869 / 1,361
八百六十八話 事前にガード
しおりを挟む
「ウキャッキャ! ホキャキャキャキャ!!!」
「ヌウウウウウアアアアアアアアッ!!!!」
炎を纏う大剣を力の限り振り回すソルに対し、余裕を取り戻したヴァジュラはケラケラと笑いながら躱していく。
当初、急激に上がったソルの身体能力には、確かに驚かされた。
放つ殺気の質も、これまで対峙してきた人間のものではなかった。
ただ……殺気に関しては、これまでに本気で自分を殺しにきたモンスターのものと同じだと把握。
加えて、身体能力が大幅に上がった分、技術力が落ちている。
ハヌーマ、ハヌマーンの厄介なところはナチュラルに敵対者を煽る才ではなく、対人戦に関する技術力の高さ。
ソルの身体能力の上昇幅には驚かされたものの、それは決して野性の勘に頼らなければならない程のものではなかった。
そして、先程から試合当初は少し面倒だなと思っていた連携が、全く上手くいってない。
殆どソルが前に前に出て大剣を振るっているだけ。
もう、これ以上遊べる要素はなさそうだ。
そうヴァジュラが思った時……一つの攻撃魔法が飛来。
「ウキャ?」
だが、その攻撃はヴァジュラに向けて放たれたものではなく、ソルに向けられて放たれた攻撃であった。
一人だけ暴走した仲間に向けられた、怒りの攻撃?
そんな考えが一瞬だけ浮かぶも、ヴァジュラは直ぐにその考えを捨て去った。
「ハァアアアアアアア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!」
後方のルーナが放ったウィンドジャベリンは、ソルの体ではなく、炎を纏っている大剣に命中。
普通なら、直撃した瞬間に大剣が弾かれ、大き過ぎる隙が生まれてしまう。
しかし、ウィンドジャベリンがソルの大剣に当たった瞬間、弾いたりソルの体を揺らすことはなく……一瞬にして大剣を纏っていた炎と混ざり合い、更に高火力な炎を生み出した。
「ッ! ウ、キャオ!!!!」
止めとけば良かった。
ヴァジュラの反応速度であれば、その一撃を躱すことが出来た。
もし食らえば、割と余裕が消えてしまうほどのダメージを受けてしまう。
それが解っていながら……ヴァジュラが取った選択は回避ではなく、相殺だった。
「「ッ!!!!!!!!!」」
二人の攻撃がぶつかり合った瞬間、訓練場に……ギルドのロビーにまで聞こえる衝撃音が発生。
多くの者たちが顔をしかめながら耳を両手で塞ぐも、なんとなくヴァジュラなら避けないだろうと思っていたアラッドは、他の者たちよりも早く耳を塞いだお陰でノーダメージだった。
(ルーナって奴……本当に戦況を良く見てたな)
ルーナはただソルの大剣目掛けてウィンドジャベリンを払ったのではなく、タイミング的にはこれ以上ないぐらいジャストな瞬間を狙って放った。
反応速度が高いヴァジュラであれば躱せるが、他のBランクモンスターが相手であれば……避けられず、勝負を決める一撃となっていた可能性が十分にある。
(後衛の中でも、相当レベルが高いな…………あんまり、がっつり後衛として本気で戦ってるところを見てないから断言は出来ないが、後衛としての技量は、ヴェーラに迫るか?)
ヴェーラ・グスタフは、アラッドが同世代の中で一番優秀な魔法使いは誰かと問われれば、真っ先に名前を上げる友人。
その実力は数歳程度の差など無意味。
そんなヴェーラと技量だけであれば迫るかもしれないという言葉は、アラッドにしては中々の称賛だった。
「…………まぁ、それでも、もう終わりだな」
轟炎を纏った大剣と魔力を纏う棒が激突した結果……勝者は、轟炎を纏った大剣だった。
だが、それはただ押し切っただけであり、ヴァジュラの体は後方に押し飛ばされるも、体勢を崩すことはなかった。
「ハアアアアア゛ア゛ア゛っ!!!!???? ッ」
一撃の攻撃力は上がったとしても、それは所詮攻撃力の話。
ソルの身体能力そのものが上がった訳ではないため、攻撃の軌道は相変わらず読みやすく、まだ素早さはヴァジュラの方が上回っていた。
その結果、腹に棒を叩きつけられ、体にあった酸素が全て強制的に吐き出された。
内臓がぐちゃぐちゃ……とまではいかないが、骨がいくつか折れ、内臓が損傷。
ソルは強制的に狂化が解除されてしまい、ダウン。
「くッ!!!!」
相方が倒れてもルーナは諦めず、まずは牽制の攻撃魔法を放ち、その後に本命の攻撃魔法を……っと、瞬時にそこまで考えられる思考力は悪くないが、ヴァジュラを相手に実行するには、圧倒的に移動速度が足りなかった。
「ホキャ、ホキャキャ、ホキャ!!」
「っ!!!!!!!???????」
飛来する攻撃魔法を全て弾き飛ばし、最後に全力…………ではなく、手加減しながら頭部に棒を振り下ろした。
絶妙に手加減されたため、頭蓋骨が割れることはなく、脳も無事である。
だが……その辺りを絶妙に加減された一撃だったからこそ、とんでもない鈍痛がルーナの頭を襲った。
「ふっ、ふっふっふ……フローレンス、決着で良いよな?」
「えぇ、そうですね。この戦いの勝者は、ヴァジュラです」
まだ呼吸を整えられてない前衛と、頭部を両手で抑えながらうずくまる後衛。
どう見ても、ここから続行するのは不可能だった。
「ヌウウウウウアアアアアアアアッ!!!!」
炎を纏う大剣を力の限り振り回すソルに対し、余裕を取り戻したヴァジュラはケラケラと笑いながら躱していく。
当初、急激に上がったソルの身体能力には、確かに驚かされた。
放つ殺気の質も、これまで対峙してきた人間のものではなかった。
ただ……殺気に関しては、これまでに本気で自分を殺しにきたモンスターのものと同じだと把握。
加えて、身体能力が大幅に上がった分、技術力が落ちている。
ハヌーマ、ハヌマーンの厄介なところはナチュラルに敵対者を煽る才ではなく、対人戦に関する技術力の高さ。
ソルの身体能力の上昇幅には驚かされたものの、それは決して野性の勘に頼らなければならない程のものではなかった。
そして、先程から試合当初は少し面倒だなと思っていた連携が、全く上手くいってない。
殆どソルが前に前に出て大剣を振るっているだけ。
もう、これ以上遊べる要素はなさそうだ。
そうヴァジュラが思った時……一つの攻撃魔法が飛来。
「ウキャ?」
だが、その攻撃はヴァジュラに向けて放たれたものではなく、ソルに向けられて放たれた攻撃であった。
一人だけ暴走した仲間に向けられた、怒りの攻撃?
そんな考えが一瞬だけ浮かぶも、ヴァジュラは直ぐにその考えを捨て去った。
「ハァアアアアアアア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!」
後方のルーナが放ったウィンドジャベリンは、ソルの体ではなく、炎を纏っている大剣に命中。
普通なら、直撃した瞬間に大剣が弾かれ、大き過ぎる隙が生まれてしまう。
しかし、ウィンドジャベリンがソルの大剣に当たった瞬間、弾いたりソルの体を揺らすことはなく……一瞬にして大剣を纏っていた炎と混ざり合い、更に高火力な炎を生み出した。
「ッ! ウ、キャオ!!!!」
止めとけば良かった。
ヴァジュラの反応速度であれば、その一撃を躱すことが出来た。
もし食らえば、割と余裕が消えてしまうほどのダメージを受けてしまう。
それが解っていながら……ヴァジュラが取った選択は回避ではなく、相殺だった。
「「ッ!!!!!!!!!」」
二人の攻撃がぶつかり合った瞬間、訓練場に……ギルドのロビーにまで聞こえる衝撃音が発生。
多くの者たちが顔をしかめながら耳を両手で塞ぐも、なんとなくヴァジュラなら避けないだろうと思っていたアラッドは、他の者たちよりも早く耳を塞いだお陰でノーダメージだった。
(ルーナって奴……本当に戦況を良く見てたな)
ルーナはただソルの大剣目掛けてウィンドジャベリンを払ったのではなく、タイミング的にはこれ以上ないぐらいジャストな瞬間を狙って放った。
反応速度が高いヴァジュラであれば躱せるが、他のBランクモンスターが相手であれば……避けられず、勝負を決める一撃となっていた可能性が十分にある。
(後衛の中でも、相当レベルが高いな…………あんまり、がっつり後衛として本気で戦ってるところを見てないから断言は出来ないが、後衛としての技量は、ヴェーラに迫るか?)
ヴェーラ・グスタフは、アラッドが同世代の中で一番優秀な魔法使いは誰かと問われれば、真っ先に名前を上げる友人。
その実力は数歳程度の差など無意味。
そんなヴェーラと技量だけであれば迫るかもしれないという言葉は、アラッドにしては中々の称賛だった。
「…………まぁ、それでも、もう終わりだな」
轟炎を纏った大剣と魔力を纏う棒が激突した結果……勝者は、轟炎を纏った大剣だった。
だが、それはただ押し切っただけであり、ヴァジュラの体は後方に押し飛ばされるも、体勢を崩すことはなかった。
「ハアアアアア゛ア゛ア゛っ!!!!???? ッ」
一撃の攻撃力は上がったとしても、それは所詮攻撃力の話。
ソルの身体能力そのものが上がった訳ではないため、攻撃の軌道は相変わらず読みやすく、まだ素早さはヴァジュラの方が上回っていた。
その結果、腹に棒を叩きつけられ、体にあった酸素が全て強制的に吐き出された。
内臓がぐちゃぐちゃ……とまではいかないが、骨がいくつか折れ、内臓が損傷。
ソルは強制的に狂化が解除されてしまい、ダウン。
「くッ!!!!」
相方が倒れてもルーナは諦めず、まずは牽制の攻撃魔法を放ち、その後に本命の攻撃魔法を……っと、瞬時にそこまで考えられる思考力は悪くないが、ヴァジュラを相手に実行するには、圧倒的に移動速度が足りなかった。
「ホキャ、ホキャキャ、ホキャ!!」
「っ!!!!!!!???????」
飛来する攻撃魔法を全て弾き飛ばし、最後に全力…………ではなく、手加減しながら頭部に棒を振り下ろした。
絶妙に手加減されたため、頭蓋骨が割れることはなく、脳も無事である。
だが……その辺りを絶妙に加減された一撃だったからこそ、とんでもない鈍痛がルーナの頭を襲った。
「ふっ、ふっふっふ……フローレンス、決着で良いよな?」
「えぇ、そうですね。この戦いの勝者は、ヴァジュラです」
まだ呼吸を整えられてない前衛と、頭部を両手で抑えながらうずくまる後衛。
どう見ても、ここから続行するのは不可能だった。
638
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる