まで震えあがった。
「なんで、それをしねぇ」
「そうだな………………まず、君があぁいった挑発を俺にするほど、強くはない」
青年は相変わらず怒りと恥ずかしさでぷるぷると震えているが、自分の現状から……アラッドの強くないという言葉は、受け入れるしかない。
「君がある程度、俺の興味を引くような強さを持っていれば、その挑発に乗って戦っても良かった。だが、俺から見て君はわざわざ真面目に戦うほどの価値を感じない。ルーキーの中では強い方だとは思うが、それでも本当に強い……俺の仲間たちと比べれば、本当の修羅場を経験したことがないひよこ、といったところか」
「ッ!!!!!!」
再度沸点を速攻で越えて怒りが爆発する青年と、本当に強い仲間と称され……嬉しさでニヤニヤとした笑みを浮かべてしまうスティームとガルーレ。
「ウザいか? それとも信じられないって思いの方が強いか? だが、事実だ。本当の修羅場を経験した奴が全力の怒気を、戦意を向けてきたのであれば、多少なりとも俺の食指が動く」
「だったら……だったら!!!!! どうすりゃ良いってんだよ!!!!!!!!!!!」
先程までの怒鳴り声とは違い……微かな悲痛さが、そこには混ざっていた。
「おい、俺の話をちゃんと聞いていたのか? 君は…………本気で貴族の令息や令嬢よりも強くなろうと、時間を……思考力を、情熱を使ったのか? そもそもな話に戻ってしまうが、本気で強くなりたい思い、実行してる人間は寧ろ俺にアドバイスを求める」
これは例え話ではなく、実際にアラッドが出会った男の話である。
「プライドがない? 越えてやると誓ったくせに、貴族に頼るのか? そんな疑問が湧くのは当然かもしれないが、本当に強くなりたい奴は……良い意味で、手段を選ばない。クスリとか、そういうバカな物に頼らず、な」
言いたい事を言い終え、アラッドは糸による拘束を解除した。
現在、青年の前には基本的にアラッドたちだけしかいないが、視線を動かせば……他の冒険者たちの表情も解る。
視線を移せない場所からも、自分に呆れや嘲笑の視線が向けられているのが、嫌でも解る。
「状況を理解してくれたみたいだな。仮に君が俺を殴り飛ばせていれば、あぁいった発言を出来るだけの力があったと証明は出来たかもしれない。まっ、俺以外の人物であれば、証明は出来ても牢屋に連れて行かれて、鉱山送りから犯罪奴隷になっていただろうが」
当然の事ながら、有り得ない話ではない。
そしてアラッドは……一応、今は丁寧に諭すように話しているが、逆鱗に触れれば……間違いなくそれ相応の罰を下す。
「世間一般的には、それが現実だ。貴族側に非があるのであればまだしも、俺はただ昼間から酒を呑んでいただけだ。本当にやったことがないのか? もし本当にないなら、是非やってみると良い。まさに罪の味と言える美味さだ」
その味を知っている冒険者たちは、ベテランやルーキーなど関係無く、激しく同意する。
「さて、それならどうすればダサい真似をせずに済むのか。それは非常に簡単だ。恵まれている貴族に対する闘争心……負けてたまるかという向上心を燃え上がらせ、ただ強くなることだけに集中すれば良いんだ」
当たり前過ぎる内容。
よくよく……深く考えずとも解る事である。
「貴族の令息、令嬢でありながら冒険者活動をしてる者よりも強くなる。それは冒険者なら、一応ランクで証明出来る。騎士と比べるのであれば、自分が……自分が所属するパーティーの功績で比較すれば良い」
ランク、功績。
どれも相手と自分を比較するには、一応適している内容である。
「それでも足りないというなら、騎士相手は少しあれだが、冒険者同士であれば模擬戦をしよう……もしくは、試合をしようと申し込めば良い。先程の挑発の言葉、使うのであれば相手が断った時。そのタイミングであれば……加えて結果次第であるが、適切な使い方と言える」
挑発してまで勝負し、クソボロ雑巾のように負けたのでは……今の青年の様にただただ恥ずかしい思いをするだけ。
しかし、そこで僅差であれど勝利を掴み取ることが出来れば、それは間違いなく強さの証明となる。
「君の友人が、家族が貴族の娯楽、理不尽な感情によって殺されたとかであれば、絶好の機会を逃すまいと殺しかかるのは……致し方ないと言えるかもしれないが、世の中そうはいかないんだ。だから、自分の方が上だと確かめたいのであれば、今俺が伝えた事を実践するのが一番だ」
「ッ………………」
非常に最もらしい内容であり、全ての反論を叩きのめす正論。
「加えて、これは個人的な感想ではあるが……貴族は、平民たちにとって何を言っても良いサンドバッグではないんだ」
恵まれている? 有名税?
そんなもの、一切関係無い。
今こうしてただのバカ過ぎるバカを優しく諭してはいるが、アラッドも多少のイラつきはある。
「悪くて理不尽でゴミみたいなことをしてるならまだしも、だ……俺はただ、冒険者として生きてるだけだぞ」
アラッドを幼い頃から知っている冒険者たちであれば、その言葉を…………誰よりもすんなりと受け入れられ、納得出来る。
冒険者になる前から冒険者の様な生活を送り、来る日も来る日も訓練と実戦を続けていた。
「本来なら、こうしてわざわざ丁寧に拘束して、世の中の真実を君に伝える必要もなく……手足の骨をボキボキと折って、ギルドの外に投げ捨てても良いんだ」
いきなり恐ろしい内容が呟かれ、幾人かの冒険者たちはつま先から頭まで震えあがった。
「なんで、それをしねぇ」
「そうだな………………まず、君があぁいった挑発を俺にするほど、強くはない」
青年は相変わらず怒りと恥ずかしさでぷるぷると震えているが、自分の現状から……アラッドの強くないという言葉は、受け入れるしかない。
「君がある程度、俺の興味を引くような強さを持っていれば、その挑発に乗って戦っても良かった。だが、俺から見て君はわざわざ真面目に戦うほどの価値を感じない。ルーキーの中では強い方だとは思うが、それでも本当に強い……俺の仲間たちと比べれば、本当の修羅場を経験したことがないひよこ、といったところか」
「ッ!!!!!!」
再度沸点を速攻で越えて怒りが爆発する青年と、本当に強い仲間と称され……嬉しさでニヤニヤとした笑みを浮かべてしまうスティームとガルーレ。
「ウザいか? それとも信じられないって思いの方が強いか? だが、事実だ。本当の修羅場を経験した奴が全力の怒気を、戦意を向けてきたのであれば、多少なりとも俺の食指が動く」
「だったら……だったら!!!!! どうすりゃ良いってんだよ!!!!!!!!!!!」
先程までの怒鳴り声とは違い……微かな悲痛さが、そこには混ざっていた。
「おい、俺の話をちゃんと聞いていたのか? 君は…………本気で貴族の令息や令嬢よりも強くなろうと、時間を……思考力を、情熱を使ったのか? そもそもな話に戻ってしまうが、本気で強くなりたい思い、実行してる人間は寧ろ俺にアドバイスを求める」
これは例え話ではなく、実際にアラッドが出会った男の話である。
「プライドがない? 越えてやると誓ったくせに、貴族に頼るのか? そんな疑問が湧くのは当然かもしれないが、本当に強くなりたい奴は……良い意味で、手段を選ばない。クスリとか、そういうバカな物に頼らず、な」
言いたい事を言い終え、アラッドは糸による拘束を解除した。
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