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七百七十一話 変過ぎてしまう
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「………………その力は、スキルではないのよね」
代表戦で行われたアッシュの戦いっぷり、アッシュ本人から聞いた内容を全て伝え終えた。
「えぇ。本人が覗いても構わないと言われ、覗きましたが、それらしいスキルはありませんでした」
「そう……」
リーナは、アラッドがアッシュと仲が良いことを知っている。
もしやと一瞬だけ思ったが、わざわざ隠すメリットがない。
冷静に判断し、大きなため息を吐いた。
「本当に……凄い子ね」
「俺も同じ意見です」
「限界を超えた力を自力で、無理矢理引き出す、か…………あの子は、本当に戦いの道には進まないのよね」
「色々と話を聞いた限りでは。仮にその道に進むとしても、強さを求めてということはないかと」
リーナもそれなりに魔法の腕を持ち、そこら辺のモンスターであれば、自力で討伐することが可能。
全く戦闘に関して無知、解っていない訳ではないため、自身の限界を超えた力を無理矢理引き出すというのが、どれほど恐ろしく……普通に考えてあり得ない力のか理解している。
「そう。それは、良かったわ…………ねぇ、仮に……そうね。ドラングが学園を卒業した時、つまりアッシュが高等部に上がったタイミングの状態で戦ったら、どうなると思う」
「……アッシュの状況次第、といったところでしょうか。何も懸かってない戦いであればドラングに分があると思いますけど、今回の様に何かしら報酬を用意されているとなれば……本気でどう勝つかを考えて戦うでしょう」
「本気になったアッシュに、ドラングは勝てないと」
「今年、ドラングがトーナメントで優勝していれば、まだ俺の考えも違ったかもしれません。勿論、卒業するまで……上がるまでの過ごし方によって色々と変わるとは思いますが、現段階では……アッシュに分がある様に思えます」
現段階ではドラングの方が体が大きいものの、アッシュは決して小さくはなく、細身ではあるが身長は平均よりも上。
今以降、成長が止まる予定もないため、約一年半後……少なくとも身長に関してはどう程度になってる可能性が高い。
「とはいえ、あの件さえ知らなければ、ドラングがアッシュに対してあれこれ思うことはなく、悩むことはないでしょう。あいつの最終的な目標は父さんを越える事。そして……その前に、俺を倒すことなので」
「そうね……そこはブレないでしょうね」
息子の向上心が何処に向いてるかは、重々把握してるリーナ。
(あの子の第一目標? は、アラッドを倒す事。アラッドを……倒す………………あぁ、頭痛くなってきたわ)
屋敷に居れば、度々アラッドの活躍話が耳に入ってくる。
元々アラッドに関しても普通ではないと理解はしていたが、つい……思ってしまう。
父親であるフールを越えることを目標にする意味はあっても、この目の前にいる、自分と喋っている子もまた並みの天才を寄せ付けない強者……覇者なのだと。
「……ねぇ、アラッド。私があの子に無理しない欲しいと思う気持ちは、我儘かしら」
「………………ドラングと血の繋がった母であるリーナ母さんであれば、至極当然の思いかと」
我儘などではない。
親であれば、そう思ってしまうのが必然。
しかし、子は親のロボットではない。
「しかし、ドラングの気持ちはドラングにしか解らず、誰かに止められたからといって、そう簡単に止まるとは思えません」
母親であるリーナは、容易に自分が先程口にした言葉をドラングに伝えても、直ぐに反論されてしまう光景がイメージ出来てしまった。
(応援するしか、ないのね)
色々と教えてくれてありがとうと伝えられ、アラッドは部屋から出てスティームたちがいる場所へと向かう。
(色々と悩んでいたな……まぁ、無理もないか)
ぶっ倒そうとしている相手が、まず色々とおかしい。
そこに、後方にいる人物も色々とおかしい過ぎるという事実が発覚。
(しかし、仮にドラングがアッシュの本当の強さに気付いた場合……予想していた通り、ひとまず勝負を挑んでしまうか?)
身内にアッシュの様な存在がいれば、否が応でも気にしてしまう。
だが、アッシュとドラングは特に不仲というわけではない。
二人はそもそも殆ど話したことがなく、本人たちもあまり兄弟という意識が薄い。
(俺とドラングの場合は、誕生した月が違うとはいえ、同じ年に生まれた同世代。一番ライバルに思える相手。で、そんな俺が………………うん、冷たい態度を取っていた。あの頃も、先日の絡んできた若手と対峙した時の様な対応をするべきだったが…………いや待て。確かにそこそこ冷たい態度を取ってたかもしれないけど、なんと言うか、あの歳頃に今みたいな態度を取ってたら、間違いなく変過ぎるよな)
当時は当時、アラッドはこの世界での実年齢、外見を考えれば、十分変であった。
しかし、本人が思った通り、当時の歳頃で若者はこうだよな、幼い子供はそういった態度を取ってしまうよな……といった反応を見せていれば……更に変であり、誰かが生まれながらにして仙人なのか? と勘違いしてもおかしくなかった。
代表戦で行われたアッシュの戦いっぷり、アッシュ本人から聞いた内容を全て伝え終えた。
「えぇ。本人が覗いても構わないと言われ、覗きましたが、それらしいスキルはありませんでした」
「そう……」
リーナは、アラッドがアッシュと仲が良いことを知っている。
もしやと一瞬だけ思ったが、わざわざ隠すメリットがない。
冷静に判断し、大きなため息を吐いた。
「本当に……凄い子ね」
「俺も同じ意見です」
「限界を超えた力を自力で、無理矢理引き出す、か…………あの子は、本当に戦いの道には進まないのよね」
「色々と話を聞いた限りでは。仮にその道に進むとしても、強さを求めてということはないかと」
リーナもそれなりに魔法の腕を持ち、そこら辺のモンスターであれば、自力で討伐することが可能。
全く戦闘に関して無知、解っていない訳ではないため、自身の限界を超えた力を無理矢理引き出すというのが、どれほど恐ろしく……普通に考えてあり得ない力のか理解している。
「そう。それは、良かったわ…………ねぇ、仮に……そうね。ドラングが学園を卒業した時、つまりアッシュが高等部に上がったタイミングの状態で戦ったら、どうなると思う」
「……アッシュの状況次第、といったところでしょうか。何も懸かってない戦いであればドラングに分があると思いますけど、今回の様に何かしら報酬を用意されているとなれば……本気でどう勝つかを考えて戦うでしょう」
「本気になったアッシュに、ドラングは勝てないと」
「今年、ドラングがトーナメントで優勝していれば、まだ俺の考えも違ったかもしれません。勿論、卒業するまで……上がるまでの過ごし方によって色々と変わるとは思いますが、現段階では……アッシュに分がある様に思えます」
現段階ではドラングの方が体が大きいものの、アッシュは決して小さくはなく、細身ではあるが身長は平均よりも上。
今以降、成長が止まる予定もないため、約一年半後……少なくとも身長に関してはどう程度になってる可能性が高い。
「とはいえ、あの件さえ知らなければ、ドラングがアッシュに対してあれこれ思うことはなく、悩むことはないでしょう。あいつの最終的な目標は父さんを越える事。そして……その前に、俺を倒すことなので」
「そうね……そこはブレないでしょうね」
息子の向上心が何処に向いてるかは、重々把握してるリーナ。
(あの子の第一目標? は、アラッドを倒す事。アラッドを……倒す………………あぁ、頭痛くなってきたわ)
屋敷に居れば、度々アラッドの活躍話が耳に入ってくる。
元々アラッドに関しても普通ではないと理解はしていたが、つい……思ってしまう。
父親であるフールを越えることを目標にする意味はあっても、この目の前にいる、自分と喋っている子もまた並みの天才を寄せ付けない強者……覇者なのだと。
「……ねぇ、アラッド。私があの子に無理しない欲しいと思う気持ちは、我儘かしら」
「………………ドラングと血の繋がった母であるリーナ母さんであれば、至極当然の思いかと」
我儘などではない。
親であれば、そう思ってしまうのが必然。
しかし、子は親のロボットではない。
「しかし、ドラングの気持ちはドラングにしか解らず、誰かに止められたからといって、そう簡単に止まるとは思えません」
母親であるリーナは、容易に自分が先程口にした言葉をドラングに伝えても、直ぐに反論されてしまう光景がイメージ出来てしまった。
(応援するしか、ないのね)
色々と教えてくれてありがとうと伝えられ、アラッドは部屋から出てスティームたちがいる場所へと向かう。
(色々と悩んでいたな……まぁ、無理もないか)
ぶっ倒そうとしている相手が、まず色々とおかしい。
そこに、後方にいる人物も色々とおかしい過ぎるという事実が発覚。
(しかし、仮にドラングがアッシュの本当の強さに気付いた場合……予想していた通り、ひとまず勝負を挑んでしまうか?)
身内にアッシュの様な存在がいれば、否が応でも気にしてしまう。
だが、アッシュとドラングは特に不仲というわけではない。
二人はそもそも殆ど話したことがなく、本人たちもあまり兄弟という意識が薄い。
(俺とドラングの場合は、誕生した月が違うとはいえ、同じ年に生まれた同世代。一番ライバルに思える相手。で、そんな俺が………………うん、冷たい態度を取っていた。あの頃も、先日の絡んできた若手と対峙した時の様な対応をするべきだったが…………いや待て。確かにそこそこ冷たい態度を取ってたかもしれないけど、なんと言うか、あの歳頃に今みたいな態度を取ってたら、間違いなく変過ぎるよな)
当時は当時、アラッドはこの世界での実年齢、外見を考えれば、十分変であった。
しかし、本人が思った通り、当時の歳頃で若者はこうだよな、幼い子供はそういった態度を取ってしまうよな……といった反応を見せていれば……更に変であり、誰かが生まれながらにして仙人なのか? と勘違いしてもおかしくなかった。
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