1,080 / 1,361
千七十八話 何も思わない
しおりを挟む
(降参、か)
自分たちはこれ以上戦うつもりはないという意志表示。
先程までアラッドたちの命を狙って攻撃した行動を考えれば、ふざけてるのかと叫びたくなるが……それでも目の前の冒険者が降参の言葉を口にし、両手を上げて降参のポーズを取っているのは間違いない。
戦争が始まって一日目でその行動を見るとは思っていなかったアラッド。
だが、降参の言葉を聞き、降参のポーズを見たからといって……戦意が緩むことはない。
「おいおい、俺の言葉が聞こえなかったのか? 降参だって言ってるだろ」
「降参か………………そうだな。本当に降参するというなら、全員素っ裸になれ」
「「「「「「「「「「はっ!!!!!?????」」」」」」」」」」
突然の提案に、冒険者たちは揃って驚きの声を上げる。
スティームやフローレンスも同じような表情を浮かべる中……ガルーレだけは爆笑していた。
「いや、ちょ」
「今度は俺が言おうか。俺の言葉が聞こえなかったのか」
「い、いや。聞こえたぜ。勿論聞こえたけどよ、そりゃいくらなんでも酷ぇんじゃねぇか」
「いいや、酷くはないな」
男の言葉を、アラッドは真正面からバッサリと斬った。
当然……男だけではなく、他の冒険者たちもアラッドの行動にドン引きである。
だが、アラッドにはアラッドなりの理由があった。
「降参するとは言ったが、まだお前たちは武器を持っている。マジックアイテムを身に付けている。武装している状態のお前たちを、どう信用しろと言うんだ」
「っ」
「それに、俺たちの様な戦いを生業にする者にとっては、例え武器がなくとも戦う手段がある。そして、空間収納のスキルを持つ者がいれば、直ぐに整えらえるだろう」
空間収納のスキルを持っている冒険者は少ないが……現在アラッドたちの前に現れた冒険者たちのレベル、ランクを考えれば……持っている者がいてもおかしくない。
ついでに言うと、中堅ランク以上の冒険者が有する武器であれば、離れていても使い手の元に戻って来る帰属の効果が付与されている場合がある。
そのため、武器を捨てて全裸になったところで、油断は出来ない。
「俺とかはまだ良いけど、一応女もいんだぜ」
「そうだな。だが、それがどうした。女という理由で本気でちやほやされると思ってるなら、冒険者という道に進まないと思うが」
「ぐっ」
ちくちくざくざくと正論で男を突き刺していくアラッド。
(それに、他にも気になるところがある)
己の勘だけを信じ、降参宣言をした冒険者を口撃している訳ではなかった。
「それに……降参するって言ったのは、あんただけだよな」
「それがどうしたって言うんだよ」
「戦争なんだ……俺は降参と言ったが、他の連中は降参とは言ってないからという屁理屈で、ッ!!!!!!!!」
全てを言い終わる前にリーダーらしく男が上げていた両腕を振り下ろして合図を出した。
すると、先程まで同じく両腕を上げていた冒険者たち、バレていないだろうと思って木影に隠れていた者たちは一斉に動き始めた。
(やっぱりか)
汚い、とは思わない。
ここが戦争という戦いの場だから、ではない。
油断させて攻撃を行う。
そういった戦法はモンスターとの戦いでも行う。
騎士対騎士の一騎打ちではないのだ……人によっては、騙し討ちをしない方が失礼だと語る者もいる。
アラッドはそこまで言う事はないが、自分たちを騙そうとしてきた同業者たちに対し、特に思うところはなかった。
寧ろ……早い段階で、まだ疲れがたまっていないタイミングでそういった手段を使ってくれて良かったとすら思っている。
(いるとは思っていたが、本当にやるんだな)
そういった手段を使う者が、戦争という戦場にいると知れた。
それだけでも……今後、重要な場面で心を鬼にすることが出来る。
「あん? ……ッ!!!!!!??????」
やはり戦うことになる。
それが解った瞬間、アラッドは左手でフィンガースナップ鳴らした。
それはアラッドたちの間で決めていた合図である。
その内容とは……本気で潰す、である。
「「「了解」」」
騙し討ちという戦法を取ってきた。
だが、それは彼らが弱いからではない。
平均以上の実力を有しており、中にはBランクの冒険者も存在する。
そう……彼らは冒険者だからこそ、最もアラッドたちを討伐出来て、尚且つ自分たちも生き残れる可能性が高い選択を選んだだけ。
それが解っているからこそ、アラッドは狂化を使用。
スティームは全身に赤雷を纏い、ガルーレは立体感知をフルに発動。
フローレンスは聖光雄化を発動。
文字通り……本気も本気。
「がっ!!!???」
「ぐそ、がッ!!!!」
「ああああああああああああ!!!???」
「ぬぅっ!!!!!!!!!」
「ふざ、けんな、よ」
「ぬぅうううああああああああ!!!! ぁ……あ」
吼える声、零れる悪態に、鳴り響く悲鳴。
まさに戦争中と言える戦況であり、現場にいる者たちからすれば、文字通り地獄絵図。
そう……片方の者たちにとっては、阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
(騙し討ちも、ガチの戦いでも無理、か…………出来るんなら、本当に降参……したかった、ぜ)
二、三……五、十、二十……三十に届かない辺りで、リーダーであった男の首が渦雷によって刎ね飛ばされた。
自分たちはこれ以上戦うつもりはないという意志表示。
先程までアラッドたちの命を狙って攻撃した行動を考えれば、ふざけてるのかと叫びたくなるが……それでも目の前の冒険者が降参の言葉を口にし、両手を上げて降参のポーズを取っているのは間違いない。
戦争が始まって一日目でその行動を見るとは思っていなかったアラッド。
だが、降参の言葉を聞き、降参のポーズを見たからといって……戦意が緩むことはない。
「おいおい、俺の言葉が聞こえなかったのか? 降参だって言ってるだろ」
「降参か………………そうだな。本当に降参するというなら、全員素っ裸になれ」
「「「「「「「「「「はっ!!!!!?????」」」」」」」」」」
突然の提案に、冒険者たちは揃って驚きの声を上げる。
スティームやフローレンスも同じような表情を浮かべる中……ガルーレだけは爆笑していた。
「いや、ちょ」
「今度は俺が言おうか。俺の言葉が聞こえなかったのか」
「い、いや。聞こえたぜ。勿論聞こえたけどよ、そりゃいくらなんでも酷ぇんじゃねぇか」
「いいや、酷くはないな」
男の言葉を、アラッドは真正面からバッサリと斬った。
当然……男だけではなく、他の冒険者たちもアラッドの行動にドン引きである。
だが、アラッドにはアラッドなりの理由があった。
「降参するとは言ったが、まだお前たちは武器を持っている。マジックアイテムを身に付けている。武装している状態のお前たちを、どう信用しろと言うんだ」
「っ」
「それに、俺たちの様な戦いを生業にする者にとっては、例え武器がなくとも戦う手段がある。そして、空間収納のスキルを持つ者がいれば、直ぐに整えらえるだろう」
空間収納のスキルを持っている冒険者は少ないが……現在アラッドたちの前に現れた冒険者たちのレベル、ランクを考えれば……持っている者がいてもおかしくない。
ついでに言うと、中堅ランク以上の冒険者が有する武器であれば、離れていても使い手の元に戻って来る帰属の効果が付与されている場合がある。
そのため、武器を捨てて全裸になったところで、油断は出来ない。
「俺とかはまだ良いけど、一応女もいんだぜ」
「そうだな。だが、それがどうした。女という理由で本気でちやほやされると思ってるなら、冒険者という道に進まないと思うが」
「ぐっ」
ちくちくざくざくと正論で男を突き刺していくアラッド。
(それに、他にも気になるところがある)
己の勘だけを信じ、降参宣言をした冒険者を口撃している訳ではなかった。
「それに……降参するって言ったのは、あんただけだよな」
「それがどうしたって言うんだよ」
「戦争なんだ……俺は降参と言ったが、他の連中は降参とは言ってないからという屁理屈で、ッ!!!!!!!!」
全てを言い終わる前にリーダーらしく男が上げていた両腕を振り下ろして合図を出した。
すると、先程まで同じく両腕を上げていた冒険者たち、バレていないだろうと思って木影に隠れていた者たちは一斉に動き始めた。
(やっぱりか)
汚い、とは思わない。
ここが戦争という戦いの場だから、ではない。
油断させて攻撃を行う。
そういった戦法はモンスターとの戦いでも行う。
騎士対騎士の一騎打ちではないのだ……人によっては、騙し討ちをしない方が失礼だと語る者もいる。
アラッドはそこまで言う事はないが、自分たちを騙そうとしてきた同業者たちに対し、特に思うところはなかった。
寧ろ……早い段階で、まだ疲れがたまっていないタイミングでそういった手段を使ってくれて良かったとすら思っている。
(いるとは思っていたが、本当にやるんだな)
そういった手段を使う者が、戦争という戦場にいると知れた。
それだけでも……今後、重要な場面で心を鬼にすることが出来る。
「あん? ……ッ!!!!!!??????」
やはり戦うことになる。
それが解った瞬間、アラッドは左手でフィンガースナップ鳴らした。
それはアラッドたちの間で決めていた合図である。
その内容とは……本気で潰す、である。
「「「了解」」」
騙し討ちという戦法を取ってきた。
だが、それは彼らが弱いからではない。
平均以上の実力を有しており、中にはBランクの冒険者も存在する。
そう……彼らは冒険者だからこそ、最もアラッドたちを討伐出来て、尚且つ自分たちも生き残れる可能性が高い選択を選んだだけ。
それが解っているからこそ、アラッドは狂化を使用。
スティームは全身に赤雷を纏い、ガルーレは立体感知をフルに発動。
フローレンスは聖光雄化を発動。
文字通り……本気も本気。
「がっ!!!???」
「ぐそ、がッ!!!!」
「ああああああああああああ!!!???」
「ぬぅっ!!!!!!!!!」
「ふざ、けんな、よ」
「ぬぅうううああああああああ!!!! ぁ……あ」
吼える声、零れる悪態に、鳴り響く悲鳴。
まさに戦争中と言える戦況であり、現場にいる者たちからすれば、文字通り地獄絵図。
そう……片方の者たちにとっては、阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
(騙し討ちも、ガチの戦いでも無理、か…………出来るんなら、本当に降参……したかった、ぜ)
二、三……五、十、二十……三十に届かない辺りで、リーダーであった男の首が渦雷によって刎ね飛ばされた。
436
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。
凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」
「それは良いですわね、勇者様!」
勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。
隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。
毎日の暴行。
さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。
最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。
今までの行いを、後悔させてあげる--
私は……何も知らなかった……それだけなのに……
#Daki-Makura
ファンタジー
第2王子が獣人の婚約者へ婚約破棄を叩きつけた。
しかし、彼女の婚約者は、4歳年下の弟だった。
そう。第2王子は……何も知らなかった……知ろうとしなかっただけだった……
※ゆるい設定です。ゆるく読んでください。
※AI校正を使わせてもらっています。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します
かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。
追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。
恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。
それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。
やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。
鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。
※小説家になろうにも投稿しています。
戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る
丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。
目覚めた先は、近江・長浜城。
自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。
史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。
そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。
「この未来だけは、変える」
冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。
これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。
「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。
※小説家になろうにも投稿しています。
世界最弱と呼ばれた少年、気づけば伝説級勇者でした ~追放されたので気ままに旅してたら、全種族の姫たちに囲まれていました~
fuwamofu
ファンタジー
魔力量ゼロの落ちこぼれとして勇者パーティを追放された少年リアン。
絶望の果てに始めた自由な旅の中で、偶然助けた少女たちが次々と彼に惹かれていく。
だが誰も知らない。彼こそが古代勇者の血を継ぎ、世界を滅ぼす運命の「真なる勇者」だということを──。
無自覚最強の少年が、世界を変える奇跡を紡ぐ異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる