スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千百二話 ずっと前から知っている

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「ふぅーーーーーー……今の一撃は、ちょっとヤバかったな」

(ちょ、ちょっとだと!!!)

ドラゴンの素材を使用した矢×弓技、剛矢の組み合わせは、当たれば普通にアラッドの体を貫いていてもおかしくなかった。

なので、もしもの可能性を考えればちょっとヤバいどころではない。
ただ……剣を振るえるアラッドからすれば、武者震いが起こる良い一撃だった。

「剣技に大剣技、それに弓技……視た通り、本当に普通じゃないな、あんた」

「へ、へっ! 妬んだところで意味はねぇぜ!!!」

「そうだろうな。ただ、それはずっと前から知ってますよ」

「っ!!!!」

強がりではない。
フローレンスやヴェラほど相手の表情から真意を察することに長けてはいないケプトだが、それでも解ることがある。
アラッドは、本気で自分の強味を妬んでいないと。

本当に、アラッドは知っていた。
ずっと前から、人の何かを妬んだところで、自分の何かが変わるわけではないと。

「っ、調子に、乗んなよッ!!!!!!!」

弓と筒をしまった次は、二振りの戦斧と一つの腕輪を取り出した。

(ニ斧流か)

「うぉおおおおおおらッ!!!!!!!」

ケプトが手首に装備したマジックアイテムは、使用者の腕力を大幅に強化する物。
パワーで押す戦斧とは相性が良いマジックアイテムである。

対して、アラッドは得物を変えずに一つのロングソードで対応する。

「どうしたどうした!!! さっきまでの、威勢は、どうしたんだ、よッ!!!!!」

(そんなに、威張ってたつもりは、ないんだが、な)

得物が一つに対し、相手は二つ。
となれば、必然的にアラッドは中々攻め辛くなる。

受け、躱し、下がる。

アラッドは無理に攻めず、ケプトの猛撃に対して受けの姿勢を続ける。

(んの、その眼を、止めやがれッ!!!!!!!)

口元は薄く笑っており、その上にある眼は……静かに、ケプトの動きを見ていた。

(大剣や、剣技、弓技と比べれば、やや、劣るか。それでも、この人の身体能力と、マジックアイテムが重なれば、それだけで厄介、だな)

アラッドは冷静にケプトの動きを感心しつつ、その動きを評価し続けていた。

特別なスキルによって、多数の高レベルスキルを得た。
大多数の人間たちからすれば、ふざけるなと文句をぶつけたくなるような内容ではあるが……アラッドにとっては、そんな事どうでも良かった。

ただ、それらのスキルが本物であり、ケプトはやや素人くささがりながらも、扱えている。
後は戦い方について理解を深めれば、もっと上に登れる。

(本当の意味で、全てを混ぜ合わせて、動くことが出来れば、どれほどの強さに至るのか…………どうしても、気になってしまうな)

強い相手と戦うことを好むアラッド。
それでも今回は場が場であるため、寧ろ相手が強さを引き出す前に倒すことを心掛けていた。

だが……今回出会ってしまったケプトという男は、稀も稀なスキルを持つ存在。
アラッドの食指が動くのも無理はなかった。

「いつまで、受けてる、つもりだ!!!」

「それは、あなた次第では、ないだろうか」

「っ!!!!!!」

あからさまな挑発に対し、ケプトは下がりながら戦斧に炎を纏い、クロスしながら斬撃を放た。

近距離から放たれたクロスファイヤースラッシュに対し、アラッドは同じく炎を纏った斬撃で粉砕。

「ッシャ!!!!!!」

そうするだろうと思っていたケプトはアラッドのサイドから思いっきり戦斧を振るった。

これでまずは一本、こいつの腕を斬り落とせる。
そう思って全力で振るった戦斧は……アラッドが纏う魔力すら、斬り裂けなかった。

「なっ!!!???」

アラッドはケプトが下がりながらクロスファイヤースラッシュを放った時点で、自身の体から糸を伸ばし、上にある木々に伸ばしていた。

そしてクロスファイヤースラッシュを粉砕した直後には即座に縮ませ、再度から振るわれた戦斧を回避した。

「あなたのように色々ともたらしてくれるスキルではないが、汎用性が高いスキルなんですよ」

「ちょこまかちょこまかと……男らしく戦れねぇのか!!!!!!!」

「…………ぷっ、はっはっは!!!!!!!!」

戦闘開始前程ではないにしろ、アラッドは戦場の中で大胆に笑った。

「な、なに笑ってやがんだ!!!!!」

「い、いや、ふふ。失礼しました。申し訳ありません」

「お、おぉう」

素直に謝られては、ケプトとしても反応に困る。

(多分、解ってはいないんだろうな……うん。でも、大声で笑うのは失礼だったな)

ヒモ男が言うには、あまりにも似つかわしくないセリフ。

そんな発言にアラッドはつい笑ってしまうも、自分と命を懸けて戦ってくれる相手に失礼だと思い、アラッドは素直に謝罪の言葉を口にした。

「そうですね……いや、本当にそうですね。折角の機会です……間違いなく、その方が良いでしょう」

二振りの戦斧を使い、マジックアイテムを装備して更に腕力を向上させたケプトの攻撃を対処するのも、非常にスリルと緊張感がある。

ケプトとの戦いを楽しんでしまっているアラッドにとっては、それだけでも楽しさを感じてしまっていた。
だが……そのスリルと緊張感を越えて攻撃を放つ方が、更に楽しさが増す。

そう判断したアラッドは、ケプトが口にした言葉通り、男らしく戦うことにした。

(っ!! い、今のは)

攻めに転じる。
そんな姿勢を取った瞬間、アラッドの額から角が生えている錯覚を見たケプト。

鬼にとって、戦闘欲はまだ腹六分目にすら到達していなかった。
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