スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
1,037 / 1,361

千三十五話 人族ではない?

しおりを挟む
貴族令息という立場上、よっぽど貧弱貧弱でなければ、幼少期から武芸か魔法を学ぶ。
故に、同じ時期に冒険者になった平民の者と比べた場合、戦闘力に限ればそれなりに差がある。

加えて、アラッドにはクロという相棒が、スティームにはファルという相棒がいる。
クロはAランクであり、ファルはBランクで戦闘力が高く、更には二体と索敵力が高い。

同じ時期に冒険者になった者たちからすれば、なんなんだこの理不尽な差は!!!!! と怒りを叫びたくなるのも無理はない。

「まぁ、ぶっちゃけそこは妬まれるよね~~~。私も二人と出会うまでに従魔がいる冒険者と出会ったことあるけど、妬みをしなかったけど羨ましいな~~とは思ったからね」

「ガルーレぐらいの感想の持ち主だったらいいというか、有難いんだが……世の中、そうではないからな」

「そうだね。とはいえ、もし彼らの立場に立って考えてみるとなると、その気持ちが解らなくもないからなんとも言えないんだけど……でも、僕じゃなくファルを見られてるとなると…………うん、少し思うところがあったね」

スティームは貴族の令息。
アラッドと違って何度も何度も社交界に出席していたため、腹芸や表情の観察力に関してはアラッドよりも優れている。

そんなスティームからすれば、平民の隠そうとしている本音など、隠していないのと変わりなかった。

「そういう時期もあったから、昔はそこまで気にする余裕がなかったかな」

「なるほどね~~~~……でもさ、それ以降は……アラッドと出会ってからは違う訳でしょ」

「うん、そうだよ」

「だったら、その時から今までにちょっとでも気になる人はいなかったの」

「父さんにも似た様な事を訊かれたけど、なんて言うか……気になる人はいても、恋愛的な意味で気になる人にはまだ出会ってないんだよね」

これに関しては、決して恥ずかしいから隠しているなど、中学生的なメンタルで対応してるわけではない。

「……恋愛的な意味よりも、実力とかに目が行くということか」

「そんな感じだね。深く気になったとしても、この人はどういった経験を積み重ねて強くなったんだろうってところが気にるぐらいで」

「………………」

ガルーレもその気持ちが解らなくはない分、からかえない事につまらないと感じていた。

「はぁ~~~~~。そうなるともうあれね~~~、それこそこの前アラッドが虎竜が生まれた理由に関して言ってた、種族を越えた運命的な出会い? とかがないと、スティームが恋することはないのかな~~~」

「…………」

黒歴史とも言える内容を掘り返され、今度はアラッドが沈黙してしまう。

「そうなのかも、しれないね」

自分の事ではあるが……逆に自分の事だからこそあまり解らないところがあると、冷静に分析するスティーム。

「ってなると、もしかしてスティームがそういう感情を抱くのは、人族じゃない人かもね」

「獣人族かエルフか、それともドワーフか鬼人族か竜人族か……どちらにしろ、旅を続けていれば、そういう相手と
出会える時もくるだろう」

「かな」

アラッドの言う通りなのだろうと思いつつも……今、スティームは本当にアラッドとガルーレ、従魔たちとの旅が、冒険が楽しい。

だからこそ、当分の間はそういった事に関して興味を持てるとは思えなかった。

「ねぇねぇ。そういえばさ、スティームは実家に一度帰った訳だし、アラッドも一回実家に戻る感じ?」

「むっ…………そう、だな……一応、戻ってはおきたいな」

勝てばまたいつでも会えるのだから、気にする必要はない……という訳にはいかない。

フールに関しては現在当主として活動しており、現役の騎士ではないが、当然の様に戦争となればフール自身が参戦する気満々であり、軍としても駆り出したい。

(アルバース王国に戻ったら、そのまま実家に……いや、一度王都に行って国王陛下に帰還したことを言伝でも伝えて行いとあれか)

現在は冒険者として活動しているが、自身が貴族の令息であることは忘れていないアラッド。

多少……多少面倒だとは思いながらもアルバース王国に戻った後、そのまま王都へと向かった。




「すいません」

「これはこれは、アラッド様。ご帰還したのですね」

「はい。それで、陛下に伝言を伝えてほしいのですが」

王都へ戻ってきたアラッドは列には並ばず、王都周辺で巡回を行っている騎士に声をかけ、国王への伝言を頼もうとした。

「なるほど……その、もし可能であれば、王城の方へ向かってはいただけないでしょうか」

「? もしや、王城の方で何か問題が?」

「問題といえば問題なのですが……はぁ~~~~~」

年配の騎士は、本当に申し訳ないという表情をしながら、ため息を零す。

「えっと、まずですね、フローレンス様が現在王都にいらっしゃます」

「……もしや、自分に用があると……言ってるのですか?」

「っ、その通りです。事前に伝えられていたのですね」

「まぁ、伝えられていたと言いますか……分かりました。ただ、自分が王城へ向かわなければならないのは、それだけが理由ではないですよね」

年配騎士はこくりと頷き、一部の若僧たちに呆れながらアラッドに是非とも王城へ向かってほしい理由を伝えた。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

処理中です...