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九百十一話 夢?
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「…………強い奴と戦いたいから、闇竜からの提案を受けたと」
「そうだな」
スティームの予想を正解だと答えながら、黒色のリザードマンは距離を詰めてロングソードを振るった。
とはいえ、その剣には殺気どころか闘志すらなかった。
(ひとまず、動きながら話そう……そう、言いたいんですね)
剣を交わし、相手が何を言いたいのか察したスティームは、ひとまずその提案に乗った。
「とはいえ、あれは、断るという選択肢が、なかったとも、言えるだろう」
生殺与奪の権を握られた状態だったと、素直に認める黒色のリザードマン。
「……それは、そう、でしょうね」
Bランクドラゴンの闇竜を相手に、Cランクのリザードマンが勝てるわけがない。
スティームは臆せず、それはそうだなと答えた。
「それからは、闇を馴染ませる、為に。より強い者と、戦う為に……剣技と、いうものも、磨いた」
「磨いた、ですか…………冒険者と遭遇、した際。四人いれば、剣士以外を、殺し……その剣士とだけ、真正面から、戦った、と」
「ふっふっふ。その通り、だ。さすが、人間は知能が……考える、力? というのが、高いな」
当然ながら、黒色のリザードマンにとって、剣の師と呼べる存在はいない。
稀にある程度どころではなく、人間界の剣豪レベルの腕前、戦闘技術を持つ個体というのも生まれるが、闇竜はそういったコネ、知り合いはいなかった。
故に、黒色のリザードマンは剣を扱う人物との戦いで剣士の動きを実際に受け、インプットするといった、実戦という場でしか学ぶことが出来なかった。
とはいえ、モンスターである黒色のリザードマンにとって、それは全く苦ではなかった。
「モンスターにも、そういった個体は、多いぞ。我だけでは、なく。オーク、ジェネラルや、オーガウォーリアー、なども、我と同じ……心? を持っている」
「……うちの、パーティーメンバー、にも。そういう、人が……いるよ」
「あれ、であろう。褐色の肌の、女武道家、と。今、我らの、トップと、戦っている男の剣士、であろう」
「そう、だね……二人共、そうかな」
スティームは武道に関して知識はないが、それとなく武道とはどういうものかという話をチラッとだけ聞いたことがあるため、ガルーレの表現に首を傾げそうになるも、とりあえずその通りだと頷いた。
「是非とも、彼等とも……戦ってみたい、ものだ。とはいえ、彼の仲間である…………」
「スティーム、だよ」
スティームは空気を読み、自身の名を伝えた。
「スティームよ……お主のリーダーである、あの、男は……本当に、人族……なのか」
次の瞬間、二振りの雷斬と一振りの闇斬がぶつかり合い、両者共に後方へと下がった。
「さぁ、どうなのか。そこは、僕にも少し解らない。あなたは……どう見る」
スティームは何かを疑っているわけではない。
ただ……最初は、微かに見えただけだった。
精霊剣の使い手であるラディアクレスターとの戦いで、本当に最後の最後に……狂化を使用したアラッドの額から、薄っすらと角が生えているように見えた。
それだけであれば、アラッドが放つ強烈なオーラが、幻影を見せたとも取れる。
しかし、アラッドたちを良く思わない者たちがモンスターを操り、雪崩を起こしてガルーレたちとはぐれてしまった後……ついに、ハッキリと見えてしまった。
頭を冷やす為なのか、狂化を発動しながら、羅刹という刀を抜刀し……天に向かって何度も何度も斬撃波を放った。
その際、スティームはバッチリ、アラッドの額から一本だけ角が生えているのを見てしまった。
(あれが狂化を使い過ぎた……いや、極めたからこそ現れる影響なのかは、解らない)
解らない。
それでも、スティームにとって狂化を使用したアラッドの姿を見た感想は、恐ろしいではなく頼もしいである。
「……捕食者、だな。初めてデネブと出会った時の事を思い出した」
「捕食者…………あなたも、風竜ルストと同じ事を言うんですね」
「名前から察するに、ただの風竜ではないドラゴンを討伐したことがあるようだな……羨ましい。この近辺には、デネブ以外のドラゴンは、亜竜のワイバーンやリザードしかいない」
「格上の存在であるドラゴンに挑むことを、恐ろしいとは思わないんですね」
「デネブから授かった力もあり、決して大胆に自慢出来るものではないが、それでも今の自分なら、格上の存在である彼等と対等に戦えるのか、この力が届くのか……この思いを、人間は夢と言うのだろう」
「……そうですね」
黒色のリザードマンと会話する中で、スティームは戦り辛いなと思い始めていた。
こういった存在もいるのだと……先程、私的な理由で闇竜デネブと話していたアラッドの気持ちが解らなくもなかった。
「………………あなたは、これまでどれだけの人間を殺してきましたか」
「ふむ? ………………我は野獣ではなく、力のない人間は殺していないが…………何人の力ある人間を殺してきたかは、覚えていない。とはいえ、千は越えていない」
「そうですか……それが聞けて、良かったです」
何が良かったのか、人間の心を持たない黒色のリザードマンだが、切り替わったその表情から、瞳から……先程の問いに答えた意味があったのだと思い、再度……今度は闘気を充満させながら構えた。
「そうだな」
スティームの予想を正解だと答えながら、黒色のリザードマンは距離を詰めてロングソードを振るった。
とはいえ、その剣には殺気どころか闘志すらなかった。
(ひとまず、動きながら話そう……そう、言いたいんですね)
剣を交わし、相手が何を言いたいのか察したスティームは、ひとまずその提案に乗った。
「とはいえ、あれは、断るという選択肢が、なかったとも、言えるだろう」
生殺与奪の権を握られた状態だったと、素直に認める黒色のリザードマン。
「……それは、そう、でしょうね」
Bランクドラゴンの闇竜を相手に、Cランクのリザードマンが勝てるわけがない。
スティームは臆せず、それはそうだなと答えた。
「それからは、闇を馴染ませる、為に。より強い者と、戦う為に……剣技と、いうものも、磨いた」
「磨いた、ですか…………冒険者と遭遇、した際。四人いれば、剣士以外を、殺し……その剣士とだけ、真正面から、戦った、と」
「ふっふっふ。その通り、だ。さすが、人間は知能が……考える、力? というのが、高いな」
当然ながら、黒色のリザードマンにとって、剣の師と呼べる存在はいない。
稀にある程度どころではなく、人間界の剣豪レベルの腕前、戦闘技術を持つ個体というのも生まれるが、闇竜はそういったコネ、知り合いはいなかった。
故に、黒色のリザードマンは剣を扱う人物との戦いで剣士の動きを実際に受け、インプットするといった、実戦という場でしか学ぶことが出来なかった。
とはいえ、モンスターである黒色のリザードマンにとって、それは全く苦ではなかった。
「モンスターにも、そういった個体は、多いぞ。我だけでは、なく。オーク、ジェネラルや、オーガウォーリアー、なども、我と同じ……心? を持っている」
「……うちの、パーティーメンバー、にも。そういう、人が……いるよ」
「あれ、であろう。褐色の肌の、女武道家、と。今、我らの、トップと、戦っている男の剣士、であろう」
「そう、だね……二人共、そうかな」
スティームは武道に関して知識はないが、それとなく武道とはどういうものかという話をチラッとだけ聞いたことがあるため、ガルーレの表現に首を傾げそうになるも、とりあえずその通りだと頷いた。
「是非とも、彼等とも……戦ってみたい、ものだ。とはいえ、彼の仲間である…………」
「スティーム、だよ」
スティームは空気を読み、自身の名を伝えた。
「スティームよ……お主のリーダーである、あの、男は……本当に、人族……なのか」
次の瞬間、二振りの雷斬と一振りの闇斬がぶつかり合い、両者共に後方へと下がった。
「さぁ、どうなのか。そこは、僕にも少し解らない。あなたは……どう見る」
スティームは何かを疑っているわけではない。
ただ……最初は、微かに見えただけだった。
精霊剣の使い手であるラディアクレスターとの戦いで、本当に最後の最後に……狂化を使用したアラッドの額から、薄っすらと角が生えているように見えた。
それだけであれば、アラッドが放つ強烈なオーラが、幻影を見せたとも取れる。
しかし、アラッドたちを良く思わない者たちがモンスターを操り、雪崩を起こしてガルーレたちとはぐれてしまった後……ついに、ハッキリと見えてしまった。
頭を冷やす為なのか、狂化を発動しながら、羅刹という刀を抜刀し……天に向かって何度も何度も斬撃波を放った。
その際、スティームはバッチリ、アラッドの額から一本だけ角が生えているのを見てしまった。
(あれが狂化を使い過ぎた……いや、極めたからこそ現れる影響なのかは、解らない)
解らない。
それでも、スティームにとって狂化を使用したアラッドの姿を見た感想は、恐ろしいではなく頼もしいである。
「……捕食者、だな。初めてデネブと出会った時の事を思い出した」
「捕食者…………あなたも、風竜ルストと同じ事を言うんですね」
「名前から察するに、ただの風竜ではないドラゴンを討伐したことがあるようだな……羨ましい。この近辺には、デネブ以外のドラゴンは、亜竜のワイバーンやリザードしかいない」
「格上の存在であるドラゴンに挑むことを、恐ろしいとは思わないんですね」
「デネブから授かった力もあり、決して大胆に自慢出来るものではないが、それでも今の自分なら、格上の存在である彼等と対等に戦えるのか、この力が届くのか……この思いを、人間は夢と言うのだろう」
「……そうですね」
黒色のリザードマンと会話する中で、スティームは戦り辛いなと思い始めていた。
こういった存在もいるのだと……先程、私的な理由で闇竜デネブと話していたアラッドの気持ちが解らなくもなかった。
「………………あなたは、これまでどれだけの人間を殺してきましたか」
「ふむ? ………………我は野獣ではなく、力のない人間は殺していないが…………何人の力ある人間を殺してきたかは、覚えていない。とはいえ、千は越えていない」
「そうですか……それが聞けて、良かったです」
何が良かったのか、人間の心を持たない黒色のリザードマンだが、切り替わったその表情から、瞳から……先程の問いに答えた意味があったのだと思い、再度……今度は闘気を充満させながら構えた。
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