スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千九十一話 何かが、違う

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SIDE ガルーレ、フローレンス

ガルーレとフローレンス……二人は現在戦闘中のヴェラ、イリスとの戦いである仮説が浮かんだ。

ケプトという男は、現在自身を囲っている女性たちを何かしらのスキルを使うことで、洗脳しているのではないのかと。

(本当にそんな、スキルを持ってる、なら…………気に入らないね)

ガルーレは、ハーレムをつくろうとする男を、毛嫌いするつもりはない。
鬼人族の女性大剣士であるイリスのように、英雄色を好むというのは間違ってないと思い、女性から見ても英雄というのはやはり魅力的に感じる。

ただし……それは、英雄が本当に英雄と呼ばれるだけの力を有しているか、である。

(サキュバスというモンスターが、似た様な力を持っている、と聞いたことが、ありますが……人間が、それを………………ッ!!! 確定した訳では、ありませんが、仮に本当であれば、決して……許せない)

フローレンスの知識通り、美女の姿を持つ悪魔、サキュバスは対象を魅了して自身の意のままに操る力を持っている。
ただ、サキュバスにも操れる人数には限度があり、魅了の力で操ろうとすれば……操られている者は自身の判断であまり細かい行動が行えなくなる。

だが、ヴェラたちは自分たちの判断でガルーレ、フローレンスとの一騎打ちを受け入れ、パーティーの頭脳であるカーラは無駄ではあるものの……現状、戦闘に参加していないヴァジュラとクロを警戒し続けている。
どう考えても、操られてるとは思えない程的確に行動している。

(でも、なんて言うか、あんまりそういう……ふ、雰囲気? は、感じないんだよね)

炎斬の連続攻撃を躱しながら、冷静に……冷静にヴェラを観察するガルーレ。
まだサキュバスといったモンスターや、大将を操る、もしくは乗っ取るといった厭らしい力を持つ個体とは戦ったことがないものの、知識だけはある。

伊達にアラッドより冒険者歴が長いわけではなく、コミュニケーションが高いこともあり、先輩冒険者たちから呑みの席でそれなりにモンスターの情報を得ていた。

モンスター、もしくは人間に操られている者は、よく見れば普段とは雰囲気が異なると。
だが……ガルーレは普段の彼女たちを知らないが、それでも操られている、洗脳されているといった雰囲気を感じられない。

(……彼女の口から出た言葉は、嘘とは思えない。言わされているとも、感じない……考え過ぎ、だったのでしょうか)

自分の考え過ぎなのかと思ってしまうフローレンス。

しかし、現在アラッドと戦闘中のケプトが、本当に色々と普通ではないことは把握済み。

(しかし…………っ、もしや……心そのものを、操っている?)

心を操るのと、洗脳とは何が違うのか。
そう問われると、フローレンスは状態異常の専門家ではないため、明確な返答は出来ない。

ただ、フローレンスもガルーレと同じく、実際に人が操られている、洗脳されている光景は見たことがないものの、知識だけは頭の中に入っている。
そのため、イリスたちが洗脳されていると確信を持てなかった。

だが……彼女たちが洗脳されているのではなく、変えられてしまったのであれば、話しは別なのではないかという考えが浮かんだ。

(詳しい事は、解りません、がっ!! 鍛冶で、言うところの、鍛造と鋳造の、違い……でしょうか)

形はそれらしく、安定している。
時間を掛け、中身から鍛え上げる。

鍛冶において、どちらにもメリットとデメリットが存在する。

実際のところ、一般的なサキュバスなどが使う魅了に関しては外部の者たちの行動によって、解除することが出来る。

しかし、その人物の感情や常識を時間をかけて完全に変化することが出来れば、どうなるのか。

それは……魅了などによる変化とは異なり、二度と変化することがない、その者にとって真実へと変わってしまう。

(これって、倒すだけじゃ……無理、っぽいよね!!!)

剣技、バッシュを躱し、宙で体を回転させながら踵落としを放つも、戦場で培った勘により、なんとかギリギリのところで防ぐヴェラ。

(気を失えば……大きな怪我? それとも、死にかける、ぐらいの、大ダメージを受けないと、解除? されないのかな…………とにも、かくにも……難しい、ね)

本当に自分の予想通りの状態となっているのであれば、同じ女性として助けたい。
どういった結末を迎えるかは解らないが……それでも、このままで良いとは思えない。

(私が立てた、仮説が……合っているとして、それを、直ぐに解除するには…………くっ! 中々、思い付きませんね……それに)

フローレンスもガルーレと同じく、同性の者として彼女たちを助けたい。
ただ……これがただの勘違いであれば、自分の足枷になり続ける。

(っ!!! もしや……そういう事、なのでしょうか)

まだ情報が揃っていない為、確信が持てない。
しかし、彼女たちとの戦闘が始まる前に、アラッドからなるべく彼女たちを殺すなと伝えられた。

戦争が始まってから、アラッドは若い者、ベテランと呼べる者たち、男女や貴族出身や平民出身など関係無く、その命を奪っていった。

そんな彼女が、可能であれば殺すなと伝えてきた。

「ッ!!!!!! はは、お嬢さまもテンションが上がってきた、ということかい!!」

「えぇ……そうですね。そうと、言えるでしょう」

戦意が上昇した。
そういう意味では、テンションが上がったと言えた。

「怒りを感じるのは、久しぶりですしね」

光りの女性騎士の瞳には、確かな怒りが、宿っていた。
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