847 / 1,361
八百四十六話 上の人に
しおりを挟む
「ワイバーンにとって風竜は一応上位種? にあたるから、教えられたら渋々かもしれないけど、実行してもおかしくないか~~……って、どうしたのよ、スティーム。そんな深刻そうな顔してさ」
「…………アラッド。最悪を想定するなら、その群れは、もっと大きくなるよね」
モンスターについてそこまで詳しい知識は持っていないスティーム。
だが、人間という一つの種族と言えど、見た目や特徴が違う人族、エルフ、ドワーフたちなどが同じ言葉で話せている様に、大抵のモンスターは種族が違うと言えど、ある程度意思疎通が出来る。
理由は解らないが……意思疎通が取れてしまうのだ。
「……そうだな。これは俺の憶測でしかないが、もしかしたら既にスティームが考えた最悪の想定まで進んでるかもしれない」
「……ねぇねぇ。バカな私にも解るように説明してよ~~」
「すまん。まず、俺の憶測では、風竜がワイバーンたちに効率的な人間の狩り方を教えてる。そして、スティームはそれが本当なら、最終的に風竜は同じ竜種ではないモンスターにもその方法を教え始めるんじゃないかと考えたんだ」
「あれだね、益々アラッドみたいな事をするね」
「あくまで想像の話だがな」
そう……アラッドの言う通り、これはあくまで創造の話。
まだワイバーンたちがヒット&アウェイ戦法で上手く冒険者たちを殺しているのは、偶々その方法の方が良いと思っただけかもしれない。
ただ、風竜がある程度知恵を持っていると知っている二人からすれば、普通はあり得ないと思える内容も、決して想像が膨らみ過ぎただけと笑い飛ばすことは出来なかった。
「ふ~~~ん…………でも、確かにモンスターが人間みたいに頭を使って戦うようになったら、結構ヤバそうというか……うん、ヤバいね」
ようやくガルーレはスティームが辿り着いた最悪の想定を理解出来た。
アラッド並に……もしくはアラッド以上に熱い戦いが好きなガルーレにとって、技術力がある、上手い戦いが出来るモンスターとの戦闘は、それはそれであり。
しかし、大勢の冒険者たちにとっては、声を大にしてふざけるなと怒鳴り散らしたい。
「もしそうなったら、私たちはともかく、同業者たちは……ヤバいよねぇ~~~」
非常に同業者たちに向けて喧嘩を売る言葉ではあるが、大半の冒険者たちは発言者がBランクモンスターソロで討伐出来るガルーレということもあり、不満を感じたとしても反論出来ない。
「……ねぇ、アラッド。風竜の件、一応ギルドにも報告しておいた方が良いんじゃないかな」
「……………………そうだな。まだ関係性は不明だが、ワイバーンによる被害は出てる。俺たち自身が手掛かりを掴めてない以上、情報共有をしないという選択肢はなしだな」
三人の内、二人は強者との戦闘ウェルカムタイプの冒険者ではあるが、決して人間性が大幅に欠落して、他人に迷惑を掛けても全然構わないというスタンスで活動してはいない。
この後、夕食を食べ終えたアラッドは洋紙に自分たちが持ってる情報、加えて現状から推察できる内容を記し、翌日ギルドの受付嬢に「上の人間に渡してほしい」と伝えて渡した。
(当たり前だけど、上の人間に渡してほしいってことは、私へのラブレターとかじゃないよね~)
冒険者ギルドでアラッドから、あまり一目が向いてないところで手紙を渡された受付嬢。
冒険者が受付嬢に手紙を渡すことなど、基本的にラブレターを渡す時しかない。
受付嬢たちから見て、アラッドという人間は非常に……文字通り喉から手が出るほど欲しい優良物件。
アラッドと夫婦関係を結べるのであれば、第二夫人や第三夫人といった側室でも構わないと思っている者も多い。
当然……アラッドがそういった特に中身のない女性たちに興味を持つことはない。
加えて、今回の手紙は上の人間に渡してほしいと伝えられた物。
そこら辺のDランク冒険者やCランク冒険者であればまだしも、あのアラッドがわざわざ手紙と封筒を用意して渡してきた。
よっぽどの馬鹿、阿呆でなければそれがどれだけ重要な物か理解出来る。
「どうぞ」
「失礼しま~す」
ノック後、入室が許可され、受付嬢は上司がいる部屋に入り、直ぐに要件を伝えた。
「これ、あのアラッドさんから渡された手紙です」
「ふむ? あなたに個人的に渡された手紙ではなく?」
「だったら良かったんですけどね~~。でも、きっちりその手紙を上の人に渡してほしいと言われました」
「そう……ありがとう。ご苦労様」
上司の女性は銀貨を一枚弾いて渡し、受付嬢は失礼しますと礼儀良く退室。
(上の人に渡してほしいと、わざわざ口にして渡した手紙……)
封を開ける彼女の心音は、彼女の意識とは無関係に早まっていた。
「…………………………………………………………ふぅーーーーーーーーー」
じっくりと見逃しが内容に、アラッドから渡された手紙を読み終えた受付嬢たちの上司。
(…………読まなければ良かった、なんて考えるのは冒険者ギルドの組織の人間として、ダメですね)
寧ろ、アラッドが手紙に書かれている様な内容を共有してくれたことに感謝しなければならない。
それは解っているものの、厄介な爆弾が生まれたことに対し、彼女は耐え切れず大きなため息を吐いてしまった。
「…………アラッド。最悪を想定するなら、その群れは、もっと大きくなるよね」
モンスターについてそこまで詳しい知識は持っていないスティーム。
だが、人間という一つの種族と言えど、見た目や特徴が違う人族、エルフ、ドワーフたちなどが同じ言葉で話せている様に、大抵のモンスターは種族が違うと言えど、ある程度意思疎通が出来る。
理由は解らないが……意思疎通が取れてしまうのだ。
「……そうだな。これは俺の憶測でしかないが、もしかしたら既にスティームが考えた最悪の想定まで進んでるかもしれない」
「……ねぇねぇ。バカな私にも解るように説明してよ~~」
「すまん。まず、俺の憶測では、風竜がワイバーンたちに効率的な人間の狩り方を教えてる。そして、スティームはそれが本当なら、最終的に風竜は同じ竜種ではないモンスターにもその方法を教え始めるんじゃないかと考えたんだ」
「あれだね、益々アラッドみたいな事をするね」
「あくまで想像の話だがな」
そう……アラッドの言う通り、これはあくまで創造の話。
まだワイバーンたちがヒット&アウェイ戦法で上手く冒険者たちを殺しているのは、偶々その方法の方が良いと思っただけかもしれない。
ただ、風竜がある程度知恵を持っていると知っている二人からすれば、普通はあり得ないと思える内容も、決して想像が膨らみ過ぎただけと笑い飛ばすことは出来なかった。
「ふ~~~ん…………でも、確かにモンスターが人間みたいに頭を使って戦うようになったら、結構ヤバそうというか……うん、ヤバいね」
ようやくガルーレはスティームが辿り着いた最悪の想定を理解出来た。
アラッド並に……もしくはアラッド以上に熱い戦いが好きなガルーレにとって、技術力がある、上手い戦いが出来るモンスターとの戦闘は、それはそれであり。
しかし、大勢の冒険者たちにとっては、声を大にしてふざけるなと怒鳴り散らしたい。
「もしそうなったら、私たちはともかく、同業者たちは……ヤバいよねぇ~~~」
非常に同業者たちに向けて喧嘩を売る言葉ではあるが、大半の冒険者たちは発言者がBランクモンスターソロで討伐出来るガルーレということもあり、不満を感じたとしても反論出来ない。
「……ねぇ、アラッド。風竜の件、一応ギルドにも報告しておいた方が良いんじゃないかな」
「……………………そうだな。まだ関係性は不明だが、ワイバーンによる被害は出てる。俺たち自身が手掛かりを掴めてない以上、情報共有をしないという選択肢はなしだな」
三人の内、二人は強者との戦闘ウェルカムタイプの冒険者ではあるが、決して人間性が大幅に欠落して、他人に迷惑を掛けても全然構わないというスタンスで活動してはいない。
この後、夕食を食べ終えたアラッドは洋紙に自分たちが持ってる情報、加えて現状から推察できる内容を記し、翌日ギルドの受付嬢に「上の人間に渡してほしい」と伝えて渡した。
(当たり前だけど、上の人間に渡してほしいってことは、私へのラブレターとかじゃないよね~)
冒険者ギルドでアラッドから、あまり一目が向いてないところで手紙を渡された受付嬢。
冒険者が受付嬢に手紙を渡すことなど、基本的にラブレターを渡す時しかない。
受付嬢たちから見て、アラッドという人間は非常に……文字通り喉から手が出るほど欲しい優良物件。
アラッドと夫婦関係を結べるのであれば、第二夫人や第三夫人といった側室でも構わないと思っている者も多い。
当然……アラッドがそういった特に中身のない女性たちに興味を持つことはない。
加えて、今回の手紙は上の人間に渡してほしいと伝えられた物。
そこら辺のDランク冒険者やCランク冒険者であればまだしも、あのアラッドがわざわざ手紙と封筒を用意して渡してきた。
よっぽどの馬鹿、阿呆でなければそれがどれだけ重要な物か理解出来る。
「どうぞ」
「失礼しま~す」
ノック後、入室が許可され、受付嬢は上司がいる部屋に入り、直ぐに要件を伝えた。
「これ、あのアラッドさんから渡された手紙です」
「ふむ? あなたに個人的に渡された手紙ではなく?」
「だったら良かったんですけどね~~。でも、きっちりその手紙を上の人に渡してほしいと言われました」
「そう……ありがとう。ご苦労様」
上司の女性は銀貨を一枚弾いて渡し、受付嬢は失礼しますと礼儀良く退室。
(上の人に渡してほしいと、わざわざ口にして渡した手紙……)
封を開ける彼女の心音は、彼女の意識とは無関係に早まっていた。
「…………………………………………………………ふぅーーーーーーーーー」
じっくりと見逃しが内容に、アラッドから渡された手紙を読み終えた受付嬢たちの上司。
(…………読まなければ良かった、なんて考えるのは冒険者ギルドの組織の人間として、ダメですね)
寧ろ、アラッドが手紙に書かれている様な内容を共有してくれたことに感謝しなければならない。
それは解っているものの、厄介な爆弾が生まれたことに対し、彼女は耐え切れず大きなため息を吐いてしまった。
710
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
私は……何も知らなかった……それだけなのに……
#Daki-Makura
ファンタジー
第2王子が獣人の婚約者へ婚約破棄を叩きつけた。
しかし、彼女の婚約者は、4歳年下の弟だった。
そう。第2王子は……何も知らなかった……知ろうとしなかっただけだった……
※ゆるい設定です。ゆるく読んでください。
※AI校正を使わせてもらっています。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る
丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。
目覚めた先は、近江・長浜城。
自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。
史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。
そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。
「この未来だけは、変える」
冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。
これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。
「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。
※小説家になろうにも投稿しています。
世界最弱と呼ばれた少年、気づけば伝説級勇者でした ~追放されたので気ままに旅してたら、全種族の姫たちに囲まれていました~
fuwamofu
ファンタジー
魔力量ゼロの落ちこぼれとして勇者パーティを追放された少年リアン。
絶望の果てに始めた自由な旅の中で、偶然助けた少女たちが次々と彼に惹かれていく。
だが誰も知らない。彼こそが古代勇者の血を継ぎ、世界を滅ぼす運命の「真なる勇者」だということを──。
無自覚最強の少年が、世界を変える奇跡を紡ぐ異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる