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千三十二話 炊きつく
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「理想論とはいえ、教えていただき感謝します」
アラッドから教えられた内容に関して、一つか二つはディクセンも考えていた内容があった。
だが、まだ若く……アラッドよりも弱いディクセンからすれば、自分にとって絶対的な強者であるアラッドからアドバイスとして伝えられた方が、間違っていないのだと思える。
「どういたしまして。そうなると…………後は、まぁあれだな。強くなる為に、金は重用だよ」
「金、ですか」
「うん。金に意地汚くなってほしい訳じゃない。ただ、強くなる為には……万全な状態で冒険に挑むには、金が掛かるからな」
アラッドで言えば、ロングソードなどの武器はフールたちが用意してくれていた。
当然と言えば当然だが、衣食住……美味い食事をたらふく食べられて、睡眠に関してはリバーシなどで儲けた金を使い、快眠の効果が付与されたベッドで寝て上質な睡眠を取っていた。
「たとえば、俺は普段頑丈で良い切れ味を持つロングソードを使っているが、切り札として幾つかの武器を持っている」
そう言いながら、アラッドは亜空間から渦雷と羅刹、迅罰の三つを取り出した。
「っ……これ、が…………アラッド殿の、切り札……」
「そうだ。こっちの迅罰に関しては以前討伐した雷獣の成体の素材を使っているから、そこまで金は掛かっていないが、渦雷は昔……それなりに良い値段で買った。羅刹に関しては……元々買うつもりはなかったんだけどな」
「買うつもりはなかった……誰かから、プレゼントされたということか?」
「いや、そうじゃない。光栄な事と言えば光栄な事かもしれないが、ショーケースに入っていたんだが、無理矢理それを破って俺の前に来たんだ」
「…………………………ぶ、武器に選ばれた、という事で合っているか?」
人間が武器を選ぶのではなく、武器が人間を選ぶという話を初めて聞いたディクセン。
いったいどういう事なんだと、色々とツッコミたいところではあるが、目の前の人物ならばと……無理矢理納得出来ないことはなかった。
「そうなんだろうな……羅刹の値段は勿論、破壊してしまった? ショーケースの弁償も支払ったから、かなり良い値段になってしまった」
「そ、そんな事が…………」
何はともあれ、アラッドという人物が明らかに高価な武器を、切り札を有していることは解った。
「金があれば、強い武器を変える。武器だけじゃなく、防具や質の良いポーションにマジックアイテム……ダンジョンという場所を探索するのであれば、使用すれば地上に転移出来る帰還石も必要だろうな」
「……金はあってもあっても、足りなさそうだな」
「手っ取り早い方法は、討伐したモンスターの素材を冒険者ギルドで売ることだな」
「それは、冒険者たちに喧嘩を売ることにならないか?」
「冒険者ギルドに入った際に、余計な事を口走らなければ大丈夫だと思うぞ。寧ろ、ダンジョン探索を視野に入れるなら、冒険者という存在と交流できるようになっておいた方が、寧ろ得かもしれない」
「なる、ほど…………」
まだまだ先の話であり、そもそもダンジョンを探索して強くなるという方法を許されるのかも解らない。
それでも……元々高いディクセンの向上心を更に燃え上がらせる結果となった。
「呑めるだろう」
「うん、まぁ……それなりに」
結局アラッドたちはバリアスティー家の屋敷に泊まることになり、夕食を食べ終えた後は……また新米騎士たちに頼まれ、訓練場でアドバイスをしながら模擬戦などを行っていた。
そんな中、スティームは父親であるラヴェスに誘われて私室に訪れ、高価なワインが注がれたグラスを渡された。
「……昼食時にも尋ねたが、冒険者として……アラッド君たちと上手くやれているか」
「うん。上手くやれてるよ……彼は、本当に優しいからね」
昼間にラヴェスに手の届く限り守り、共に戦うと伝えた件だけではなく普段から優しいと、スティームはワインを呑みながら機嫌よく語った。
「見た目に反して、とてもお人好しなんだな」
「ふふ、そうだね……面白いところで言えば」
気分が良くなったスティームは、剛柔という得物を手に入れる関係で、元々剛柔の使い手であった英雄の子孫と話し合い、そこで起こった出来事を伝えた。
「わざわざなんでそんなに強いのにと、と怒ったのか……確かに、そこに彼の優しさが滲み出てると言えるな」
「でしょ。歯向かってくる人には割と容赦ないけど、それでも反省する人には優しいしね」
「………………これからも、彼と冒険を続けていきたいか」
父親からの問いに、スティームは間を置かずに答えた。
「うん、そうだね。この先も……アラッドやガルーレと共に冒険したいね」
一緒にいて楽しい。
そう思える者は、スティームのまだそこまで長くない冒険者人生の中でも、それなりにいた。
ただ、アラッドほど一緒にいて楽しいと感じる冒険者は、他にいない。
だからこそ、アラッドが結婚して冒険者を引退するといった出来事がなければ……これからも、是非ともアラッドとガルーレと共に冒険を続けていきたい。
それが、スティームの噓偽りない気持ちであった。
アラッドから教えられた内容に関して、一つか二つはディクセンも考えていた内容があった。
だが、まだ若く……アラッドよりも弱いディクセンからすれば、自分にとって絶対的な強者であるアラッドからアドバイスとして伝えられた方が、間違っていないのだと思える。
「どういたしまして。そうなると…………後は、まぁあれだな。強くなる為に、金は重用だよ」
「金、ですか」
「うん。金に意地汚くなってほしい訳じゃない。ただ、強くなる為には……万全な状態で冒険に挑むには、金が掛かるからな」
アラッドで言えば、ロングソードなどの武器はフールたちが用意してくれていた。
当然と言えば当然だが、衣食住……美味い食事をたらふく食べられて、睡眠に関してはリバーシなどで儲けた金を使い、快眠の効果が付与されたベッドで寝て上質な睡眠を取っていた。
「たとえば、俺は普段頑丈で良い切れ味を持つロングソードを使っているが、切り札として幾つかの武器を持っている」
そう言いながら、アラッドは亜空間から渦雷と羅刹、迅罰の三つを取り出した。
「っ……これ、が…………アラッド殿の、切り札……」
「そうだ。こっちの迅罰に関しては以前討伐した雷獣の成体の素材を使っているから、そこまで金は掛かっていないが、渦雷は昔……それなりに良い値段で買った。羅刹に関しては……元々買うつもりはなかったんだけどな」
「買うつもりはなかった……誰かから、プレゼントされたということか?」
「いや、そうじゃない。光栄な事と言えば光栄な事かもしれないが、ショーケースに入っていたんだが、無理矢理それを破って俺の前に来たんだ」
「…………………………ぶ、武器に選ばれた、という事で合っているか?」
人間が武器を選ぶのではなく、武器が人間を選ぶという話を初めて聞いたディクセン。
いったいどういう事なんだと、色々とツッコミたいところではあるが、目の前の人物ならばと……無理矢理納得出来ないことはなかった。
「そうなんだろうな……羅刹の値段は勿論、破壊してしまった? ショーケースの弁償も支払ったから、かなり良い値段になってしまった」
「そ、そんな事が…………」
何はともあれ、アラッドという人物が明らかに高価な武器を、切り札を有していることは解った。
「金があれば、強い武器を変える。武器だけじゃなく、防具や質の良いポーションにマジックアイテム……ダンジョンという場所を探索するのであれば、使用すれば地上に転移出来る帰還石も必要だろうな」
「……金はあってもあっても、足りなさそうだな」
「手っ取り早い方法は、討伐したモンスターの素材を冒険者ギルドで売ることだな」
「それは、冒険者たちに喧嘩を売ることにならないか?」
「冒険者ギルドに入った際に、余計な事を口走らなければ大丈夫だと思うぞ。寧ろ、ダンジョン探索を視野に入れるなら、冒険者という存在と交流できるようになっておいた方が、寧ろ得かもしれない」
「なる、ほど…………」
まだまだ先の話であり、そもそもダンジョンを探索して強くなるという方法を許されるのかも解らない。
それでも……元々高いディクセンの向上心を更に燃え上がらせる結果となった。
「呑めるだろう」
「うん、まぁ……それなりに」
結局アラッドたちはバリアスティー家の屋敷に泊まることになり、夕食を食べ終えた後は……また新米騎士たちに頼まれ、訓練場でアドバイスをしながら模擬戦などを行っていた。
そんな中、スティームは父親であるラヴェスに誘われて私室に訪れ、高価なワインが注がれたグラスを渡された。
「……昼食時にも尋ねたが、冒険者として……アラッド君たちと上手くやれているか」
「うん。上手くやれてるよ……彼は、本当に優しいからね」
昼間にラヴェスに手の届く限り守り、共に戦うと伝えた件だけではなく普段から優しいと、スティームはワインを呑みながら機嫌よく語った。
「見た目に反して、とてもお人好しなんだな」
「ふふ、そうだね……面白いところで言えば」
気分が良くなったスティームは、剛柔という得物を手に入れる関係で、元々剛柔の使い手であった英雄の子孫と話し合い、そこで起こった出来事を伝えた。
「わざわざなんでそんなに強いのにと、と怒ったのか……確かに、そこに彼の優しさが滲み出てると言えるな」
「でしょ。歯向かってくる人には割と容赦ないけど、それでも反省する人には優しいしね」
「………………これからも、彼と冒険を続けていきたいか」
父親からの問いに、スティームは間を置かずに答えた。
「うん、そうだね。この先も……アラッドやガルーレと共に冒険したいね」
一緒にいて楽しい。
そう思える者は、スティームのまだそこまで長くない冒険者人生の中でも、それなりにいた。
ただ、アラッドほど一緒にいて楽しいと感じる冒険者は、他にいない。
だからこそ、アラッドが結婚して冒険者を引退するといった出来事がなければ……これからも、是非ともアラッドとガルーレと共に冒険を続けていきたい。
それが、スティームの噓偽りない気持ちであった。
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